キャブ車なら意外とカンタン!?
【DIYエンジンOH】始動テストは男のロマン! 作業台の上で実施する方法教えます

のっけから言っちゃうと今回の実験はハッキリ言って「意味」は無い。だけど、“男”という性(サガ)を持つ同志諸君ならば共感してもらえるはずだ。「これは、楽しい!」…と。作業台の上で、メカノイズを撒き散らしながら身震いをしている、咆哮を上げながらビリビリと空気を震わせるその姿は、猛々しく、まさに「生命」を感じることもできる。そして、その姿を目の当たりにしたあなたはきっとこう言いたくなるはずだ「このエンジンは当たりだぜぇ~~!」と。
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
あえて言おう「エンジン単体始動テスト」は男のロマンであると!
最近、リトルカブのエンジンをオーバーホールしたんですよ。
実は今回はオーバーホールだけが目的だったので、このまま倉庫の奥に仕舞うつもりだったのですが、やっぱりせっかくなら、エンジンの始動テストもやってみたい。
ということで、ハンガーに載せた状態のままで、作業台の上でのエンジン単体始動テストをやってみることにしました。
古い原付エンジンはこんなにシンプルなのです
メインハーネスやバッテリーがなくても大丈夫。エンジンの配線図の中から点火系だけを抜き出すと、必要な配線は恐ろしくシンプルになるのです。
ほとんど落書きですが、漫画図にしてみるとこんな感じ。
つまりは、
・最低限の発電電気
・火花を飛ばすタイミングのパルス信号
・CDI(なにやっているのか知らない)
・イグニッションコイル(すごい電圧の火花を作る)
これだけでOK。
点火用の電気と、点火タイミングのパルス信号をCDIに送って、点火電流をイグニッションコイルに繋げてアースを取って、最後にエンジンをON/OFFするためのキルスイッチを割り込ませれば、最低限エンジンを始動する配線(いわゆるレーシングハーネス)が整います。
もっともこれは、キャブレター時代の古いエンジンならではの遊びともいえます。現代のようにインジェクションやらコンピューター(ECU)を搭載したマシンではこうはいきません。
で、レーシングハーネスとキャブレター。必要な部品を用意して、取り付けるとこんな状態になりました。
かなり雑多な感じになってしまいましたが、ちゃんと電気が通ってくれれば問題なし。逆に雰囲気が出るのでむしろオッケーです。
マフラーを取り付けると更にシュールな絵面になりました。車体に載っていない状態のエンジン単体に取り付けると、マフラーの多さがやたらに強調されてでっかく見えますね~。うん、迫力あってどんどんテンション上がってきます!
アクセルとしてスロットルホルダーも用意しようかと思ったのですが、考えてみればワイヤーだけで十分事足ります。
キャブレターにワイヤーを取り付けて動作チェック。スムーズに操作できればこれでOK!
燃料も最低限でいいので、小さなタンクを吊り下げる「点滴方式」としました。
吊り下げ簡易タンクからフューエルホースをキャブレターにつないで、始動用のガソリンを注入します。
インジェクションと違ってガソリンは重力落下で、キャブレターは負圧のアナログ。負圧コックも燃料ポンプもないから至極シンプル。ガソリンが流れるのを実際に見てみると、エンジン始動のためのプロセスを全て可視化できているようで、否が応でも気分が盛り上がってくるってもんです。
さあ、エンジン始動の準備は整った!
さあ、いよいよエンジン単体での始動実験の準備は整いました。だけど、この後に及んでちょっと迷ったのが・・・
「どうやってキックスタートしよう?」
簡易的なエンジンハンガーなので、いつもみたいな体重をかけたキックができません。
さて、どうしたものか。
だけども、そこはスーパーカブのエンジン。片手でエンジンを支えて、もう片方の手でキックを動かしたらあっさりキックスタートできました。
そして、驚きの一発始動!
エンジン、掛かりました~!
エンジンが始動する確信があったからその点で驚くことは全くないのだけども、作業台の上でエンジンがアイドリングしている姿はかなり衝撃な光景です。
ブルブル震えながら断続的な爆発音を発するエンジンに「生命」を感じずにはいられません。
生きてる。このエンジンは今、間違いなく生きている!
エンジンが温まったところでキャブレターにつないだワイヤーを引っ張ってみると、回転数が上がります。
たかが50ccのクセして、激しく震えながら雄叫びを上げるようにビリビリと震えるその姿は、正直感動します。
すごい! 今、確実にお前はカッコいいぞ!
是非皆さんもやってみて、あの名台詞を叫んでほしい。
うっわ、楽しい。これはすっごく楽しい!! 飽きもせずにワイヤーを引っ張ってエンジンを吹かしながら、やっぱり言っちゃいましたよ。
「このエンジンはあたりだぜぇ~!」
全く意味がない、無駄なことだと知りつつも、まるで生き物のように脈打ち震えるエンジンの姿は、控えめに言っても感動的です。もし機会があれば皆さんも是非トライしてみてください。「そんな機会ないよ」という方は、是非とも動画の方をチェックしてください。オッサンひとりではしゃいでいますが、その楽しさは少しでも伝わると思います。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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