’19年に本誌がその存在をスクープして以来、近年まれに見るほどのスクープ合戦が各バイク雑誌を賑わせてきた大注目のダックスが、その全貌を明かすときがやってきた! ’22年最大の注目車といえるこの1台を大特集でお届け。本記事ではダックス53年の歴史を振り返る。バイクトレジャーをつなげる強力な存在感とスタイルは、初代から最新125までなんら変わることがない!
●文:ヤングマシン編集部(伊藤康司) ●外部リンク:ホンダ
- 1 レジャーバイクを世界に広めた、短足胴長のダックスフンド〈1969〉
- 2 MT4速でスポーツ性アップ!〈1971〉
- 3 上級モデル登場で全14機種をラインナップ〈1972〉
- 4 マイティ&ノーティの派生系ダックスも登場〈1972-73〉
- 5 MT/自動遠心2本立ての4タイプを追加。利便性も向上〈1976〉
- 6 時代に合わせて大変身! 通称“アメリカンダックス”〈1979-81〉
- 7 見事復活、名前は変われど姿は同じ!〈1995-99〉
- 8 新時代のダックスは、サイズも楽しさもデカい!〈2022〉
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レジャーバイクを世界に広めた、短足胴長のダックスフンド〈1969〉
’67年に発売され世界的ヒットとなったモンキー(Z50M)に続き、レジャーバイク第2弾で登場したのがダックス(正式名はダックスホンダ)。排気量は50ccと70ccの2本立てで、誰もが簡単に乗れる自動遠心クラッチの3段リターンで、車載性も考慮して折り畳みハンドル等を装備。最初期の標準モデルのST50/70(1型)はモナカ状のダウンマフラーと、深いフロントフェンダー(通称カブトフェンダー)が特徴。約2週間後に発売されたエクスポート(2型)はアップマフラーとアップフェンダーを装備し、ダートも走れるスクランブラー色を強めた。’70年にはエクスポートをベースにフロント取り外し機構を省き、ブロックタイヤを履いた“幻の3型”も存在。
MT4速でスポーツ性アップ!〈1971〉
スポーツI(4型)は、マニュアルクラッチ+4速ロータリーミッションを装備し、ノービックパターンタイヤ/バー付きの固定ハンドルで、スポーツ性/オフロードの走破性を向上。マフラーのヒートガードがブラックになり、ハンドルロックも備わった。
上級モデル登場で全14機種をラインナップ〈1972〉
スポーツII(5型)はスポーツIの装備にオイルダンパー付きフロントフォーク/エンジンガードを加えた上級モデル。スピードメーターがライトケース一体から独立式に変更。’72年には50/70合わせ1/2/4/5型+2/4/5型のホワイトダックスで全14機種を同時販売。
マイティ&ノーティの派生系ダックスも登場〈1972-73〉
まさかの“足長ダックス”も誕生した。ダックスのプレスバックボーンフレームに4速MT/89ccのSOHCエンジンを搭載し、前後タイヤを14インチに大径化。ストロークの長い正立フォークやスイングアームも延長してオフロードの走破性をアップ。もはや胴長短足のダックスフンドを超えた存在!?
また、縦置きエンジンのわんぱくダックス”ノーティ”は、もはや中身は完全に別物。エンジンはCB50系の縦置きSOHCで、ダイヤモンドフレームに搭載。ホイールはダックスと同じ10インチだが、極太のバルーンタイヤを履く。後に兄弟車として「R&P」に進化した。
MT/自動遠心2本立ての4タイプを追加。利便性も向上〈1976〉
新たに加わった6型/7型はカラー&グラフィック変更+可動式フロントフェンダーを装備(’78年も5型6型ともにカラーチェンジ。写真は’78年モデル)。6型は3段ロータリー/リターン併用の自動遠心クラッチを採用し、乗りやすさをアピール。7型はMT4速で、フロントフォーク/メーター/エンジンガード類の装備はスポーツII(5型)に準じる。’69年からの標準モデルは廃止されたが、2型以降は併売され、全10機種をラインナップする。
時代に合わせて大変身! 通称“アメリカンダックス”〈1979-81〉
Tボーンのプレスフレームは踏襲するものの、アメリカンに大変身。段付きシートの背面には小物入れが備わり、マフラーはメガホン形状でホイールも3本スポークに変更。このモデルで70ccは廃止。C型は自動遠心クラッチの3段リターンのラクチン仕様で、M型はMT4段+ロングストロークの正立式フォーク装備のスポーツ仕様だ。このC/M型が発売された’79〜81年頃の日本は、空前のバイクブームでアメリカンタイプも大流行し、各メーカーが小〜大排気量まで揃えていた。そんな世相も反映していたのだろう。ちなみにこのアメリカンダックスには、フルメッキの車体にピンク&パープルのサイケデリックなグラフィックを纏った限定モデルも存在する。
北米仕様はハンターカブの弟分だった
ダックスは輸出モデルとして、’69年9月上旬からトレール70(CT70)として北米や世界各地で販売開始。初期モデルはエクスポート(2型)にスポーツII(5型)の様なエンジンガードを装備したスタイルだった。そして’80年頃には、樹脂製のアップフェンダー/ブラックのマフラーを装備し、ホンダ一連のトレールモデル的なルックスに変化。CT110と同じカタログに収録され、ウインカーも四角い樹脂製ボディでハンターカブと同様。北米仕様のCT70は’94年まで生産された。
見事復活、名前は変われど姿は同じ!〈1995-99〉
’90年代は原付一種スポーツやレジャーモデルの人気が根強く、再販を望む声に応えて復活。電装を12V化し、CDIマグネット点火に進化した。イージーに楽しめる自動遠心3段リターンの横型エンジンはオートカムチェーンテンショナーを装備し、MFバッテリーと合わせてメンテフリー化を促進。なにより凄いのが、14年も間を空けたにも関わらず、スタイルを完璧なまでに踏襲するところ。プレスバックボーンフレームはもちろん、初代を連想させる折り畳みハンドルにカラー・グラフィックは2〜5型、そこに先代M型の正立フォークと、過去モデルのイイトコ取りだ。ちなみに車名は先代までのダックスホンダから「ダックス」に変更された。
専用の首輪もあった、楽しい広告展開
登場当初には「犬(ダックス)だから首輪」といったストレートなキャンペーンも行われた。よく見れば2〜5型は首輪風のグラフィックだったりする。
新時代のダックスは、サイズも楽しさもデカい!〈2022〉
モンキー/ハンターカブに続き、ホンダ原付二種レジャーバイクとしてダックス125が遂に登場。サイズや排気量は23年前とはまったく異なるが、ホンダならではの横置きエンジンや鋼板プレスのT字型フレームにより、ダックスの佇まいを見事に再現。とはいえ最新モデルだけに、倒立式フォークや前後ディスクブレーキ(前輪ABS)を採用し、タイヤはミニスポーツの定番である12インチだが、これらが見事にダックスのデザインに融合している。初代のカブトを思わせる銀色のダウンフェンダーや、メッキに黒のヒートガードなど、随所にダックスのエッセンスがちりばめられる。車のトランクには入らないかもしれないが、新時代のレジャーバイクは健在だ。
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