
ヤマハ発動機販売株式会社は、水冷直列4気筒997cm³エンジンを搭載するサーキット走行専用モデル「YZF-R1 レースベース車」を、2027年2月26日より順次発売する。1998年の誕生以来、スーパースポーツ市場を牽引してきたフラッグシップ「YZF-R1」の血統を受け継ぎ、カーボン製ウイングレットやブレンボ製キャリパーなど、サーキット用途に特化した最新装備を標準採用した受注生産モデルだ。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:ヤマハ発動機
不等間隔爆発とスロットルシンクロが生み出す極限のリニアトルク
YZF-R1は、1998年に欧州仕様の販売を開始して以来、スーパースポーツカテゴリーを牽引してきたヤマハモーターサイクルのフラッグシップモデル。そのアイデンティティを決定づけているのが、MotoGPマシン「YZR-M1」の技術を投影したパワーユニットだ。
シリンダー内径×行程は79.0mm×50.9mm、圧縮比13.0:1に設定された水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジンは、不等間隔爆発(270°-180°-90°-180°)をもたらす「クロスプレーン型クランクシャフト」を採用。一般的な直列4気筒とは異なり、クランクピンを90度位相に配置することで、慣性排気干渉によるトルク変動を抑え、最もリニアなトルク特性と卓越したスロットルコントロール性をライダーにもたらす。
このメカニズムを完璧にコントロールするのが、スロットルバルブの開度を電子制御する「YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)」と、吸気管(インテークファンネル)の長さを変化させる可変吸気システム「YCC-I(ヤマハ電子制御インテーク)」の高度なシンクロだ。
1/1000秒単位でECUが応答して吸入空気量を極めて精密に管理するYCC-Tは、滑らかで破綻のないトルク曲線を紡ぎ出す。ここに、エンジン回転数に応じてファンネル長をわずか0.3秒で伸縮させるYCC-Iが連動。低回転域の力強いトルクと、高回転域へ回した際の伸び上がるようなパワーを高度に両立させる。この連携が、コーナー立ち上がりでの精密なトラクションコントロールと、ライダーとマシンとの一体感に満ちたコミュニケーションを高い次元で成立させる。
2026年モデルの空力を完全継承。ウイングレットがもたらす高速域の安定性
今回発売される「YZF-R1 レースベース車」は、2026年モデルのスーパースポーツ「YZF-R1」をベースとし、レースやサーキット用途に不要な灯火類やミラー、タンデムステップなどの公道用部品をあらかじめ取り除いたコンペティション専用仕様だ。
車体両サイドには、空力デバイスであるカーボン製ウイングレットを標準装備する。このウイングレットは、MotoGPのテストとシミュレーション開発からフィードバックされた形状であり、高速域における強力なダウンフォースの発生により、ブレーキング時やコーナリング時における車体の安定性と、フロントエンドの接地感を直接的に高める設計となっている。
さらに、シートにはライディング中の身体のずれを抑制し、ハイスピード領域でのホールド性を確保するために、グリップ特性を高めたシート表皮が継続採用されている。
左右独立調整フォークとブレンボ製Stylemaがもたらす制動セッティング
走行性能を左右する足まわりも、サーキット仕様に準じたコンポーネントが与えられている。
サスペンションは、フロントに43mm径の倒立フロントフォーク、リヤにリンク式モノコックサスペンションをレイアウトする。フロントフォークには、伸圧減衰力左右独立調整式が採用されている。このアジャスター機構の採用により、プリロード、高速・低速の圧側減衰、および伸び側減衰を左右で独立してフルアジャスト可能。
サーキットの路面状況やライダーの好みに応じた極めて緻密な減衰コントロールを可能にし、優れた応答性とロードインフォメーションを提供する。
制動系には、フロントに320mm径のダブルディスクブレーキを装備する。ここにブレンボ製モノブロックキャリパー「Stylema」とラジアルマスターシリンダーを組み合わせている。このシステムは、ブレーキキャリパー自体の歪みを抑えることでダイレクトな制動力を発揮し、コントロールフィーリングを高める。
ホイールには、従来のアルミ鋳造ホイールと比較して1kg以上の軽量化を達成したマグネシウム製の10本スポークホイールを採用。ばね下重量を低減し、ターンイン時の軽快なハンドリング特性を確保した仕様となっている。
11月27日が最終期限。2期に分かれる期間限定予約を逃すな
「YZF-R1 レースベース車」は、公道走行用部品を取り除いた、純粋にコンペティション用途のためだけに仕立てられた存在だ。日本国内での発売日は2027年2月26日。税込価格は244万2000円(税抜222万円)となっている。
本モデルを手に入れるための動線は、完全な期間限定予約による受注生産のみだ。その予約窓口は全国の「ヤマハオンロードコンペティションモデル正規取扱店」となる。
予約受付は2回に分けて実施される。第1次は2026年9月1日から9月15日まで。第2次は2026年9月16日から11月27日までとなっている。これ以降の追加生産はなく、サーキットをこのフラッグシップとともに駆け抜けるためには、この限られた受付期間内での予約が必須。1998年から続くRの遺伝子を手に入れ、純粋な走りの舞台に身を投じるためのタイムリミットは、すでにカウントダウンを始めているぞ。
YAMAHA YZF-R1 RACE BASE MODEL [2027 model]COLORS
【YAMAHA YZF-R1 RACE BASE MODEL】●ブラック
YAMAHA YZF-R1 RACE BASE MODEL [2027 model]SPECS
| 主要諸元 | YZF-R1 レースベース車 |
|---|---|
| 全長 | 2055mm |
| 全幅 | 690mm |
| 全高 | 1150mm |
| ホイールベース | 1405mm |
| 最低地上高 | 130mm |
| シート高 | 855mm |
| 車両重量 | 203kg(※公道仕様の参考値) |
| エンジン形式 | 水冷 4ストローク DOHC 4バルブ 直列4気筒 |
| 総排気量 | 997cc |
| 内径×行程 | 79.0mm × 50.9mm |
| 圧縮比 | 13.0:1 |
| 燃料供給装置 | 電子制御式燃料噴射 |
| 始動方式 | セルフスターター式 |
| トランスミッション | 6速リターン(アシスト&スリッパークラッチ) |
| 燃料タンク容量 | 17L |
| サスペンション(前) | KYB製43mm径倒立フォーク(伸圧減衰力左右独立調整式) |
| サスペンション(後) | KYB製リンク式モノショック |
| ブレーキ(前) | 320mm径ダブルディスク + ブレンボ製Stylema 4ピストンモノブロックキャリパー |
| ブレーキ(後) | 220mm径シングルディスク |
| タイヤサイズ(前) | 120/70ZR17 |
| タイヤサイズ(後) | 190/55ZR17 |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(レース)
不等間隔爆発とスロットルシンクロが生み出す極限のリニアトルク YZF-R1は、1998年に欧州仕様の販売を開始して以来、スーパースポーツカテゴリーを牽引してきたヤマハモーターサイクルのフラッグシップモ[…]
パンアメリカでのレースは今回が初参戦。それでも決勝では見事なスタートを決め、ホールショットを奪った。 ハーレーダビッドソン高崎の経営母体であるヤナセオート。そのスタッフである“抹茶いぬ”こと越山大地さ[…]
「賞典外」でも関係ない。名車CB400SFがE-Clutchを積んでサーキットへ降臨する衝撃 バイク乗り、特に中型クラスを愛する者にとって、CB400SFという存在は特別なものだ。その美しい直列4気筒[…]
アラゴンGPで圧倒的な強さを見せて完全復活を果たしたマルク・マルケス選手。自身の好調さを証明しつつも、実は怪我で離脱中の小椋藍を密かにライバル視している。完全復活を遂げた王者が、若き挑戦者との直接対決[…]
欠場も焦る必要なし!年間最多レース時代に求められる戦い方 MotoGP第12戦イギリスGPで、小椋藍選手(SuperFile Trackhouse MotoGP Team)が転倒、リタイヤを喫しました[…]
人気記事ランキング(全体)
シリーズ累計5700万部突破!猫猫の「毒と薬」の魔力が現代の読者を惹きつける 架空の中華風帝国「茘(リー)」を舞台に、後宮の薬師・猫猫(マオマオ)が、美形の宦官・壬氏(ジンシ)に翻弄されつつ、王宮の事[…]
ヤマハ初期型「RZ250」の復刻外装セットが登場 ワイズギアから、1980年の伝説の名車「RZ250」の流麗なスタイリングを蘇らせる「復刻サイドカバー&テールカウルセット」が登場した。当時のニューパー[…]
クルマでもバイクでもない!街中をスイスイ駆ける超コンパクトEV スマートに、スタイリッシュに街を駆け抜ける。 そんな都市型モビリティの未来を現実のものとしたひとつの答えが、今回オートバックスで受注が始[…]
スタンダードは青玉虫と108万円台の価格を完全に据え置き継続 昨今の物価高により、新車二輪車の価格上昇が常態化するなか、カワサキが2027年モデルの「Z650RS」スタンダードモデル(メタリックオーシ[…]
一度味わうとクセになる高揚感、トライグライドウルトラをレンタル 大排気量Vツインを心臓部にするハーレーに、長年憧れを抱いてきた。しかし、大型二輪免許が必要で、自分はクルマの免許しか持っていない。あるい[…]
最新の投稿記事(全体)
持っていても買い足したいショートヘッド&マグネット仕様 短辺が長すぎず、サイズを一発で判別できるよう軸部に配色したL型レンチは他にもあるが、ボルト保持のために長辺側の先端にマグネットを装備して[…]
先代比14kg軽量化の177kgを達成したハイパーモタードV2 SPの構造 新型ハイパーモタードV2 SPは、2005年のEICMAで発表されたプロトタイプから20年を経て再構築されたスーパーモタード[…]
不等間隔爆発とスロットルシンクロが生み出す極限のリニアトルク YZF-R1は、1998年に欧州仕様の販売を開始して以来、スーパースポーツカテゴリーを牽引してきたヤマハモーターサイクルのフラッグシップモ[…]
ヘリコプター用「フラット6」をリヤに積む狂気 まず度肝を抜かれるのが、圧倒的な低重心とハイパワーを求めて、開発者プレストン・タッカーが選んだヘリコプター用・空冷水平対向6気筒エンジン。タッカーはこれを[…]
スズキが放つ異色のゲームコンテストが始動 スズキは、ビジュアルプログラミングアプリ「スプリンギン」を展開するしくみデザインとタッグを組み、「第3回SUZUKI×Springin’コンテスト」の開催を発[…]
- 1
- 2

















