
ヘアードライヤーより遙かに高い温度で加熱できるヒートガンは、メンテナンスやレストアのちょっとした場面で役立って便利。さまざまなシーンで活躍するアイテムだが、製品によって特徴が異なる。ここではサンデーメカニックにおなじみのアストロプロダクツ/ストレート/ワールドインポートツールズ横浜の3製品を紹介しよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:アストロプロダクツ ストレート ワールドインポートツールズ横浜
買う前に知っておきたい「ヒートガン」
今回紹介する3台の製品は、どれも最高温度が400℃以上に達する。温度調整機能があるものの、使い方次第で相手にダメージを与えるリスクもある。
使用時に心がけたいのは、[1]加熱する際は低温から、[2]使用後は低温で送風する、という2点。初めて使用する際は想像以上の温度に驚くこともあるだろうが、使い慣れるに従って強力加熱の有効性に気づくはずだ。
ヒートガン選びのポイント
- 温度調整の有無
- 送風モードの有無
- 交換ノズルの有無
【ストレート製】デジタル設定式温度調整機能とアタッチメント標準装備が魅力
ストレートには2種類のホットエアーガンがあり、デジタルタイプは3段階のスイッチによって70℃〜550℃の範囲で10℃単位で任意に温度設定ができるのが特長。消費電力は1500Wと大きいので、コンセントにつなぐ際は他の電気製品を併用せず単独で使用する。
【ストレート ホットエアーガン デジタルタイプ 17-4920】■温度調整:10℃単位デジタル表示 送風モード:50℃定温 交換ノズル:4種類 ●ストレート会員価格:7980円
4種類のアタッチメントが標準装備される点が、他の2製品にはないストレート製の特長(他製品は別売り)。スライドスイッチは3段階で、3段目は温度が70〜550℃で風量が480L/分となる。
配線作りで多用する熱収縮チューブを縮める際は、ライターの直火より高温温風の方が安全。アタッチメント吹き出し口を細めれば、狙った場所を集中的に加熱できる。
スイッチ1段目では温度が50℃固定となる。2段目や3段目で数百度に設定すると内部ヒーターが真っ赤になるため、1段目で約1分間送風して温度を下げることで、熱源破損を防止できる。
側面から吸気を行うため、本体を立てて使用できる。これだと作業者は両手がフリーになるので自由度がアップする。ガンを固定してワークの距離を変える方が加熱具合を調整しやすい場合もある。
【アストロプロダクツ製】最高600℃の高温で一気に加熱。吐出温度は9段階調整可能
AC100V仕様を2機種、18Vバッテリーのコードレスタイプ1機種のヒートガンを販売しているアストロプロダクツ。HG822は2段階の風量調整と9段階の温度調整ダイヤルの組み合わせによって50〜600℃の温風〜熱風を吹き出すことができる。サンメカだけでなくプロメカニックにも愛用者が多い人気製品。
【アストロプロダクツ AP AC100Vヒートガン HG822】■温度調整:9段階ダイヤル調整 送風モード:50℃定温 交換ノズル:別売り ●価格:5489円
温度調整はアナログ式で、表示窓1〜9の数字で調整する。風量1段目でダイヤル1目盛りごとに約50℃変化し50〜450℃、2段目でダイヤル1目盛り60℃変化して50〜600℃に設定できる。
スイッチは風量2段切替で1段目が250L/分、2段目が500L/分。冷風機能はないため、加熱後はスイッチ1段目とダイヤル1で20〜30秒作動させてヒーターを冷却する。
本体を立てることで安定的に長時間加熱できるが、定格使用時間は20分。作業時間がそれ以上になる場合は、ヒーター保護のため一度冷却してから再度使用する。消費電力は1200W。
【白光製】はんだごてでお馴染みのブランドの信頼性抜群の工業用ドライヤー
世界のブランド工具が揃うワールドインポートツールズ横浜では、日本有数のはんだごて&はんだメーカーである白光製工業用ドライヤーを取り扱っている。FV-300は、2段階の風量調整と連続可変ダイヤルによる温度調整の組み合わせで、作業に応じた温度を設定する。最高温度は今回紹介する3台の中でもっとも控えめの440℃。
【ワールドインポートツールズ横浜 HAKKO 工業用ドライヤー FV-300 100V FV300-81】■温度調整:無段階ダイヤル調整 送風モード:40℃定温 交換ノズル:別売り ●価格:5610円
温度調整ダイヤルは目盛りのみで、温度や数字表記はない。説明書にはLで40℃/Hで440℃と書いてあるので、一目盛りあたり40℃程度変化すると思われる。風量は1段目で0.1m³/分、2段目で0.2m³/分。
加熱作業は低めの温度から始め、高温に設定した際はいきなり接近させず、遠目から熱を加えつつ徐々に近づけていく。均等に加熱することで、熱収縮チューブは均等に縮まる。
この記事で紹介している3台はいずれも自立使用が可能で、この製品は転倒時に吹き出し口が床面に接触しないよう、パイプカバー両側面に突起を設けている。使用後の冷却も、40℃で自立送風させると良い。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
充実のラインナップを揃えるデイトナのスタンド デイトナのメンテナンスアイテム群の中で、特に充実しているのがリアスタンド。スイングアームを受けるアタッチメントを細かく設定しているのが要注目ポイントだ。 […]
87ピースツールキットを“箱ナシ”で販売 下のトレイ入り工具が何故むき出し状態なのかといえば、ストレートでは87ピースツールキットをこの状態、つまり“箱ナシ”で販売しているからだ。セット工具はビギナー[…]
初期型チャピィ用燃調キットがないのでキースターにお願いした 井上ボーリングで注文したTKRJピストンで腰上は新品同様となったものの、新車発売時のスペックどおりピッタリ50km /hで頭打ちとなる、初期[…]
ボルトオンで取り付けできる機種別開発が特徴。CB-F/CBX用ピックアップASSYが新登場 絶版車に共通する弱点のひとつが点火系。ポイント点火車の場合、接点の消耗や点火タイミングのズレがエンジン性能に[…]
妥協することなく繰り返される設計変更で進化を続けるMADE IN JAPANホイール オリジナルホイール開発当初から、一貫して鍛造製法を採用し続けているアドバンテージ。溶かした素材を鋳型に流し込む鋳造[…]
最新の関連記事(工具)
Snap-on(スナップオン):世界初のソケット工具を開発 1本のハンドルにソケットをかわるがわる取り付けられる構造。現在のソケットレンチを発明した創業者によって、1920年にアメリカで設立されたスナ[…]
何よりも仕事のミスが減るバイクリフト バイクリフトがあることで「何よりも仕事のミスが減ると思います」と話すのは、モトジョイ(三重県)の米倉マネージャー。普段はなかなか見る機会がない車体やエンジンを下か[…]
バランスの良さと高コスパが光る工具セット かつては「バイクいじりの第一歩は車載工具から」という時代もあったが、車載工具という概念がなくなった最近のバイクでは、ボルトナットやビスを緩める際にもユーザーが[…]
持ち運びにも据え置きにも適した好バランス。2トーンのウレタントレイで工具の紛失を予防 シグネットでは、20年近くに渡ってイヤーモデルとして工具セットを企画/販売してきた実績があり、その中でユーザーの好[…]
充実のラインナップを揃えるデイトナのスタンド デイトナのメンテナンスアイテム群の中で、特に充実しているのがリアスタンド。スイングアームを受けるアタッチメントを細かく設定しているのが要注目ポイントだ。 […]
最新の関連記事(バイクメンテナンス&レストア)
Snap-on(スナップオン):世界初のソケット工具を開発 1本のハンドルにソケットをかわるがわる取り付けられる構造。現在のソケットレンチを発明した創業者によって、1920年にアメリカで設立されたスナ[…]
何よりも仕事のミスが減るバイクリフト バイクリフトがあることで「何よりも仕事のミスが減ると思います」と話すのは、モトジョイ(三重県)の米倉マネージャー。普段はなかなか見る機会がない車体やエンジンを下か[…]
溶接に興味がある人、うまくできない人集まれ~! 溶接にチャレンジしたいのに、どうやったらいいか分からず不安で踏ん切りがつかない人。溶接機を買ってはみたはいいものの、うまく使えずに埃をかぶせちゃった人。[…]
最新のバイクほどチェーンは遊びを多めに設定、張り過ぎると走行に支障が! 最新のバイクほどドライブチェーンはほとんど伸びない。新車だと慣らし運転後に僅かに再調整する程度。ツーリングへ出かける前のメンテナ[…]
キャブレター完全固着でスロットル不動→無理しないで“熱”を利用して優しく分解 分解メンテナンスや分解オーバーホールしていたつもりでも、気が付いた時には部品にダメージを与えたり、最悪の場合、取り返しがつ[…]
人気記事ランキング(全体)
突然の交通取り締まり! 違反をしていないときでも… 交通ルールを守って安全運転に努めているのに、とつぜん取り締まり中の警察官に止められてしまった経験がある方は多いはずです。 「え? なにか違反した?」[…]
ビッグ・ホーネットの派生で待望のネオクラが来る! ホンダが2025年モデルとして「CB1000」という名称のバイクを登場させる。本誌が掴んだ最新情報である。……が、事情通の方なら既報のビッグ・ホーネッ[…]
ヤマハ新世代125cc/155ccの先鋒が兄弟そろって登場! ヤマハは、今春のモーターサイクルショーに市販予定車として出展した4車のうち、「YZF-R125」「YZF-R15」を正式発表。大型バイクや[…]
Snap-on(スナップオン):世界初のソケット工具を開発 1本のハンドルにソケットをかわるがわる取り付けられる構造。現在のソケットレンチを発明した創業者によって、1920年にアメリカで設立されたスナ[…]
おお、デカ目! 北米セローはXT250の名で存続、極太タイヤのTW200は懐かしの四角ライト 日本国内では、2020年7月31日にセロー250ファイナルエディションの最後の1台が出荷されてから3年が経[…]
最新の投稿記事(全体)
イベント内容 会場ではご当地グルメや特産品の販売など、9団体が13個のブースを構え、地域の魅力を発信する。地域のお土産が当たる抽選会のほか、イベントブースまたはPAの売店で税込500円以上買い物をすれ[…]
イベント概要 会場内の花壇では触れると様々な音楽を奏でるサウンドガーデニング[1]、店舗内ではソフトクリームを使って楽しむことのできるインタラクティブな光の作品[2]、芝生エリアでは光のインスタレーシ[…]
BMWの特別な称号「M」がネイキッドにも! BMWはクルマのセダンでもスポーツ性の高さをアピールしてきたメーカー。その中でもほぼレース仕様といえる過激なパッケージには「M」という特別な称号が与えられて[…]
ホーネット(250)はなぜ大型バイク並の極太タイヤを採用したのか? CBR250RRをルーツとする250cc4気筒エンジンを搭載し、1996年2月に発売されたネイキッドモデル・ホーネット。2007年に[…]
車名の後ろに排気量の数字が入るのは欧州仕様が初めて カワサキは、北米やインドネシアに続き、欧州でも451cc版エリミネーターを発表した。正式名称は「エリミネーター500」「エリミネーター500 SE」[…]
- 1
- 2