
●記事提供:モーサイ編集部 ●文:睦良田 俊彦
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること
東京モーターサイクルショー2025年の屋外会場で披露された警視庁女性白バイ隊「クイーンスターズ」のデモ走行。妙技を支える足元も、白バイ隊員御用達のブーツ。
今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、プロテクターなどに目が行きがちですが、意外と重要な装備がブーツです。そこで、私のお気に入りでもある白バイ乗車ブーツについて、解説したいと思います。
バイクの免許を取得し、真っ先に購入しようとするのは当然、気に入ったバイクだと思います。しかし、バイクに乗るには様々なギアが必要となります。ヘルメット、プロテクター、ジャケット、グローブなど、バイクの購入予算の中にこれらの装備を入れ忘れたり、ケチってしまうのも事実です。
私も若かりしころ、普通自動二輪の免許を取得した後、すぐにバイク屋に行ってバイクを購入したのですが、当時お金もなくヘルメット等の用品をケチっていたことを思い出します。また、バイクのブーツに関しても、正直「ダサいな」と思っており、スニーカーを履いてバイクを運転しておりました。つまり、当時は足の保護や運転のしやすさなどについては一切考えていませんでした。
バイクの乗車ブーツの重要性について気が付いたのは白バイ隊員になってからでした。
バイクの免許を取得した時のことを思い出して欲しいのですが、教習時の服装について指定があったはずです。その中で靴に関しては、クルブシが隠れるもの、カカトのあるブーツや長靴と書かれていたと思います。
これには大きな理由があるのです。カカトの有無については賛否があると思いますが、カカトがあることによってステップを把持(はじ)しやすく、安定した位置に足を置くことが出来ます。また、クルブシが隠れるもの、という理由については足首を固定し、転倒時等に足を保護することが目的となっています。
私が警察官時代に実際に経験した話ですが、オートバイに乗った青年が乗用車に追突する事故を目の当たりにしました。救護に当たった際、彼の足元を見ると靴が脱げた(衝撃により飛んでいった)状態で地面に滴るくらい大量の出血がありました。くるぶしまでの靴下の間からは、裂けた足首から骨のようなものが見える状態でした。負傷部を見ようとした彼に、「見るな」と叫んだ記憶があります。
恐らく追突した時の衝撃でステップか何かに足首を持っていかれたのだと推測できました。そのときの彼が履いていた靴はローカットタイプのスニーカーでしたが、当時の経験からも乗車ブーツの重要性を強く感じました。
靴にカカトがあることを煩わしいと感じるライダーもいるかもしれないが、この存在でステップをホールドしやすいという利点もある
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