サステナブル、カーボンニュートラルが求められる時代において、レースも例外ではない。燃費の向上だけでなく、燃料を変更してCO2排出量を減らす動きが顕著になっている。そんな中、トライアンフが新しいプロジェクトを発足させた。
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:トライアンフ ●外部リンク:トライアンフ
従来のエンジンをベースにカーボンニュートラル化するには?
トライアンフはバイクの未来&将来に向けたプロジェクトとして、イギリスのヒンクリーにあるグローバル研究開発施設内に、新たにカーボンニュートラル燃料の開発テストチームを設置した。
カーボンニュートラル燃料は持続可能な世界を可能にするためのもので、「eフューエル」「持続可能な燃料」「サステナブル燃料」などと呼ばれる非化石由来の燃料のこと。ガソリンの代わりになる新たな燃料として、燃料系の企業だけでなく世界中の様々な企業が開発を進めている。従来のエンジンや吸排気系のまま、燃料を変更することでCO2排出量を削減するというものだ。
トライアンフのプロジェクトは、MotoGPの商標権を持つドルナスポーツとの提携に基づいたもの。MotoGPクラスだけでなく、Moto2クラスは、2024年までにE40(40%非化石由来のカーボンニュートラル燃料)への移行を実現し、最終的には2027年までにE100(100%非化石由来のカーボンニュートラル燃料)へ移行すると発表しているのだ。
Moto2唯一のエンジンサプライヤーであるトライアンフにとって、これは達成しないとならないプロジェクトのひとつ。この新しい燃料規格においては、ライダーが求める3気筒エンジンのパワーやトルク、そして将来的にはガソリンエンジンの記録を打ち破る性能が求められる。そのため高性能なカーボンニュートラル燃料の開発は、レース用エンジンのあらゆる要素を考慮して行う必要があるのだ。
トライアンフのTE-1プロトタイプで実証された電動バイクの技術開発や、欧州と世界の現行法規を上回る脱炭素、その他の排出物を削減する努力と同じように、ライダーとファンが末永くバイク&レースを楽しめるよう、トライアンフは責任をもってカーボンニュートラル燃料の開発を進めていくとのこと。
「最終的にはレースから得た知見をすべての市販車に反映させ、性能だけでなく環境へ配慮することが私たちの目標になります。バイクの歴史上極めて重要な時期に、カーボンニュートラル燃料の開発に携わることができて、トライアンフのスタッフたちは、皆とても喜んでいます」とチーフ・プロダクト・オフィサーのスティーブ・サージェントさん。
ちなみにMoto2クラスに採用されるエンジンは、2010年から2018年までがホンダの599cc4気筒で、2019年からトライアンフの765ccの3気筒に変更。トライアンフのエンジンは2024年までMoto2クラスに供給されることが決まっている。
そして全日本ロードレースのJSB1000クラスも、2023年からカーボンニュートラル燃料が使用されることが発表されている。こちらも各サーキットのラップタイムなどを見ていきたいと思う。
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