エキゾーストマニホールドやクランクケースなどのスタッドボルトは、いざ外そうとするとガッツリ固着して苦戦することが多いもの。そんな時こそ専用工具・スタッドボルトリムーバーを活用したい。ko-kenとKTCのおすすめツールを紹介しよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:山下工業研究所、京都機械工具 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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スタッドボルトの取り外しには専用プーラーを使いたい
スタッドボルトを利用する利点は、あらかじめ座面に植え込むことで相手のパーツをナットだけで固定できること。スタッドボルトとダウエルピンを併用すれば、クランクケースにシリンダーを組み付ける際に正確な位置にセットすることもできる。ただしボルト自体につかめる場所がないため、取り外す際には苦労する。
2個のナットを重ね合わせたダブルナットは一般的な手段だが、固着したボルトには歯が立たず、長いスタッドでは根元まで力が伝わらない。そこで活用したいのが専用工具だ。
スタッドボルトリムーバーを大別すると、ディープソケットのような形状と、ボルトと駆動部分がオフセットした2タイプがある。いずれの工具も長いスタッドボルトの根元をつかめるのが特長だ。ボルト自体の反発力に影響されず力を加えられれば、固着したボルトも緩みやすくなるのは明らか。
ただ、いくら工具が優れているといっても事前の準備も重要。緩める前には浸透潤滑剤をスプレーして、アルミと鉄の膨張率の違いを利用して加熱するのも有効だ。
サビて見苦しいので交換したい、張り付いたガスケットをきれいに剥がしてオイルストーンで座面を整えたいなど、メンテナンスやレストアでスタッドボルトを抜きたい場面も少なくない。スタッドボルトリムーバーがあれば、そんな時にもスムーズに作業が進められるのだ。
固着していてもしてなくても抜き取り前には根元を加熱しよう
熱や水分で固着したスタッドボルトを無理に外すと、途中でねじ切れたり雌ネジが破損することもある。リムーバーを使う際にも、加熱による膨張差でケースとボルトの間にわずかな隙間を作り、潤滑剤を浸透させることで、ケースと工具の双方を保護できる。
おすすめスタッドボルトプーラー×5選
ひとくちにスタッドボルトプーラーといっても、使えるサイズが決まっているタイプから調整可能なタイプ、ハンドルのあり/なしなど様々な種類が存在する。自分の使い方にあったものを選びたい。
スタッドボルト抜きセット4211M[ko-ken]
ディープソケットのような内側に3本のローラーがあり、回転することでスタッドボルトに食い込ませる。4211Mは使用頻度の高い4本のセット品で、各サイズ単品販売もある。
ラチェットプラーセット(ショート) 1201[ko-ken]
ソケット専業メーカーならではの、ハンドル付きラチェットプラ―。ラチェットハンドルのようなデザイン通り、同一方向に連続的に回せるためスピーディな作業が可能。回転力は一方向のみに伝わるので、本体の表裏で締めと緩めを使い分ける。
スタッドリムーバー 4104[ko-ken]
2ヵ所の貫通穴を使い分けることで、φ6mmからφ19mmのボルトまで対応できるのが特長。偏心したローラーが下面ギリギリまで迫っているので、スタッドボルトだけでなくケースにセットされたダウエルピンを回しながら抜くことができる。
本体の直径がφ54mmなので、ボルトの周囲にある程度の空間が必要となる。排気熱で焼き付いた自動車用エキパイとマフラー間のスタッドでもしっかり力を加えられる。
12.7sq. スタッドボルトリムーバーセット(4コ組)[KTC]
KTCにはM6、M8、M10、M12用のリムーバーがあり、その4本をまとめたセット品。内部の3本のローラーが3方向から接するため、ホールド性が良好で安定した作業が可能。泥やサビが付くとローラーが傷むので、ボルトの汚れを落として使用する。
外径はφ24mm(M6~M10。M12はφ28mm)なので、周囲に余裕がなくても使いやすい。ハンドル類の差込角は12.7sq.で、後部に21mmの六角部があるのでボルトを貫通して使える。
12.7sq. スタッドリムーバー[KTC]
サイズごとに使用できるボルト径が決まっているソケットタイプのリムーバーに対して、このリムーバーは許容範囲が広いのが特長。2カ所の穴の使い分けでφ6~19mmまでシームレスに対応する。構造はシンプルだが、ボルトへの食いつきは強固だ。
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