ホンダは欧州で125ccクラスのスポーツネイキッド「CB125R」の2021年モデルを発表した。新型エンジンを搭載するフルモデルチェンジで、ユーロ5適合ながらパワー&トルクアップを果たし、新たにSHOWA製φ41mmSFF-BP倒立フォークまで採用している。
ここでも来たかロングストローク化! 規制適合とパフォーマンスアップに欠かせない?
ホンダは欧州で新型「CB125R」を発表した。これは日本でも販売されているCB125Rのフルモデルチェンジ版で、新エンジンを獲得するとともに足まわりを強化し、さらにIMUと連動した前後ABS(従来型から継承)など、クラスを超えた装備を誇る。
なんといっても目玉になるのは新しい単気筒エンジンで、SOHC2バルブだった従来型からDOHC4バルブへと進化。これにより、ユーロ5に完全適合しながら1.2kW(1.63ps)のパワーアップと1.2Nm(0.12kg-m)のトルクアップをはたしているのだ。その結果、最高出力は14.96ps/10000rpmに。最大トルクは1.18kg-m/8000rpmとなり、最高速度は101km/hから105km/hに向上した。0-200m加速は11.3秒だという。
これを実現するための手法は、エンジンのヘッドがDOHCになっただけではない。もちろんSOHC2バルブからDOHC4バルブへの進化は著しいだろうが、注目したいのは58×47.2mmだったボアストロークが57.3×48.4mmへとロングストローク化されたこと。このところユーロ5への適合を謳ったモデルは排気量増大なども含め、ややロングストローク傾向へと振るのがトレンドになっているのだ。
ホンダで言えば、タイで発表された新型スーパーカブ110や、デザインも大きく変わった新型グロムなどは顕著なロングストローク。インドで発表され大注目されるハイネスCB350が搭載する新設計エンジンも、ハーレーを超えるロングストロークに驚きが走った。ほかにもヤマハ新型MT-09は排気量増大をストロークアップによって実現しているし、トライアンフのトライデント660はストリートトリプルSに比べて同排気量ながらストロークはやや長い。
こうした傾向からわかるのは、ショートストローク化は吸排気バルブ径を大きくできることから、高回転高出力化を追求する場合には欠かせないが、1滴のガソリンからより多くのパワーを搾り取ろうとすると、ロングストローク傾向の方が有利だということ。同じガソリンの量からもっとパワーを引き出せる=熱効率が良い、ということは同時に燃費もよくなり、排ガスのクリーン化にも効く。そんな密やかなトレンドが見えてくるのが、CB125Rの新エンジンなのである。……といったら少し大げさかもしれないが。
この結果、CB125RのWMTCモード燃費は45.5km/lとなり、10.1Lの燃料タンク容量と掛け合わせると約460kmという航続距離に。いつ給油したのかを忘れそうなレベルである。
φ41mm倒立フロントフォークは、ニンジャZX-25Rも採用するSFF-BPに進化!
フレームは現行型を踏襲しているが、これに組み合わせる足まわりは進化を遂げた。φ41mm倒立フォークが、SHOWA製SFF-BP(Separate Function Big Piston)にアップグレードされたのだ。このSFF-BPはカワサキのNinja ZX-25RがZX-6R並みの装備としてクラス初採用(φ37mm)したが、その上をいくサイズの採用は、まさしく125ccクラスとは思えない装備といえよう。
ブレーキシステムは従来と同じφ296mmディスク+ニッシン製ラジアルマウントキャリパーのフロントと、φ220mmディスク+1ポットキャリパーを組み合わせる。IMU搭載による前後2チャンネルABSも継承した。前後タイヤも従来と同様に前110/70R17/後150/60R17のラジアルタイヤを履く。
灯火類はフルLEDで、メーターはLCD。“ネオスポーツカフェ”のデザインは基本的に従来を踏襲している。リヤフェンダーのマウントは樹脂からスチール製になったようだ。
日本への導入も決定的だが、その時期や価格については続報を待ちたい。
HONDA CB125R[2021 model]欧州仕様のスタイリングとスペック
【HONDA CB125R[2021 model]】主要諸元■全長2015 全幅820 全高1055 軸距1345 シート高816(各mm) 車重130kg(装備)■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 124.9cc 14.96ps/10000rpm 1.18kg-m/8000rpm 変速機6段 燃料タンク容量10.1L■タイヤサイズF=110/70R17 R=150/60R17 ※諸元は欧州仕様 ●日本導入時期&価格:未発表
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