
2ストGPマシン開発を決断、その僅か9ヶ月後にプロトは走り出した!
ホンダは1967年に50cc、125cc、250cc、350cc、そして500ccクラスの5クラスでメーカータイトル全制覇の後、FIMが気筒数とミッション段数を規制すると知るや「走る実験室」の目的が失われたと世界GPから撤退した。
折りしもアメリカで乗用車のマスキー法という全メーカーが不可能と反対した排気ガス規制に、ホンダは世界に認められるチャンスとひとり可能と手を挙げ、このCVCCエンジン開発に二輪を含む全エンジニアを投じたのだ。
このためCB750フォアを1969年にリリースした後、350ccと500ccの4気筒も同じ流れで投入したものの、本格的な新規の開発を抑制せざるを得ず、カワサキやスズキに4気筒大型バイクの主役を奪われていた。
そのCVCCエンジンをクリアしたエンジニアたちは、1978年から一気に逆襲に出たのだが、進軍を開始した全面戦争の狼煙に「世界GP復帰」宣言をアナウンス、1979年にベールを脱いだのがNR500だった。
ベールを抜いた4ストマシンNR500は、2ストロークと同等のパワーを叩き出す充塡効率が1.4倍も稼ぐ吸気バルブと排気バルブを気筒あたり4本ずつ、V型4気筒で合計32バルブと途方もないエンジンで、しかもカウルが車体フレームを兼ねるモノコックに、サイドラジエーターや倒立フォークと、まだ実用化されていない仕様がズラリ。
このまだ実験段階のマシンは、世界GPで予選落ちという屈辱も経験、勝つという目標まで時間がかかり過ぎる状況に、遂に確実な勝利を掴むため2ストロークエンジンのGPマシンの投入を決断した。
その決断はNR500が2シーズン目に突入する直前の1981年1月。
2ストといえばホンダにはモトクロスで既に実績がある。
そこでモトクロスの開発エンジニアと合同で仕様を検討、V型3気筒という方向性が見えてきたのだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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