電気系カスタム/レストアに活躍する“ギボシ端子”に再注目!

電気系カスタム/レストアに活躍する“ギボシ端子”に再注目!

メンテナンスからカスタムまで、さまざまなシーンで扱うことが多い電気系パーツ。アクセサリーを取り付けるなら安全確実、さらにセンス良く配線をまとめたいと思うはず。ここでは電気式タコメーターなどの取り付けを通じて、電気工作の基礎をおさらいしよう。


●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:ヒーロー電機

ギボシ端子取り付けのポイントをおさらい

バイクいじりのレベルやセンスは、その人が手がけた作業の跡を見れば一目瞭然。電気工作なら配線同士をつなぎ合わせる際、芯線をねじってビニールテープでグルグル巻きにしてオシマイ、というのは言語道断。

プライヤーで挟むだけで結線できるエレクトタップは便利だが、サイズが合わないと芯線を傷つけたり接触不良の原因にもなり得る。そう考えると、手間をかけてもギボシ端子で配線するのがベスト。

ここでは普通自動二輪免許で乗れるハーレーダビッドソンとして注目を集めるX350に、電気式タコメーターとシフトインジケーターを取り付ける作業を通じて、改めてギボシ端子取り付けのポイントをおさらいしていこう。

バッテリーからの電源を分岐する際にもっとも重要なのは、“必ずプラス側にメスギボシを使用する”こと。ギボシ端子に絶縁スリーブをセットすると、メス側はスリーブ内にすっぽり隠れるが、オス側はギボシの金属部分が露出する。

そのため電源のプラス側にオスギボシを使用すると、通電中に端子が抜けた際にギボシがフレームに接触してショートし、ヒューズ切れや最悪で車両火災の原因にもなり得る。

ギボシ端子もみな同じというわけではない。プロの整備士にも信頼されるヒーロー電機のギボシ端子は、カシメ部分の端部(爪)を内側に曲げるプリフォームが施されている。

これは製造工程でひと手間増えるが、かしめ作業で配線や被覆を均等に圧着できる利点がある。いわゆる“切りっぱなし”の端子だと、圧着時に左右の爪が不均等に潰れて配線抜けの原因となることもあるが、そうしたトラブルを未然に防止できるのだ。

さらに圧着工具の使い方にもコツがある。ワイヤーストリッパーで被覆を剥いた芯線をついつい捻ってしまうことがあるが、より線部分に端子の爪が食い込むことで芯線が切断される原因になる。

これを避けるには、被覆を剥がした芯線はストレート状態のまま端子をかしめるのが正解。また被覆をかしめる際は爪を食い込ませすぎないよう軽く圧着することも重要。端子が抜けないよう思い切り圧着することで、被覆が裂けたり芯線を切ってしまい、かえってトラブルの原因となることもあるのだ。

ギボシ端子の取り付けで失敗する原因は、“端子の善し悪し”と“かしめ作業(圧着工具選びを含む)”にあるといって過言ではない。裏を返せば、高品質のギボシ端子を正しくかしめれば、配線不良はそう簡単には発生しないはず。どうも苦手で…というサンデーメカニックは、この点の再確認をおすすめしたい。

レース用にタコメーターとシフトインジケーターを装着

公道でレブリミットいっぱいまで引っ張ることなどまずないが、ハーレーダビッドソンでサーキットを走行するとなれば話は別。スポーツ走行だけで飽き足らずサンデーレースにエントリーするマシンオーナーは、アナログ針式のタコメーター未装備のX350に電気式タコメーター(デイトナ製)とシフトインジケーター(プロテック製)を装着。

そのために車体ハーネスへの結線作業を行った。ハンドルポスト上の機器はGpsラップタイマー(QSTARZ製)で、充電式リチウムイオンバッテリーで作動するため電源配線は不要。

ギボシ端子をかしめる圧着工具も実は玉石混交。ヒーロー電機のB-14は圧着部のM型部分をバフ研磨することで爪がスムーズに折り曲げられ、確実な圧着を実現する。

日本国内で製造されるヒーロー電機製ギボシ端子は素材に黄銅を使用し、表面処理はスズメッキまたは24Kメッキを施してある。絶縁スリーブも端子に合わせた専用設計。今回紹介したギボシ端子などは、整備用品/カー用品の通販サイト「セウショップ」で購入可能だ。

被覆を剥く際に芯線を傷つけたり数本レベルで切断するとトラブルの原因となるため、配線の太さ応じたサイズのストリッパーを使用する。

被覆を剥いた芯線を素手で触れると、皮脂で酸化するリスクがある。そのためギボシ端子を圧着工具で軽く挟んで固定して、芯線を挿入する。

圧着部分の大きさに応じたかしめ部分にギボシをセットし、配線を取り付けて、グリップを握り込む。プリフォームのおかげで芯線をしっかり圧着できる。

配線被覆はINS刻印がある部分でかしめる(ヒーロー電機製B-14の場合)。握る力が強すぎると被覆破損や芯線切断の原因なるので要注意。

ギボシ端子の爪が左右均等に食い込んでいることが分かる。平面的に倒れて被さっているようだと、配線を軽く引くだけで抜けてしまうこともある。

常時通電でもイグニッションオンで通電する回路でも、電源側(この画像では右側)の配線は絶縁スリーブをかぶせたメスギボシを使用するのが鉄則。

タコメーターに加えて、走行中のシフトポジションを表示するLCDメーターも装着する。この製品は機種別に設定されており、ハーレーダビッドソンX350専用品となる。配線は12Vアクセサリー電源/アース/ニュートラルランプスイッチ/スピード信号線/エンジン回転信号線の5本。製品には5個のエレクトロタップが付属しているが、車体側の既存配線を分岐してギボシ端子を取り付ければスマートに配線できる。

工具中央の筒に配線をセットして、コルゲートチューブのスリットに尖った芯先を挿入。その状態でつまみを握って工具をスライドさせると、スリットを押し開きチューブの内側に配線が収納される。チューブの長さが10cmや20cmならさほどメリットは感じられないが、50cmや100cmと長くなるほど有用性を実感できる。

電気アクセサリーの複数の配線を、コルゲートチューブに素早く簡単に収められるEGTシリーズも、ヒーロー電機の人気製品だ。各製品のサイズはコルゲートチューブ内径に対応する。

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