割れた樹脂を修理する方法:バイク屋さんに教わった「アクリサンデー」が簡単でしかも安い!【5分でリペア完了】

バイクのカウルなど、様々な部品に使用されるABS樹脂パーツ。経年劣化が進むと「バキッ」と割れてしまうことも多く、放置しておくと振動を受けてヒビが広がってしまうこともある。なるべく早く補修を行いパーツの寿命を延ばすために、本記事ではバイクメンテナンス系YouTuberのDIY道楽テツ氏が「安く簡単に樹脂パーツの補修ができる方法」を紹介する。
●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ
割れたカウルは『割れたら早めに補修する』これが基本です!
今やバイクの車体とは切っても切り離せないABS樹脂パーツ。カウルだけでなく、サイドカバーやシートカウルなど、主に外装部品に使われている素材です。
軽量な一方で割れやすくもあり、走行中に転倒した時だけでなく、立ちゴケで倒してしまったり、メンテナンスなどでカウルを外す際にちょっと無理な力を加えると、いとも簡単に『バキッ』といってしまいます。
もしカウルが割れてしまった場合、そのまま放置するのはNG。見た目が悪いだけではなく、振動でどんどん割れが広がったり、負荷が掛かって他の部分も割れてしまったり、走行中に部品が落ちてしまう(!!)など、重大なトラブルの原因にもなりかねません。
「割れたら早めに補修する」これが基本です!
割れてしまったABS樹脂パーツは早めの補修が基本。ヒビ割れがヒビ割れを呼んで、どんどん悪化していくことも…。
意外と簡単? バイク屋さんに教えてもらったABS樹脂カウルの補修
バイクのカウル補修といえば「プラリペア」があまりに有名です。割れ補修だけでなく、欠けたり無くなってしまったツメなどの補修もできる優れモノ。ですが、ひとつ難点を挙げるならば、ちょっとだけ”お高い”…。
それならばと、お世話になっているバイク屋さんが教えてくれたのが「アクリサンデー アクリル接着剤」です。本来の用途はアクリル板の接着。このところ飲食店や小売業、オフィスなどで見かけない日はない「飛散防止パネル」を作るのに使われているアクリル接着剤です。透明なアクリル板を曇らせることなく、透明なままシッカリ接着できるので重宝されているのだとか。
そんなアクリサンデー が、実はバイクのカウルにも使えるというのです! これまでも多くのカウルを直してきた実績アリ! …というわけで、さっそく実際に使ってみましょう~!
【アクリサンデー アクリル接着剤 注入器付 30ml】●成分:二塩化メチレン ●容量:30cc
今回直すのはカワサキZZ-R250のフロントフェンダー
今回直したいバイクはカワサキZZ-R250。ぱっと見キレイな車体ですが、実は走行距離85000kmオーバーという働き者です。一見問題なさそうなフロントフェンダーも、取り外してみるとすっごいバキバキ。ヒビがヒビを呼んで、フェンダーが半分以上割れてしまっています。
ここまでくると、走っているときの風圧だけでもガタガタするレベル。そしてその振動でまた更に割れるので、ひょっとしたらあと数日で真っ二つになっていたかもしれません。…コレ、直せるでしょうか?
カワサキZZ-R250。優秀なツアラーバイク。バリバリ現役ですが…?
外してみるとこんなっ!! 取り付け部分を中心にヒビが入ってます。すぐに補修すればこんなに悪化はしません…!!(涙目)
このZZ-R250のオーナー曰く、実はずいぶん前から割れていたのは分かっていたのに、面倒だからもついつい修理を先伸ばしにしていたのだそうです。…なんてこった。最初のヒビ割れの時にすぐ直していれば、そんなに悪化せずに済んだものを(遠い目)。放置した報いですね~…。
裏側も、補強部位であるはずのリブがキレイに割れてしまっています。一番最初の「小さなヒビ割れ」の時に修理しておけばここまで悪化しなかったと予想されます。頼むよホントに…(さらに遠い目)。
ここまで来ると、補修したところで本来の強度を取り戻せるとは思えませんが、このままでは真っ二つに割れてしまうのも時間の問題。さっそく補修作業に入りたいと思います!
裏もこんな有様…。真っ二つになる直前でした。
使い方は簡単! 隙間に注入して1分間そのまま保持!
さっそくアクリサンデーを使ってABS樹脂のフロントフェンダーのヒビ割れ補修をやっていきます…が、まずは接着面のゴミ/ホコリ/油分をしっかり洗い流します。年季が入った車両なので、今回は特に念入りに。
異物をしっかり除去できたら、アクリサンデーを付属の注射器に移して、割れ目の隙間に注入していきます。非常に揮発性の高い接着剤なので、容器の蓋はこまめに閉めるようにしてください。開けっ放しにしていると、あっという間に蒸発(!)してしまうので要注意。
バラバラになるものを接着する場合は、器具でしっかり固定をするか、マスキングテープなどで仮固定をすることをおすすめします。
ヒビ割れの隙間に注入。塗るのではなくて、あくまで染み込ませるイメージで。
ひととおり注入したら、動かないように固定して数分間その状態で保持します。理想は5分間! 形状が崩れないものであれば1分ほどで手を離しても大丈夫な状態になります。驚くべきことに、たったこれだけでフロントフェンダーがくっつきました~!! 割れていた裏側もアクリサンデーで接着します!
溶かしてくっつける”溶着”に近いので強度はバッチリ!
アクリサンデーの完全硬化には24時間必要だそうです。特にバイクパーツのような振動が加わる部品については、完全に固まる24時間が経過してからの取り付けを強くお勧めいたします。
そして、実際に接着後の強度については…シッカリとくっついてくれました! まさに「実用レベル」の強度です。というのも、アクリサンデーは糊のように仲介して接着するのではなく、ABS樹脂を溶かして、部品同士を”溶着”に近い状態で結合させる仕組み。
実際、接着部分をよく見ると、ABS樹脂が溶けて混ざり合っているのが見て取れます。これは主成分の「二塩化メチレン」の効能によるものなのですが、これにより非常に高いレベルの強度を出すことが可能になるらしいです。
くっついてる!!!!
というワケで、バキバキになっていたZZ-R250のフロントフェンダーが復活しました~!
そんなわけで、走行中目で見てわかるほどにブラブラしていたフロントフェンダーも、無事直すことができました! …ただ、冒頭に言わせていただいた通り、やっぱりヒビ割れは「割れたらすぐ補修」が基本。傷を広げないためにも、そしてこのZZ-R250のように悲惨な状態にならないためにも、皆様におかれましては、ぜひとも早め早めの補修をお勧めいたします~!
YouTube動画のほうでは、実際の補修作業の様子も動画でご覧になれますので、よろしかったらチェックしてみてくださいね! 今回もご視聴ありがとうございました~!!
悲惨な状態にならないためにも、皆様におかれましてはぜひとも早め早めの補修をお勧めいたします!
動画解説はこちら↓
(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪
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