どんなに時間が経とうが、その輝きを失わないものがある。モーターサイクルに対する確固たる信念と溢れる情熱でつくられたハーレーダビッドソンもそのひとつだ。アメリカの工業製品が高性能と洗練されたデザインで世界を席捲した1930〜60年代に生産されたモデルは、旧き佳き時代の象徴として人々を魅了してやまない。大阪のセンバモータースに保管されている貴重なコレクションの一部を6回にわたって紹介する連載企画の第4回目。歴史的価値/文化的遺産というのは、当時の時代背景などがすべて揃った時に、人の心に感じさせるもの。それは製品にだけ向けられた視線では、決して語ることはできない。受け継がれていくうちに、重みと輝きは増していき、その先には次世代へバトンを渡す歓びが待っている。今回紹介する1947WLはまさに“歴史”を感じる1台だ。
●文:ウィズハーレー編集部(青木タカオ) ●写真:藤村ノゾミ ●外部リンク:センバモータース
戦後から続く奇跡の“京”ナンバー。“陸王”のフェンダーが昭和を生きた証
1936年にOHVのニューエンジン=ナックルヘッドが登場して後も、信頼性の高さからサイドバルブエンジン搭載車も長らくラインナップされた。
シリンダーの横にそれぞれ吸排気バルブが設けられ、それをひとつずつ独立したカムとローラー付きタペットによって動かす4カムシステムを採用。シンプルな構造で壊れにくく、過酷な使用にも耐えたことから、商用や軍用車にも幅広く使われた名機と言えよう。
生産は1929年から73年までとじつに長く、排気量も750ccから1340ccまである。シリンダーヘッドの形が平らなことからフラットヘッドとも呼ばれる。本記事で紹介する車両は1947年式WL。サイドバルブエンジンの排気量は61ci=750ccだ。
驚きは日本国内での初年度登録が昭和22年(1947年)であること。しかも、今となっては新たに発行してもらうことができない旧“京”ナンバーが備わっている。
現在のオーナー、そしてメンテナンス等を担当するセンバモータースの岡田学代表も詳細は掴めていないが、戦後まもなくにアメリカより渡ってきたものを京都で誰かが新車で入手し、その後、所有者が代わっても京都から出ることがなかったということだけは確かである。
そしてフェンダーにも注目してほしい。前後ともに“陸王”のものが使われている。ハーレーの純正部品が高価で入手も困難だったことから、陸王のパーツを流用するのは1960年代によく行われた。タンクバッジの交換も流行した。
岡田氏はこう言う。
「大半は後にハーレーの部品に戻されましたから、今はなき陸王のフェンダーのまま、そして京都の方が奇跡的に乗り継いでいることに価値を感じますね」
※本記事は“ウィズハーレー”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
ハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
無料駐車場完備! レンタルバイクで伊豆をツーリング 静岡県沼津インターチェンジからほど近いHSC沼津。伊豆半島の付け根に店舗があることから、バイクツーリングに大人気の伊豆/箱根/富士方面への出発地とし[…]
ロングツーリングもこなす、美シルエットのスポーツスターXL1200R トランプサイクルならではの、スポーティでありつつ美しいシルエットを描く、スポーツスターXL1200R。「ロングツーリングもこなした[…]
’22 ハーレーダビッドソンFXLRSローライダーS ローライダーS試乗インプレ:圧倒的パフォーマンスですべてを置き去りにする快感 立ち上がりの加速では駆動輪にしっかりとトラクションが掛かり、右手と直[…]
西日本最大のカスタムショー「神戸ニューオーダーチョッパーショー」 有力カスタムビルダーたちによって製作された珠玉のチョッパー/カスタムバイクがところ狭しと並ぶイベント「神戸ニューオーダーチョッパーショ[…]
純正パーツとスタイルを活かしつつスタイリッシュにグレードアップ! トライジャ(TRIJYA)が、スポーツスターSの純正ノーマルパーツを活かしたカスタムパーツを次々に開発し、リリースしている。マッシブな[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかった[…]
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
【第1位】ホンダ モンキー125:49票 チャンピオンに輝いたのは、現代に蘇ったホンダのかわいい”おサルさん”です! 初代は遊園地用のファンバイクとして、1961年に誕生しました。以来長く愛され、20[…]
完全なMTの「Eクラッチ」と、実質的にはATの「Y-AMT」 駆動系まわりの新テクノロジー界隈が賑やかだ。以前からデュアルクラッチトランスミッション=DCTをラインナップしてきたホンダはクラッチを自動[…]
ポップ吉村は優しくて冗談好きのおじいちゃんだった ヨシムラの新社長に今年の3月に就任した加藤陽平は、ポップ吉村(以下ポップ)の次女の由美子(故人)と加藤昇平(レーシングライダーでテスト中の事故で死去)[…]
最新の記事
- 元セロー乗りがカワサキ「KLX230シェルパ」に乗ってみた! KLX230Sも同時に試乗レビュー
- Amazonブラックフライデー本番! デイトナのメンテナンス/保管用アイテムを要チェック!!【6割引弱もあり】
- Amazonブラックフライデー本番! コスパ最高なコミネの電熱アイテムを要チェックだ!!【4割引超もあり】
- カワサキ「Z900RS」グリーンボール発売!! 茶玉虫、ステルス火の玉、イエローボールに追加設定
- ヤマハYZF-R9に熱視線! スーパースポーツ関連人気記事ランキングTOP10【2024年最新版】
- 1
- 2