
●ライドハイ編集部(伊藤康司)
IMU(6軸センサー)とは、今どのぐらい加速していて、どんな傾斜姿勢にあるのかを検知するもの
バイクを上手く操るには、さまざまなライディングテクニックもあるが、同時に「いま、バイクがどんな状態にあるのか?」を正確に把握することが大切なのは、なんとなくイメージできるだろう。じつはIMUが行っているのは、まさにコレ。
最近のバイク、とくにスーパースポーツ系には、ライディングモード/トラクションコントロール/レースABS/セミアクティブサスペンションなど、スポーティーなライディングをサポートする、さまざまな電子デバイスが装備されている。
しかし、これらの電子デバイスが威力を発揮するには、「いま、ライダーが何をしたくて、バイクがどんな状態にあるのか?」を、バイク自身が正確に把握していることが重要だ。
まず「ライダーが何をしたいか?」は、スロットルの開け閉め(スロットルポジションセンサー)やブレーキの強弱(ABSユニット)、シフトチェンジ(ギヤポジションセンサー)などの操作で、ある程度判断できる。
ところが、「バイクがどんな状態か?」については、従来はスピード/エンジン回転数/使っているギヤの段数/前後タイヤの回転数ぐらいしか知ることができなかった。
たとえば前後のタイヤに回転差があれば、ブレーキングでタイヤがロックしそうになっている(ABSが作動)とか、加速時に後輪が空転しているか(トラクションコントロールが作動)を判断できるが、これだけでは、車体が直立してまっすぐ走っている時しか正確な情報が得られない。
本来であれば、スリップや転倒のリスクが高い、車体がバンクしたコーナリング時こそサポートしてもらいたいということになる。 そこで登場したのがIMU(イナーシャルメジャーメントユニット)=慣性計測装置。
バイクの姿勢と動きを計測して「いまバイクがどんな状態にあるか」を、緻密に検知する装置だ。
写真は多くのバイクメーカーが採用しているボッシュ製の6軸IMUユニット。他にコンチネンタル社製や、ヤマハは自社(センサーは村田製作所)で6軸IMUを開発。電子的なジャイロセンサーと加速度センサーを内蔵する。厳密には異なるが、スマートフォンやゲーム機のコントローラーなどでも似たようなセンサーが使われている。
リアルタイムでバイクの状態が解るから、緻密に制御してライダーを強力にサポート!
「角速度と加速度を検知」と言われても、なんとも難しく感じるに違いない。
とくに、あまり聞いたことのない“角速度”について説明すると……
※本記事は2022年5月2日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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