
自動車関連企業の最新技術や製品が展示される「人とくるまのテクノロジー展」。今回はコロナ禍で3年ぶりのリアル開催で、5/25(水)〜27(金)の日程で行われた横浜展示会では、会場のパシフィコ横浜に484社(オンラインを除く)の企業や団体が出展した。4輪がメインの見本市だが、その中で発見した2輪用のカーボンカウルが驚きの製品だったぞ!
●文:ヤングマシン編集部
軽量&高強度のコア材をサンドイッチし軽量化
CFRP、通称ドライカーボンと言えば、樹脂を含浸させたカーボンシートを何層も積層させ、高圧や高温を掛けて成形した樹脂素材。超軽量でいて高い強度も併せ持つのが特徴だ。製造には手作業の工程が多く高価なため、採用はレーシングマシンや高級スポーツバイクなどに限られるライダー憧れの素材だ。
そのドライカーボンが、さらに半分の重量になる!? 展示されていたのは「ロハセル」という素材をカーボンシートでサンドイッチして成形したカウリングで、従来の製法で作られた同形状のドライカーボン製カウルが1140gなのに対し、なんと620g! ただでさえ軽量なドライカーボン製品が、さらに約45%も軽量化できてしまうのだ。

会場に展示されていた、ロハセルを使用して軽量化したドライカーボン製カウリング。通常製法による同形状のドライカーボン製(左)が1140gなのに対し、なんと約45%も軽い620g! 従来製法でも十分軽いのだが…。 [写真タップで拡大]
このロハセルは、日本ではポリプラ・エボニック株式会社が取り扱う硬質プラスチック発泡剤で、サンドイッチ構造の内部素材に用い強度を高める「コア材」の一種。発泡素材のため軽量なのに強度が高く、さらに耐熱性や耐圧縮性にも優れており、曲げや削りなどの加工も可能というもの。航空機の圧力隔壁やヘリコプターの回転翼といった、軽量と高強度の両立が迫られる部品で使用されている。
今回のドライカーボンカウルに使用されたのは、米島フエルト産業株式会社が新開発した「コアフレーク」という製品で、ロハセルを薄くスライスして六角形にカットし、さらに粘着フィルムに並べて転写シートとしたもの。複雑な形状に対する追従性が非常に高いのが特徴で、つまりは曲面やエッジを多用する2輪用フェアリングにはピッタリなのだ。
このロハセル・コアフレークが補強材となって強度が高まるため、より薄いカーボンシートが使用でき、さらなる軽量化が可能になったというわけ。十分に軽いと思っていたドライカーボン製品だが、まだまだ軽量化の余地があるとは……驚きだ!
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