GT性能を高めるため各部を強化

【スズキ新型 GSX-S1000GT】基本骨格は踏襲し、振動対策やタンデム強化でタフな走りを実現

世界同時発表されたスズキの新型GSX-S1000GTは、スーパースポーツを思わせる堅固なフレームを前作のGSX-S1000Fから踏襲しつつ、新作シートフレームやアップデートされたサスペンションなどで走りを強化している。

高かった俊敏性を生かしながら、高速域の安定性やタンデム居住性を向上

タンデムランやパニアケース装着に備え、強化した新作シートレールを採用。

スズキが発表したGSX-S1000GTは、従来型に当たるGSX-S1000Fからメインフレームおよびスイングアームを踏襲しつつ、新作のシートレールなどを採用して“GT(グランドツアラー)”の資質を高めた。

スーパースポーツ的なツインスパーフレームと、先代(2017年式)GSX-R1000から転用したスイングアームは、路面を捉える能力や運動性、そしてハイスピードコーナリングおける安定性に定評があり、今回スズキはこれに手を入れる必要なしと判断。パッセンジャーシートの大型化など快適性を高めるためにシートレールを新作し、足まわりやエルゴノミクスに関わる部分の強化に集中している。

振動対策としてハンドルバーはラバーを挟み込んだフローティングマウントになり、ステップはアルミ地だった従来型からラバー付きに変更。ライディングポジションも変更され、上半身の前傾姿勢を軽減するとともに左右グリップ間も23mm広くなった。これらにより、快適なライディングとスポーティな走行を両立する。

SUZUKI GSX-S1000GT[2022 model]

SUZUKI GSX-S1000GT[2022 model]

フロントのKYB製φ43mm倒立フォークはフルアジャスタブルで、リヤサスペンションとともにセッティングを変更。前後タイヤはダンロップ製スポーツマックス・ロードスポーツ2になり、ドライ/ウエットで良好なグリップ力を得ている。このタイヤウォームアップの早さも特長だ。

フロントブレーキにはブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーを引き続き採用し、もちろんABSも完備。燃料タンク容量は19Lへと拡大(従来は17L)され、ロングツーリングに必要な航続距離を確保する。

エアロダイナミクスも向上しており、大型化したカウルやウインドスクリーンなどにより、高速巡行での安定性と快適性を追求している。

SUZUKI GSX-S1000GT[2022 model]

SUZUKI GSX-S1000GT[2022 model]

ライディングポジションは図のように変化。ハンドルグリップをライダー側に14mm近づけるとともに左右グリップ間は23mm拡大している。従来通りの優れた足着き性はキープしつつ、上半身はよりリラックスしたものになった。

[左]タンデムテスト時。ライダーの身長は170cm、パッセンジャーの身長は176cmだ。[右]ウインドスクリーンの両端を折り曲げたような形状とすることで、ライダーの肩に当たる風を軽減した。

テールセクションを含め灯火類はフルLED。新たにパッセンジャー用の大型グラブバーを標準装備している。

ヘッドライトはモノフォーカスタイプのLEDを採用し、左右それぞれでロー/ハイビームを担当する。

KYB製φ43㎜倒立フロントフォークは内部セッティングをアップデート。もちろんフルアジャスタブルだ。

フロントブレーキはφ300mmダブルディスクにブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーを組み合わせる。ホイールは従来型から継承するが、タイヤはダンロップ製スポーツマックス・ロードスポーツ2を新採用した。

オプション設定のサイドケースセットはフルフェイスヘルメットを収納可能。形状によって収納できないものもあるというが、比較的大きめのSHOEI・X-Fourteenを収納している写真もあった。

燃料タンク容量は従来の17Lから19Lに拡大。WMTCモード燃費は公表されていないが、STDモデルのGSX-S1000における燃費と容量を掛け合わせた航続距離は従来モデルと同等だ。

ライダー、パッセンジャーとも快適性を向上したシート。グラブバーも従来型にはなかった。スポーツライディングにも配慮されているという。

ライダー/パッセンジャーともステップバーはラバー付きに変更され、長距離ランにおける振動による疲れを軽減してくれる。

テーパー形状のハンドルバーはラバーマウントのフローティング式。手元の振動対策もバッチリだ。

ウインドスクリーンだけでなく、カウルマウントになったミラーもライダーの手元への風を軽減する。

プレスリリースでは特に触れられていないが、小型のウイングレットのようなものも。膝まわりの走行風を整流してくれるはずだ。

アンダーブラケット下にもカバーを設置し、フロントフォークのあたりからライダーの顔方向へと抜けてくる風をシャットアウト。

こちらはコンピュータによるシミュレーションで、肩と膝まわりの風の流れを解析。風洞実験とともにこうした技術も最大限に用いて開発は進められる。

SUZUKI GSX-S1000GT[2022 model]

主要諸元■全長2140 全幅825 全高1215 最低地上高140 軸距1460 シート高810(各mm) 車重226kg(装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 999cc 152ps/11000rpm 10.81kg-m/9250rpm 変速機6段 燃料タンク容量19L■キャスター25°/トレール100mm タイヤサイズF=120/70ZR17 R=190/50ZR17 ※諸元は欧州仕様

※欧州仕様の現行GSX-S1000Fは150ps/10000rpm、11.02kg-m/9500rpmで、国内仕様とは表記が異なっている

SUZUKI GSX-S1000GT[2022 model]


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