トコトコ走れる癒やしの1台

レーシング女子・岡崎静夏のモンキー125試乗インプレ【”ゆるふわ”バイクは貴重な存在】

国内レースJ-GP3に参戦するなど活躍を続ける女性レーサー・岡崎静夏さんが、’19ホンダモンキー125〈ABS〉に試乗。前ページのマシン詳細解説編に続き、今回は試乗インプレッションをお届けする。レースで転倒しケガしてしまった岡崎静夏さんだが「モンキー125なら大丈夫!」と笑顔。むしろあちこち行きたくなったようだ。


●まとめ:高橋 剛 ●写真:楠堂亜希 ●取材協力:ホンダモーターサイクルジャパン ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

岡崎静夏(おかざき・しずか):チャーミングな笑顔でも中身はスパルタンな「バイクフリーク」。’09~’10年、MFJレディースロードレースで2年連続王者に。全日本はGP-MONOを経て’12年からJ-GP3に参戦中。

'19ホンダモンキー125 岡崎静夏インプレッション

遊園地用の乗り物として作られたZ100を発端に、好評に後押しされ進化し続けた人気モデル・モンキー。長く50ccエンジンを搭載してきたが、’18年、グロムベースの125ccエンジンを搭載してスケールアップ。遊びゴコロはそのままに、装備を充実させた。

【’19 HONDA MONKEY 125 ABS】主要諸元 ■全長1710 全幅755 全高1030 軸距1155 シート高775(各mm) 車重105kg(ABS 107kg) ■空冷4スト単気筒OHC2バルブ124cc 最高出力9.4ps/7000rpm 最大トルク1.1kg-m/5250rpm 4速リターン 燃料タンク容量5.6L ■タイヤサイズF=120/80-12 R=130/80-12 ●税込価格:44万円(ABS)

’19全日本J-GP3最終戦鈴鹿の決勝で、ハイサイド転倒をしてしまった岡崎静夏です。他のライダーの方たちをビックリ転倒させてしまい申し訳なかったんですが、私自身も尾骨を骨折してしまい……。いいサスペンションセッティングが見つかって、「これなら攻められる!」と、つい勢いに乗りすぎてしまった結果の出来事でした。でも、それまで自分はかなりのドン底、まったく思うように走れずにて、レース活動を諦めようかと思っていました。そこに見えてきた光明…、結果は転倒でしたが、今後につながるレースになったと思います。’20シーズンも優勝めざして頑張ります!

…というわけで、オシリが本調子ではない私にとって、今回のモンキー125は最高の相棒になってくれました。

何しろ車重が軽いので取り回しがラク! そしてシートがフカフカでオシリにも優しい! 快適で楽しい長期インプレッションができました。

普段はレースやトレーニングでアグレッシブにバイクと付き合うことが多い私ですが、モンキー125はその対極にある「癒やしのバイク」。コンパクトなサイズ感と軽さで、(一応は)か弱い女子である自分でもまったく気兼ねなく、思い立った時にスッとまたがれます。

車体に気を使う部分がないって、こんなに気楽なんですね! 気持ちに余裕があるから、景色を眺めて楽しんだり、周囲の交通に気配り目配りしてより安全にライディングできます。

しかも4速ギヤが付いていて、シフト操作ができるから、スクーターとはひと味違うスポーティさ。ただお気楽なだけじゃなくて、スポーツバイクらしい操る喜びを味わうこともできるんです。

基本的には、攻めようとかチャレンジしようとかいう気持ちにはなりません。のんびりと、トコトコと、気の向くままに走るのが似合います。そこがまたモンキー125のよさ。

Uターンが苦にならないから、どこにでも入って行けちゃうんですよね。身近な街でも、モンキー125で行けばきっと新しい発見ができるんじゃないかと。

ブレーキは十分に利くけど、サスペンションが柔らかいので、スポーティな走りはそんなに得意じゃありません。ハードブレーキング時はタイヤのグリップ感が分かりにくいんです。そういう走りをするバイクじゃないしね!

モンキー125は、まず見た目がいいですよね。歴代モンキーの流れを汲みながら、ちゃんと今っぽい雰囲気があるし、とにかくかわいい! 最近のスポーツバイクはかなりトガったデザインが多い中、モンキー125は角がなくて、あちこちまるまるっとしてて、女子ゴコロをわし掴みです(笑)。

「バイクバイク」してないから、自分の地元の横浜なら、元町あたりにちょっと置いてあっても似合いそうなオシャレさ。高校生が友達と色違いで揃えて、みんなで写真を撮ったりしてもよさそうですよね。インスタ映えするバイクだなって思います。

余裕のあるオトナのライダーなら、1台メインのバイクがあって、モンキー125をホビーバイクとして楽しむっていうのもアリですよね。ちっちゃくて置き場所にも困らないから、こっそりと買い増しできてしまいそうです。

足も着くし、車体もちっちゃいので、ちょっとしたオフロードにも不安なく分け入ることができます。スポーツバイクでは見られない景色に出会うことができるって、すごく楽しい!

いわゆる普通のインプレッションがあまり似合わないバイクですが、あえて書かせてもらうと……、エンジンは決してパワフルではありません。125ccで9.4psですから、刺激的と言ったらウソになります。

でも正直に言えば、一般道での街乗りにはちょうどいいんじゃないかな。交通量のある国道を走りましたが、ちゃんとクルマの流れについていくことができたし、何なら発進加速ならちょっとリードすることもできます。

高速道路は走れないし、余裕しゃくしゃくというわけじゃないけど、低回転域からトルク感があって、トコトコ走るには十分だと感じました。この特性は、ソフトなサスペンションとのマッチングもぴったりです。

そう、モンキー125に乗っていると、時間に余裕を見て動くようになるんです。通勤なんか「ギリギリでもバイクなら何とかなる!」と思いがちだけど、モンキー125だと「早起きして、早めに準備を済ませて……」と、時間に追われないように気を付けます。それって結果的に、生活にゆとりが生まれるんだなあって思いました。

バイクって、乗る人の気分に寄り添う乗り物です。スポーティなバイクであるほどアドレナリンが沸き上がります。サーキット走行やレースなんかでは本当にイイですよね。

でも一般道では、モンキー125のように乗る人の心を落ち着かせて、ゆとりを持たせてくれるバイクって、アリだと思うんです。そういう存在って大事じゃないかなって。

まるっこいスタイルに、トコトコのエンジンに、ケガしたオシリにも優しいソフトなシートとサスペンション。全体的にゆるふわのモンキー125、すっかり私になついてくれました(笑)。

お気に入りポイントはデザイン!

前後フェンダーやマフラーカバー、ヘッドライトリムなどあちこちがピカピカのクロームメッキ。レーシングデザインのホイールなど、ルックスに手を抜かないのがGOOD!

女子の私でもクルクルと扱えるのがモンキー125の強み! 例えば細道に入り込んでUターンする必要が出てきても、降りて押してしまえばラクラクです。軽量コンパクトな車格がバイクでの遊び方、楽しみ方を広げてくれます。

インプレッションまとめ

  1. スタイリング
    タンクと車体の各パーツを青で統一するなど、とにかくキレイでカワイイ! 最高にインスタ映えする1台です。
  2. ツーリング
    どんな道でも不安がないので、いろんな所に行きたくなります。フォームがラクだから、ウエアが厚手の冬もOK!
  3. 街乗り
    小回りが利くので、通勤や買い物などに便利。カバンを背負ってもまったく苦にならないフォームも助かりました。
  4. 走破性
    段差や凸凹道を通過してフラついたりした時も、車体が軽いので余裕でクリア。12インチホイールも利いてます。
  5. コストパフォーマンス
    ABS付きで44万円、私は安いと感じました。細部まで雰囲気を大事にしたデザインは、所有する喜びでいっぱいです。

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