
『TE-1』は、0-96.56km/h加速は3.6 秒、0-161km/h加速は6.2 秒という驚異的な数値を実現。それでいて、現在市販されている同クラスの電動バイクの実走行距離を大幅に上回り、実走行試験でカテゴリートップの161kmを達成した。トライアンフ&イギリス政府が描く、電動バイクの未来を見てみよう!
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:トライアンフモーターサイクルズジャパン ●外部リンク:トライアンフモーターサイクルズジャパン
トライアンフが切り開く電動バイクの未来はエキサイティング!
トライアンフのプロトタイプ電動バイクである『TE-1』は、トライアンフの期待を上回る驚くべき成果を収めたのだという。電気バイクの開発と革新を促進するというTE-1プロジェクトの目標をすべて達成、最終的なバッテリー性能と航続距離を含め、この分野全体に新しい基準を打ち立てる事に成功している。まずはそのスペックを見てみよう。
●161kmの航続距離
現在市販されている同クラスの電動バイクの実走行距離を上回り、実走行試験でカテゴリートップの 161kmを達成(公式予測値)。
●177psの最高出力
0-96.56km/h加速は3.6 秒、0-161km/h加速は 6.2 秒という驚異的なダッシュを実現。
●重量220kg
220kgの総重量は、現在市販されている同等の電動バイクより最大25%軽く、驚異的なパワーウェイトレシオを実現。ストリートトリプルと同等のサイズとスケールに収まっている。
●20分の充電時間(0~80%)
現在市販されている同クラスの電動バイクよりも早い充電時間を実現。これは英国におけるビジネスの成長をサポートする、政府の研究機関であるInnovate UKが設けた非常に野心的な目標をも達成している。
電動バイクプロジェクト『TE-1』は、英国政府ゼロエミッション車局による資金提供を受けて、2019年5月よりスタート。
プロジェクトはトライアンフのほかに、四輪フォーミュラeにバッテリーを供給しているウィリアムズ・アドバンスト・エンジニアリング(WAE)やインテグラル・パワートレインのe-ドライブ部門、ウォーリック大学のウォーリック・マニュファクチャリング・グループ(WMG)が参画している。国を上げての大々的なプロジェクトは、目標を上回る数値を達成し、完了したのである。
トライアンフらしいストリートネイキッドスタイル。アルミツインスパーフレームにバッテリーを搭載。前後サスペンションやブレーキは一般的なエンジンを搭載するバイクを思わせる仕様になっている。 [写真タップで拡大]
スポーティなパフォーマンスを実現!
スピードトリプル1200RSのスタイリングや重量分布を再現したスケール感と視覚的なインパクトを持つ『TE-1』。スロットル特性やトルクマッピングもスピードトリプル1200RSと同等で、トライアンフらしい軽快性とニュートラルなハンドリングを実現。
開発チームは、トラクション&リフトコントロールなどの電子制御を改良すれば、さらなるポテンシャルアップが期待でき、電動ならではのトルクを重視したポテンシャルを最大限に引き出すことができるとのこと。
最終テストにはデイトナ200のチャンピオンであるブランドン・パッシュも参加。エンジン性能評価とサーキットテストによるプロトタイプの最終セットアップにを担当した。
「TE-1は信じられないほどトルクフル、そしてスロットルを開けると瞬時にパワーを発揮します。この強いトルク感と瞬発的なダッシュが大好きなので、本当に素晴らしい経験でした。デイトナでこれがあったら良かったのに……。この車体でこの加速、そしてこのコーナリングは凄い!。この軽快さと俊敏さはストリートで乗るのに本当に良いバイクだと思います」とブランドン。
デイトナ200のチャンピオンであるブランドン・パッシュも高評価。TE-1は回生ブレーキの導入にも成功。しかし、ここにはさらなる改良の余地があり、モータージェネレーターユニットやトランスミッションの効率化により、将来のトライアンフ電動モーターサイクルの航続距離をさらに向上させる可能性があるとのこと。 [写真タップで拡大]
市販化に期待!
トライアンフ最高製品責任者であるスティーブ・サージェントさんいわく、このプロジェクトは世界中から非常にポジティブな反応を得ているとのこと。
トライアンフの将来の電動パワートレイン技術へのアプローチに向けた第一歩である『TE-1』。最終的に生産されるモデルにも、トライアンフがこのプロトタイプから学んだことと、わくわくするようなダイナミックスピリッツが、すべて詰め込まれている。
2年間に渡る国家を上げての『TE-1』プロジェクトは、これを持って完了する。
イギリス発の電動バイクの市販化を楽しみに待ちたいと思う。
こういったディテールをもつバイクを充電する光景が、普通になっていく未来が来るのかもしれない。今後も各メーカーから次世代スポーツバイクの発表がたくさんあるだろう。長距離移動とスポーツ性といったバイク本来が持つ魅力を、各メーカーがどんなカタチで提案してくるのか……その開発はますます加速しそうだ。 [写真タップで拡大]
※本記事は”ミリオーレ”が提供したものであり、著作上の権利および文責は提供元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。
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