ホンダの原付二種ラインナップは百花繚乱の充実を見せていて、さらにに新顔のダックス125が加わった。発売まではしばらく待たねばならないが、車格の近いモンキー125と比べてみたいと思う方も多いことだろう。スペックで見ても、使い勝手はかなり異なっている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●写真:ホンダ
ダックス125[44万円] vs モンキー125[44万円]の走りっぷりはどう違う?
ホンダの原付二種リバイバルシリーズは、先駆けとなったモンキー125に続きスーパーカブC125、CT125ハンターカブが登場。その最新版となるダックス125は残念ながら発売延期になってしまったのち、2022年9月22日に発売されることが決定した。そんなダックス125、前後12インチのホイールサイズや車格からモンキー125との比較が気になっている方も多いはずだ。
横型空冷単気筒エンジンを搭載するのはダックス125もモンキー125も共通で、前後12インチホイールに前後ディスクブレーキ+1チャンネルABS、倒立フロントフォークといった装備もほぼ同等。一方で大きく違うのは、クラッチ操作がない4速トランスミッションを採用するダックス125に対し、モンキー125は5速マニュアルトランスミッションを採用していること。そしてもうひとつは、タンデムOKのダックス125と1人乗り専用のモンキー125という違いだ。
エンジンのスペックは同一ではなく、最高出力/最大トルクは同じでも発生回転数はモンキー125のほうがやや低回転寄り。これはマニュアルクラッチを使用することから、発進しやすいようにトルク特性を変更しているのだろう。また、各減速比もけっこう異なっていて、1次/2次合計の減速比がショート傾向のモンキー125のほうが、1速もより低く設定されている。これもやはり発進時の力強さを重視したのだろう。また、5速まで入れると全体の減速比はモンキー125のほうがロングになり、やや低い回転でクルージングできる。つまり、モンキー125のほうが1~5速のカバー範囲が広いということだ。
ダックス125は逆の特性だ。クラッチ操作を必要としない自動遠心クラッチを採用したことで、一定の回転まで上げると自動でクラッチが繋がり、エンストの心配がないのと、効率よく半クラッチ状態を作ってくれるため、特に意識せずアクセルを大きく開けて発進することができる。同時に、1速でアクセルを戻した際のエンジンブレーキの利きを穏やかにする意味もあるかもしれない。これらの理由により、1速はモンキー125よりもかなり高め(同じ車体速度なら回転数は約17%低い)の設定とされている。一方、トップ4速でモンキーと同じ速度で巡行した場合は、エンジン回転数が3.8%ほど高くなる設定だ。
とはいうものの、欧州のダックス125のリリース資料には「スーパーカブC125と同じように90km/h巡行が可能」と記載されていることもあって、減速比の違いについてはあくまでもキャラクターの違いというだけで、実際の走りではあまり気にならないはず。AT限定免許で乗れるダックス125は4速でズボラな走りも可能、MT免許のモンキー125は5速でギヤチェンジを楽しめる、そんな棲み分けと言えそうだ。
人とつながるダックス125、ソロで楽しいモンキー125
ダックス125とモンキー125のキャラクターの違いは、タンデムがOKかNGかという点でも大きく分かれている。同じレジャーバイクで2車とも大きさはだいたい同じように感じるかもしれないが、2人乗りが可能なダックス125はフラットで前後に長いダブルシートを採用していて、ライディングポジションについては前後移動の自由度の高さが特徴だ。そしてシート幅はスリムなため、実際の足着き性では優勢だろうか。ただし、モンキー125はシート全体が尻を支えてくれるような形状なので、長距離ツーリングでも痛みは出にくいかもしれない。
ちなみに、車両の全長でもダックス125のほうが50mmほど長いが、それだけでなくタイヤは同じ12インチでもダックス125のほうが前後とも扁平率が低く外径が小さいことから、見た目の印象でもダックスの胴長短足スタイルが強調されている。
そのほか、車重はモンキー125のほうが3kg軽く、全幅では5mmスリムといった違いもあるが、走行フィーリングの違いにはあまり影響なさそう。WMTCモード燃費はダックス125が65.7km/l、モンキー125は70km/lとやや差があり、燃料タンク容量もダックスのほうが3.8Lと小さめ(モンキー125は5.6L)なので、給油頻度にはそれなりに影響がありそうだ。
1969年発売の初代ダックス(ST50/ST70)は、メカニズムの露出を可能な限り抑えることで、バイクの気軽さを誰もが楽しめるというコンセプトを具現化した。新しいダックス125にもその思想は受け継がれ、燃料タンクや配線類を隠すプレス成型フレームを新作して継承。クラッチ操作を省略し、気軽なタンデムも可能な設計とした。家族や友人、恋人とも楽しめるのがダックス125なのだ。
もう一方のモンキー125は、可愛らしいスタイリングながらメカニズムはしっかりとモーターサイクルを意識させるもので、ソロライド専用設計なことも走りのよさを予感させる。ひとりでトコトコ走ることも、誰かと一緒にビューンと走ることも、自在に楽しめる1台だ。初代モデルは2017年に発売され、2021年にエンジンが新型に切り替わっている。
価格は同じ44万円。スタイリングや大きさは似ていても、それぞれのコンセプトには明確な違いがある。新車の納期がなかなか見えない状況ではあるが、じっくり悩んでみるのも悪くないかも?
HONDA Dax125[2022]
HONDA Monkey125[2022]
なお、ホンダは2022年7月6日に日本国内向け二輪車に対して2022年11月生産分より「令和2年排出ガス規制」が適用(※)されることに伴い、現行モデルの注文が生産計画に達した場合、受注を一時停止すると発表した。
【受注一時停止機種(2022年7月6日時点】レブル1100、レブル250、CRF250ラリー、CRF250L、フォルツァ、ADV150、グロム、モンキー125、CT125ハンターカブ
※令和2年排出ガス規制 適用開始時期:新型車 2020年12月、継続生産車 2022年11月(第一種原動機付自転車にあっては、2025年11月)
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