![[ナナハンカタナ乗りに朗報] 絶版クラッチパーツがアドバンテージ廃盤プロジェクトで復活!](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2025/06/Advantage_FCC_00.jpg)
ブレーキ/サスペンション/クラッチなど日本のトップメーカーと製品開発を行いながら、ホイールやブレーキローターなどのレース用パーツを自社で開発しているアドバンテージ。同社のパーツは過酷なレースシーンに投入することで鍛えられ、その技術が公道用車両向けにもフィードバックされているのが特長だ。絶版車用のメーカー純正パーツが次々と販売終了となる中、積極的に「廃盤プロジェクト」に取り組む同社のスタンスと、新たに発売された純正タイプのクラッチキットの特色を紹介しよう。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:アドバンテージ
販売終了が続く絶版車用純正部品を信頼のMADE IN JAPANで復刻
長期間不動状態だったバイクを再始動する際、キャブレターやガソリンタンクの状態もさることながら、クラッチの張り付きも懸念事項のひとつとなる。クランクシャフトエンドにブレーカーバーをセットして恐る恐る回して回転確認できてひと安心しても、エンジン始動してクラッチレバーを握ってもクラッチが切れない、ショック療法でギヤを1速に入れてもエンストするばかり…。
そうなると、クランクケース内の水分でプレートにサビが発生して、フリクションディスクと張り付き一体化している恐れがあるため、クラッチを分解して状況を確認し、必要に応じて交換しなくてはならない。
アドバンテージが30年にわたって販売しているFCCトラクションコントロールクラッチキットは、チューニングエンジンにも耐えうる強化タイプという点をセースルポイントのひとつにしてきた。だがその一方で、絶版車ユーザーの中には強化クラッチよりも純正相当の性能を求める声もあることから、純正タイプのクラッチキットが製品化された。
トラクションコントロールクラッチキットとの違いは、ディスクとプレート枚数の違い=クラッチ容量の違いだが、フリクションディスクは耐熱性と耐久性に優れたペーパー系素材を使用し、高温環境下でも特性変化の少ないバルブスプリング材ベースのクラッチスプリングを使用することで、品質と性能は当時の純正部品をはるかに上回っている。
今回発売されたGSX750Sシリーズを例に挙げれば、1型/2型カタナも3型/4型カタナもフリクションディスクは純正部品が販売終了となっているため、アドバンテージの純正タイプが頼みの綱となる。同様に1990年代末から2000年代にかけてスクーターブームを牽引したスカイウェイブ250も純正クラッチが販売終了で、アドバンテージのクラッチは修理の必需品となっている。
販売終了とともに純正部品の悩ましい問題が、価格の高騰だ。GSX1100S(1992年モデル)の例では、フリクションディスク/クラッチプレート/クラッチスプリングの純正価格が7万5000円で、同じ部品構成のアドバンテージクラッチキット純正タイプは4万7300円。
つまり純正部品より高性能な上にリーズナブルという逆転現象が発生している。チューニングパーツでありながら修理や整備にも有効なアドバンテージのクラッチパーツは、多くのユーザーにとって心強い存在となることだろう。
【ADVANTAGE FCC 純正タイプ】対応車種:GSX750S/GSX750SS/GSX750S2/GSX750SZ/GSX750SD/GSX750E/GSX750E-2/GSX750E-3/GS750G1/GS750G2/GS650G/GS650G2/GS650G3/GS850G ●税抜価格:4万3000円
似たようなデザインでも、750と1100カタナではフリクションディスクとクラッチプレートの部品番号と使用枚数が異なり、750用のフリクションディスクは販売終了となっている。チューニングエンジンでなければ純正タイプのクラッチキットで十分余裕がある。
クラッチスプリング数が4本となるのが3型/4型用
【ADVANTAGE FCC 純正タイプ】対応車種:GSX750S3/GSX750S4/GSX750E4 ●税抜価格:4万3000円
3型/4型カタナとGSX750E4のエンジンは、それ以前と外観が異なるものの、フリクションディスクとクラッチプレートは共通部品。したがって純正フリクションは販売終了だ。またクラッチスプリングが4本となるのも1型/2型との違い。
CB-F系クラッチ特有のCOMP-Bプレートを製品化
【ADVANTAGE FCC クラッチプレートCOMP-B】 対応車種:CB750F/CB900F/CB1100F/CB1100RB/CB1100RC/CB1100RD ●税抜価格:9800円
CB750F〜CB1100RDに至る一連のCB-F系クラッチには、ジャダーを抑制する2枚合わせのCOMP-Bプレートが組み込まれている。経年劣化によって機能が低下したり、このプレートを取り外すとクラッチフィーリングに違和感を生じるようになるが、この部品も販売終了となっている。アドバンテージでは既存のトラクションコントロールクラッチキット(左)に付属しているCOMP-Bプレートを復刻し、単品販売を開始。純正クラッチの補修にも最適だ。
純正部品はすでに廃盤。スカイウェーブ用クラッチも販売開始
【ADVANTAGE FCC クラッチキット】対応車種:AN250UW/AN250W/AN250UY/AN250Y/AN250ZY ●税抜価格:1万4900円
ビッグスクーターブームで売れに売れた250ccスクーター。そのアキレス腱であり修理のキーパーツとなるのが、Vベルトとクラッチ。廃盤プロジェクトの一環として製造し、一般のバイクショップからの需要があるのがスクーターの駆動系パーツだ。
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