丈夫なクロスカブだからこそ、オイル管理は重要。「自分でやるオイル交換」作業のポイントを解説

丈夫なクロスカブだからこそ、オイル管理は重要。「自分でやるオイル交換」作業のポイントを解説

クチコミレベルで話題のエンジンオイルブランド「スーパーゾイル」を、クロスカブCC110で試してみることにした。旧スーパーカブとは違った交換の段取りなど、注意すべきポイントを紹介するぞ。


●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:パパコーポレーション

まめなオイル管理が、良コンディションを維持できる秘訣

新型スーパーカブが発表されて以降、新型のシリーズモデルは、週末に限らず、毎日のように街中で見かけるようになった。軽く気ままに走ることができるモデルなので、セカンドバイクとしての需要も高まっているようだ。

クロスカブCC110も、スーパーカブシリーズの人気モデルで、発売当初から新世代エンジンを搭載。歴代のスーパーカブシリーズは、ろ紙式オイルフィルターを備えていないため、オイルポンプの吸い込み口にネットスクリーンを装備。オイルポンプに吸い込まれたエンジンオイルは、クランクシャフトの延長上に装備された遠心式オイルフィルターでろ過されてから、クランクシャフトを潤滑していた。その他の摺動部は、オイルフィルターを通過することなく潤滑する構造だ。

一方、新世代エンジンは、ネットストレーナー通過後にオイルポンプで吸い上げられる仕組みで、クランクシャフトは旧型と同じように、遠心式オイルフィルター(クランク回転による遠心力でフィルター室内の外壁に不純物が押し寄せられる)で潤滑する。その他のオイルは新設された「ろ紙式オイルフィルター」でろ過されてから、各摺動部を潤滑する構造へと進化している。

ろ紙式フィルターを持たない旧型エンジンでも、その耐久性の高さは証明済みだったが、ろ紙式オイルフィルターを追加装備することで、さらなる信頼性を獲得しているわけだ。

原付2種のような小排気量モデルは、単純に高回転域を常用するケースが多いので、エンジンオイル交換頻度や各部へのケアは、当然ながら頻繁に行いたいもの。さらに高温になりがちな小排気量エンジンだからこそ、エンジンオイルにも気を配りたい。

そこで今回はスーパーゾイルの2輪、4輪共用のセミシンセティックオイル「セミシンセティックゾイル10W‐40」を交換した。

摩擦熱によって金属表面を再生する効果を持つのがスーパーゾイルの大きな特徴。エンジン内部の摺動面、例えばシリンダーヘッドのタペット摺動面などは、肉眼ではピカピカに輝いて見えても、顕微鏡レベルで凝視すると、意外にも表面がただれている。

スーパーゾイルの製品は、そんな部分保護に効果が摩擦熱に反応して金属化合物を形成する特性を持ち、ただれた金属表面を金属化合物によってツルツルに変化させ、摺動抵抗を低減させる効果を持つ。

交換後は、摺動抵抗の低減によってメカノイズが減少していることに気が付くはず。また摺動抵抗が減ることによって、発熱を抑制する効果も得ることができるという。

小排気量モデルは、気楽でお手軽に乗ることができるから、メンテナンスを怠りがちになってしまう傾向が強い。常用回転域が高いエンジンだからこそ、バイクメーカーの指定距離を参考に、確実なオイル交換を行うのが、良い状態を長期間維持できる秘訣であるのだ。

【セミシンセティックゾイル10W-40 油膜+金属表面再生(半合成油)】
2輪、4輪ともに利用できる、セミシンセティック(半合成) のエンジンオイル。スーパーゾイル成分を高度な技術で配合し、優れた油膜特性と金属表面再生によって高品質を実現している。高いエンジン保護性能とコールドスタート時にもダメージを与えない潤滑性能を発揮する。鉱物油ベースの半合成オイルファンのユーザーには、特にお勧めできる4 サイクルエンジン用オイル。●価格:3850円(1000ml) / 1万5180円(4000ml)

現行スーパーカプシリーズが登場した2017年以降のエンジンには、遠心式オイルフィルターだけではなく、ろ紙式のオイルフィルターが追加されている。

キャブ時代の旧式スーパーカブとは異なり、スクーターのようなオイルドレンデザインとなっている。タペットキャップ型ドレンには、スプリングとストレーナーが組み込まれ、シールはOリング式になった。ポンプが吸い上げる前にもオイルを一次ろ過している。

奥まったところにドレンボルトがあり、六角頭がやや低く、エキパイが工具のアクセスを悪くするため、ディープソケットやエクステンションを連結したソケットレンチが使いやすい。

オイル交換作業の手順

ディープソケットとプライバーを使ってドレンボルトを緩めた。このタイプのドレンボルトは、締め付けトルクが強いと緩めるのが大変になり、ボルトの頭をナメやすい。

タペットキャップのようなドレンボルトにスプリングと逆さにしたハット型ネットストレーナーを組み合わせている。ポンプがオイルを吸い込むタイミングで一次ろ過が行われる。

オイルの抜き取り時には安定した廃油受けでオイルをまき散らさないように注意したい。オイルを抜き始めてからフィラーを緩めて、抜き取り後はウエスでドレン座をクリーニングする。

現行シリーズのスーパーカブから、ろ紙式オイルフィルターが装備され、エンジンの信頼性が向上している。フィルターカバーを取り外して内部のオイルも抜き取っていく。

オイル交換2回に1回は、オイルフィルターを交換しておきたい。サークリッププライヤーで引っ掛けて熱いフィルターを抜き取る。

新車時から1度も交換していなかったのか、真っ黒に汚れたオイルフィルターが出てきた。

フィルターカバーのOリングは、新品の純正部品に交換する。新しいホンダ横型エンジンのオイル交換時には、ドレン用とフィルター用のOリングは、新品部品で交換するのがオススメ。

エンジンオイル量は、クラッチカバーに貼付されたコーションデカールで確認。フィルター交換時には「おおよそ」1リッター。オイル交換のみなら0.8リッターが目安だ。

スーパーゾイル成分が添加されている半合成のセミシンセティックゾイルを直接注入する。ジョウゴが無いとこぼしてしまうので、小型で細ノズルのジョウゴがあると、こぼさず作業を進めやすい。

いきなり全量注入するのではなく、ボトル量で判断して、約8割(0.8リッター程度) 注入する。オイルの継ぎ足しは容易だが、入れ過ぎた時の抜き取りは作業ミスにつながるので注意が必要だ。

オイルを注入したらオイルフィラーを締め付けエンジンを始動する。FIエンジンの始動性は良く、セルモーターボタンひと押しで簡単に始動できる。30秒程度アイドリングさせればOKだ。

軽くスロットルを煽ってみたあとエンジンを停止する。停止後は30秒ほど待ってからオイルフィラーキャップでレベル確認し、必要に応じて追加注入する。

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