【コーナリングが別次元に良くなった!】ヤマハ シグナスX2026年モデル試乗レポート

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【コーナリングが別次元に良くなった!】ヤマハ シグナスX2026年モデル試乗レポート

ヤマハの原付二種スクーター・シグナス グリファスが生産終了モデルとなり、新たにシグナスXが登場。“え!? それってシグナス グリファスがモデルチェンジしたモデルじゃないの?”と思ったら違った! 新作フレームをベースに、ブレーキやサスペンションまで全体的なスポーツ性を底上げして生み出されたのがシグナスXだったのだ!

●試乗・文:谷田貝 洋暁 ●写真:真弓 悟史 ●BRAND POST提供:YAMAHA [Y’S GEAR]

2026年5月22日に登場したシグナスXは、写真のブルーイッシュホワイトパール 1 (ホワイト)に加え、ディープパープリッシュブルーメタリック C (ブルー)、 マットダークグレーメタリック 8 (マットダークグレー) の3色展開。価格は税込38万9400円。

2026年モデル シグナスXのスタイリング

シグナスX:カラーリングはブルーイッシュホワイトパール1(ホワイト)。

新フレームと新デザインと共に新しい名前が与えられたシグナスX。

先代のシグナス グリファスに比べてデザインはよりスリムでスポーティに進化を遂げた。その傾向が特に顕著なのはフロントマスクからハンドルにかけてのデザイン。

小型高輝度プロジェクター式LEDヘッドランプの採用に合わせてより凝った面構成となり、スタイリッシュさがアップした印象だ。

シグナスX:カラーリングはブルーイッシュホワイトパール1(ホワイト)。

シグナスXにスイッチするかたちで生産終了モデルとなったシグナスグリファス。

CYGNUS X(8BJ-SEM5J)の主要諸元

■全長1865 全幅715 全高1125 軸距1340 シート高785(各mm) 車重126kg(装備) ■水冷4スト単気筒SOHC4バルブ 124cc 12ps/8000rpm 1.1kg-m/6000rpm 変速機形式CVT 燃料タンク容量6.1ℓ ■ブレーキ F=ディスク R=ディスク ■タイヤF=110/70-12 R=130/70-12 ●価格:38万9400円

RIDING POSITION

テスター:谷田貝 洋暁 身長172cm/体重75kg

シート高は785㎜で、数値は先代のシグナス グリファスと変わらず。だが新型のシグナスXはシートの先端がより細く絞り込んだシート形状が採用されており、ちょっと前にお尻をずらすと足着き性が抜群によくなる。ただし、ちょっとシートの前のめり具合が強まった印象で走っているとお尻が前にずれてくる。

で? 結局のところシグナス グリファスからナニが変わった!?

先代のシグナス グリファスに比べると明らかにコーナリングでトラクションをかけたような場合の加速がしやすく、気兼ねなくスロットルを開けられるようになったシグナスX。全てはフレーム剛性アップを起点とするスポーツ性向上の賜物だ。

スタイリッシュでスポーティなスタイリングが与えられたシグナスX。走りに関しても見た目を裏切らないスポーティなキャラクターのスクーターとなっている。

先代にあたるシグナス グリファスとは、軸間距離やキャスター&トレールといったディメンションはそのまま引き継いでいるものの、パイプの厚みを増すなどの強化を行なった新フレームを採用。

シグナスXのフレーム。シグナス グリファスから鋼管部分の形状を変更するとともに板厚を2.0㎜から2.3㎜へ肉厚化。また要所に補強プレートを追加するなどして車体剛性をアップ。具体的な数値で言えば、縦剛性に関して約19%もの剛性アップを果たしたという。

確かに先代のシグナス グリファスは高速コーナーで大きな応力をかけたような場合に、“スロットル開度はこのくらいにしておこうかな?”なんて手心を加えたくなるような場面があった。一方、新型のシグナスXはトラクションコントロールを新採用したこともあり、気兼ねなくスロットルを開けてコーナーの出口を目指せるようになった印象だ。

…となると気になるのは足回りや制動面だが、こちらのブラッシュアップも抜かりない。足回りに関しては、まずフロントホイールの幅をサイズダウンして軽量化するとともに、タイヤ幅を10㎜細くすることでより軽快なハンドリングを手に入れた。

次に剛性アップしたフレームに合わせて前後のサスペンションの仕様変更を行い、ブレーキに関してもフロントブレーキのディスクをより大径化して、キャリパーのピストン径やレバー比の再設定を行う気合の入り具合。

クリッピングポイントギリギリまでフロントブレーキで車速をコントロールを行い、一気に旋回に持ち込むような車体に負担がかかるコーナリングを行ってもシグナスXはフレーム負けしない!

実際走ってみると、シグナス グリファスに比べて確かに走行性能が全体的に底上げされていると感じる。この手の4スト125ccスクーターはレースベースとして使われることも多いのだが、新型シグナスXはこのあたりの“レース事情も汲んでいるのではないか?”と邪推したくなるほど車体のスポーツ性が増している。

まぁ、そのおかげで若干フレームの振動吸収性が少なくなったのか、ハンドルへの振動の伝わりが大きくなったような気がするが、この走りの良さのためなら致し方なしといったところだ。

エンジンは先代のシグナス グリファスから引き継ぐと共に新たにトラクションコントロールシステムを追加。また優れた加速感のために、駆動系のCVTウェイトの軽量化やスプリングの荷重調整を行なっている。

また特筆すべきはやはり新たに得ることになったトラクションコントロールシステムだろう。ABS同様、前後車輪の回転差から後輪の空転を検知してインジェクションの噴射をカット。瞬間的にエンジン出力を抑えてスリップダウンを防ぐという電子制御システムであるが、やはり付いていれば雨天時の安心感が段違い。

スロットルを開けた状態で濡れたマンホールや鉄製の橋脚の継ぎ目を踏んだときに感じるあの嫌な後輪の空転…。ライダーなら誰もが一度はあのニュッという感触にキモを冷やしたことがあるだろう。

運悪くスロットルを開けすぎていればそのままスリップダウン転倒……なんてことが起きうるのだが、トラクションコントロールシステムは、そうなる前に出力を抑えてスリップダウンを防いでくれるのだ。

通勤・通学をすれば走るのは晴れの日ばかりじゃない。そんな毎日走り続けるライダーの強い味方となるのがトラクションコントロールシステム。ABSもそうだが悪条件下における安心感がとてつもなく大きく、一度効果を実感してしうまうと、もうトラコン無しのモデルには戻れなくなるほど。

フレーム刷新を起点とする全面的なスポーツ性の向上に加え、トラクションコントロールシステムの追加など、先代のシグナス グリファスに比べて機能が大幅に進化しているシグナスX。

価格を見てみれば先代のシグナス グリファスが37万4000円なのに対し、シグナスXは38万9400円とその差は僅か1万5400円。異常な物価高騰が叫ばれる現代にあってシグナスXの価格設定は“ヤマハあっぱれ!”としか言いようがない。

2026年モデル シグナスXのディティール

よりスリムで洗練されたデザインが与えられることになったシグナスX。先代のシグナス グリファス比でタイヤが細くなったり、小型のメーターバイザーが廃止されたこともあってだろう、デザイン面からもよりスポーティに進化したのがわかる。

より立体的になり、メーターが浮き出るようなスポーティかつ洗練されたデザインに生まれ変わったシグナスX。メーターにスマートフォンコネクト機能は非搭載。

自動調光機能を搭載した高コントラストカラー4.6インチLCDメーター。表示内容は、タコ、速度、時計、燃料計、オド、トリップ×1、航続可能距離(RANGE)、TCSのオン/オフなど。RANGE表示は残り3km(!)までちゃんと表示し続ける親切仕様となっている。

6000回転を境に“低速トルク重視”と“高回転の伸び重視”の吸気バルブカムプロフィールをスイッチするバリアブル・バルブ・アクチュエーション(VVA)をシグナスグリファスから継続採用。最高出力も変わらず12ps/8000rpmで、最大トルクは1.1kg-m/6000rpm。

スロットルの開けすぎによる後輪の空転を感知すると出力を抑えてスリップダウンを防ぐトラクションコントロールシステムを新採用。この安全機構は通勤・通学など天候や路面状況が選べない用途でこそ活きる。

やや太めで楕円形状のグリップを持つシグナスX。スイッチボックスの機能に関しては、シグナス グリファスからハザードのオン/オフスイッチが追加されている。

Fブレーキディスク径を見直して大径化するとともに、ブレーキレバー比&レバー形状を最適化。左ブレーキには前後ブレーキを協調制御するUnified Brake System(前後連動ブレーキ)も搭載。

軽快なハンドリングのためにフロントホイールの幅から足回りを見直し、タイヤサイズは幅が10㎜細い110/70-12サイズに。これに合わせサスペンションはインナーチューブ長を5㎜伸長し、衝撃吸収性は維持しつつも優れた路面追従性を追求した。

エンジンは先代のシグナス グリファスのユニットをベースにCVTの諸元も変更。加えてトラクションコントロールシステムを新採用。アイドリングストップ機構はないものの、スターターモーターにSMGシステムを採用したことで始動音が静かになった。

“豊かで存在感ある排気サウンドを奏でる”ためにテールパイプの径をアップ。決してうるさいほどではないが、確かに排気音が野太くなった印象を受けた。

灯火類は、ヘッドライトやテールランプ、後ウインカーなどがLEDで、前ウインカーとナンバー灯にバルブを採用している。

剛性の高い新フレームに合わせてリヤのツインショックも仕様変更。バネレートで約12%ソフト化する最適化を行っている。4段のプリロード調整機構を備えているのは変わらず。

フロントディスクブレーキはΦ267㎜とシグナス グリファスのΦ245㎜からサイズアップして強化。同時にキャリパーのピストン径もφ25.4㎜からφ27㎜に変更されている。

和装洋装問わず乗車しやすく、荷物も置けるフルフラットタイプのフットスペース。新フレーム&新デザインのおかげでフットスペースが前後方向に広くなると共に前方のフットレストの角度が緩くなったりと快適性も向上している。

シート底部を新設計し、クッション材も見直すことで快適性アップを狙った。加えてシートの先端形状をよりスリム化することで足着き性向上を追求している。

シート下スペースは約28ℓを確保。写真のジェットヘルメット(Arai クラシック エアDX)はもちろん、モデルによってはフルフェイスヘルメットも収納可能だとか。

シートヒンジの両脇にはヘルメットホルダーを装備。シート下スペースの解錠はコックピットのイグニッションスイッチで行える。

コックピット左側にはキー解錠&ヒンジ付きの給油口。燃料タンク容量は6.1ℓでWMTCモード値燃費41.9km/ℓで計算上の航続距離は255km。

大きめの700mlのペットボトルが入るフロントポケットの上には急速充電QC3.0対応のUSB Type-C(5V/3A)ソケットがある。

センタースタンド掛けする際やタンデマーの掴みやすさを考慮してだろう、グラブバーのデザインがより薄くなりスタイリッシュになった。

パッセンジャーの快適性アップのため、シグナス グリファス比でタンデムステップ位置を59㎜後方へと移動している。

「CYGNUS X」立体デザインのエンブレムを採用するのは日本仕様だけのオリジナル。

【TESTER:谷田貝 洋暁】
ビギナー向けの『タンデムスタイル』をはじめ、『レディスバイク』、『Under400』などの二輪媒体編集長を経てフリーランス化したライター。これまで二輪各媒体に寄稿したバイク試乗記事は1500稿を超える。本誌ではガチテストやオフロード系の“土モノ”を担当することが多く、「読者はソコが知りたい!」をキラーワードに際どい企画をYM編集部に迫る。


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