ハーレーでもスポーツライディングを楽しみたい。そこでXR1200に、メッツラーが公道レースで勝つために開発した「RACETEC RR」を装着。ピレリジャパンが主催するサーキット走行会「FUN TRCK DAY in 袖ヶ浦フォレストレースウェイ」に参加してみた。最新プロダクションレースタイヤの乗り味やいかに!!
●文:青木タカオ(ウィズハーレー編集長) ●写真:大谷耕一 ●取材協力:メッツラー(ピレリジャパン)、SP忠男浅草店 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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公道最速技術を惜しみなく注ぎ込まれたレーステックRRをXR1200に装着し、スポーツ走行
アイリッシュ海に浮かぶ島の公道をサーキットに見立て、時速330km以上で駆け抜けることで有名なマン島TT。世界最古の公道レースであるとともに、サーキットより道路環境が厳しい過酷な状況下でおこなわれることから究極のバイクレースとして名高いが、そんな世界最高峰のレースにメッツラーはタイヤ供給を続け、輝かしい成績を収めている。
そして、そんなシーンで培われた公道最速技術を惜しみなく注ぎ込んでいるのが「レーステックRR」だ。メッツラーでもっともアグレシッブな公道走行可能タイヤで、言うなればトップパフォーマー。その乗り味はどんなだろうかと、想像するとワクワクせずにはいられない。
レーシングシーンに詳しく、あらゆるブランドのタイヤを豊富に取り扱うSP忠男浅草店のメカニック橋本さんに相談すると、XR1200に装着する場合、120/70ZR18の前輪が1サイズ細くなり110/80に。リヤは180/55ZR17がピッタリはまると教えてくれた。これを履き、ピレリジャパンが主催するサーキット走行会に参加することに決めた。
サイズ変更はいかがなものか少し不安になったので、メーカー担当者に問い合わせてみると「推奨していませんが、サーキット走行という限られたシチュエーションであることを考えると、許容範囲ではないでしょうか」とのこと。
サイズ表にある通り、K1〜3までコンパウンドがあり、フロントはK1、リヤはK2というもっともグリップ力の高い組み合わせとなった。溝の少ないスーパースポーツが履くタイヤを、フルノーマルのXR1200が履くのは少し違和感があるものの、見るからにレーシーでカッコイイ。
タイヤに貼られたステッカーラベルにはドライ性能6点、ハンドリング5点が付けられているのに対し、耐久性は2点、ウエットに関しては1点と、極端なキャラクターであることがハッキリ示されている。雨が降ったらどうしようかと思いつつ、ウットリ眺めていると「できればタイヤウォーマーで暖めてから走ってください」と橋本さんにアドバイスをいただく。そう言われても、タイヤウォーマーなど持っていない。
当日は晴れたが、朝は気温が低いので慎重に走り出す。欧州の寒いサーキットで鍛え抜かれたレーステックRRは、ポリマーのブレンドによって低温でも高い柔軟性を発揮し、暖まるのも速い。
袖ヶ浦フォレストレースウェイは首都圏から約1時間と近いので、自走でも苦にならない。1周2436メートルのこぢんまりとしたコースだが、インジェクションチューニングもしていないXR1200で走るには十分すぎる広さ。走行は20分×3本で、これまたお腹いっぱいになるほど走れる。
以前も違うバイクで参加したが、みなジェントルなライダーばかりで、販売店を通じてエントリーしているからなのか常連さんが多くアットホームな印象。初めてでも暖かく迎え入れてくれる。
少しずつペースを上げていくが、タイヤがもっといけると訴えかけてくるから、グイグイ攻めていく。視線を向けるだけで機敏に車体が寝ていき、どっしりと重厚なハンドリングのXR1200がこんなにも軽快に動き、シャープに向きを変えてくれるなんて驚いてしまう。1サイズ細くしたのも、コーナーアプローチのスムーズさに繋がっている。苦手な切り返しさえも軽く、もしや奇跡のマッチングなのかもしれない。
そもそもフロント18インチで、後輪荷重を起点に向きを変えていくスポーツスター。フロントに依存しないのだから細くすることで、軽快性を高める方向となったとも考えられる。
旋回中も高い接地感があり、路面をしなやかに掴む抜群のグリップ力が安心をもたらす。このタイヤでは、ステップ裏のバンクセンサーが路面を擦るのは限界よりだいぶ早い段階で、つまりライダーには絶えず余裕がある。
ギャップを拾っても衝撃はやさしく包み込まれ、サスペンションがグレードアップしたかのような路面追従性を見せてくれ、車体が暴れるようなこともない。サーキットを走っていても快適性が向上し、疲れにくいことがわかる。
車重のあるXR1200でも剛性不足などは感じず、アクセル全開のストレートでも落ち着いているし、ブレーキもより安定して掛けられ、全方向にメリットを感じた。今回のような自走でサーキット走行会という用途には、最強のタイヤと言っていいだろう。これは病みつきになりそうだ!
ピレリFUN TRCK DAY
SP忠男浅草店:ハーレーのタイヤ交換もお任せ!!
リプレイスタイヤを中心に、ブレーキパッドやオイル交換などメンテナンスにも定評のあるSP忠男浅草店。首都圏のライダーにはお馴染みのショップで、ハーレーのタイヤ交換もお任せできる。豊富な知識と在庫から、オーナーの要望に合わせたベストな銘柄を選んでもらえ、カフェのような居心地の良い作業待ちスペースで、愛車を眺めながらゆったりと作業を待つことができるのも嬉しい。
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