サーキットレベルのスポーツタイヤだが公道でも安心! ブリヂストン「バトラックス レーシングストリート RS11」試乗
「『名は体を表す』とは、まさにこのことだな」と思った。RS11の「RS」とは、レーシングストリートを意味する。サーキットユースに特化しているR11をストリート用にチューニングしたのがRS11だが、テストしてみると、その名が示す通りのキャラクターを見せてくれた。
●試乗:丸山浩 ●まとめ:高橋剛 ●写真:山内潤也 ●BRAND POST提供:ブリヂストン
自走でサーキットへ行く、そんなユーザーを想定
ブリヂストン・バトラックスシリーズの中でも「公道用スポーツタイヤのフラッグシップ」とされているRS11だけに、まずはサーキットでテストした。ただし、「レーシング」の名を冠するタイヤではあるものの、ガチでサーキットを攻め込むのではない。「自走でサーキット走行会に参加しているユーザー」をイメージしながら、あえてそれなりのペースに留めた。実態に即したテストである。
まっさらの新品タイヤを装着して、タイヤウォーマーを使うことなくピットアウトする。ちょっと緊張する場面だ。流す程度のペースで3周だけ走り、念のためピットイン。タイヤのコンディションを目視すると、すでにいい具合で溶けている。グローブを外して素手でRS11に触れてみたが、温まりも申し分ない。「3周しただけでこんなに温まるのか!」と驚くほどで、実際の走行フィーリングも走り出しから安心感たっぷりだった。
再びピットアウトし、今度はもう少しだけペースを上げてみる。サーキット走行会のミドルクラス想定だ。フロントタイヤがブレーキングGとコーナリングGをしっかり受け止め、リヤタイヤは強大なエンジンパワーを受け止めながら、加速へとつなげてくれる。前後タイヤの役割が明確だ。荷重の高まりに比例して、旋回力やグリップ感が増していくあたりは、レーシングタイヤライクなキャラクターだ。
さらにペースを上げよう。いよいよエキスパートクラスのライディングだ。ブレーキングがよりハードになり、バンク角がより深まり、スロットルをより大きく開ける。どの場面でも、グリップ感、接地感、そして安心感は高いままだ。ペタペタと路面に張り付くようなフィーリングで、たっぷりの安心感が得られ続ける。草レースレベルなら余裕で使えるレベルだと思う。
今回は完全にドライコンディションでのテストだったが、経験上、これぐらいグリップ力の高いタイヤは、多少の雨にもへこたれない性能を見せるものだ。ウエット性能を推し量る時、トレッドパターンを気にしがちが、実際はコンパウンド特性がかなり利く。RS11ぐらい低温からグリップしてくれるコンパウンドは、ウエットでも信頼できるはずだ。
サーキットでペースを上げて若干気になったのは、ライフのことだけだった。初期から温まりがよく、ハイグリップを発揮するタイヤの宿命だから仕方ないのだが、ペースを上げるとタイヤの保ちが気がかりになってくる。もっとも、これはペース次第。「公道メインで、たまにサーキット走行」といった使い方なら、さほど問題にはならなさそうだ。
ライフにも関連して面白かったのは、トラコンの介入度合いを高めた方がグリップ感が増す、ということだった。通常、サーキット走行でペースを上げようと思うと、トラコンの介入度を下げる。エンジンパワーを余すことなく使えるからだ(ただしライダーのスロットルコントロールは、より繊細さが求められる)。
しかしRS11でトラコンの介入度を下げると、リヤタイヤのスピニングが目立った。これがもしかしたらライフの印象に影響したのかもしれない。そこでトラコンの介入度を上げると、路面をガッツリ食い、立ち上がりで気持ちよくハーフウイリーするほど。そしてスピニングが効果的に減る分、摩耗度合いも適度に抑えられていたようだ。
ついトラコンの介入度合いを下げてしまったということは、RS11のグリップ力が高いがゆえに、ガチのレーシングタイヤを履いているつもりになっていた、ということ。だがそこはもう、サーキットユースに特化したR11に任せるべき領域だ。ストリート用を謳うRS11としては、ほどよくトラコンを介入させて安心感を得るぐらいの、まさにサーキット走行会の走りがよく似合う。
もうひとつ特筆しておきたいのは、ハンドリングのニュートラルさだ。ここも、ストリート用タイヤにとっては重要な部分である。一般的にタイヤのレーシング度が増せば増すほど、ハンドリングにはある種の「いびつさ」が出てくる。ガッツリとブレーキをかけ、ガッツリと寝かせ、ガッツリとスロットルを開けた時に本領発揮するタイヤは、逆に、ふんわりとブレーキをかけ、ふんわりと寝かせ、ふんわりとスロットルを開ける走りでは、軽々しくて接地感やグリップ感に乏しいことがままある。
しかしRS11は、そこまでガチ攻めしなくても、ライダーにちゃんとインフォメーションが伝わってくる。あえてのビギナーペースでもほどよい手応えがあり、スキルのレベルに関わらず幅広いライダーに対応するタイヤだと感じた。
……と言いつつ、心配性の私としては、「さらにペースが下がる公道でも、ハンドリングはニュートラルなままだろうか」と気になってしまうのだ。ビギナークラス想定とはいえ、サーキットはやはり公道よりペースが高い。十分な荷重がかからない公道ペースでは、軽すぎて不安なハンドリングになる可能性がある。
深いバンクはせずとも、メリハリのある走りが合う
心配なら、試してみるしかない。サーキット走行会を終えた一般ライダーが、自走で帰途に着くシーンをイメージしながら、公道でRS11をテストしてみた。……まったくの杞憂だった。いわゆるツーリングタイヤのどっしり感とは違い、軽快ではある。間違いなくクイックな特性だ。だが、公道ペースでもグリップ感、接地感ともに豊富で、安心して走れる。簡単に言えば、街中をダラリと走っていても、不安感はない。
しかし、やはりRS11はスポーツタイヤだ。公道でも、ブレーキング、コーナリング、そして立ち上がり加速とメリハリをつけた走りをした方が、本来の性能を引き出せる。「RS11を選ぶぐらいのスポーツ魂があるなら、ダラダラ走るな」と言いたくなる(笑)。スロットルのオンオフだけで流すようなツーリング走りより、ちゃんとブレーキを使うスポーツライディングをした方が、RS11にとってもライダーにとっても幸福だ。
もう少し具体的に言うと、RS11にマッチするのは、「通りたいラインを意識的にしっかりと決める走り」である。何も考えずに走りたいなら、もっとストリート向け、ツーリング向けのタイヤを選んだ方がいい。RS11を履くなら、「ここでブレーキングする」「ここで寝かす」「ここで加速する」と、すべての動作を自分の意思で決めた走りをしたい。そうでなければ、コーナーのイン側に早く寄りすぎるといった形で、軽快さがアダとなってしまう。
思い出してほしい。RS11の「RS」は、レーシングストリートだということを。コイツはただのストリートタイヤじゃない。そしてRS11は、公道用スポーツタイヤのフラッグシップなのだ。狙っているのは、あくまでもスポーツであること。その開発コンセプトは、明確に実際の作り込みに反映されている。
だから例えステージが公道でも、「メリハリのついたスポーティーな走りをしたい」と願うライダーが履いてこそ、幸せになれるタイヤなのだ。やはり、名は体を表しているのである。
今回は、スーパースポーツモデルの代表格であるYZF-R1でテストして、マッチングの良さを確認したが、スポーツネイキッドに履かせても面白い。「スポーツ」の面が強調され、走り志向のライダーをより満足させるだろう。
サーキットで、公道で。低い路面温度で、雨で。スーパースポーツで、ネイキッドで。そしてサーキットビギナーから、エキスパートまで。あらゆる舞台のあらゆるコンディションで、あらゆるカテゴリーのバイクに乗る幅広いスキルのライダーを正しきスポーツライディングの世界へと誘うタイヤ。それがRS11だ。
RS10からより高次元のバランスへと進化
公道からサーキットまで、幅広いステージでのスポーツライディングに対応。前作RS10に対し、トレッドパターンの見直しや剛性分布の最適化、新開発ショルダーコンパウンドの採用などを施し、グリップ力、接地感、旋回時の安定性、ハンドリングなど、スポーツタイヤに求められる性能を高めている。
ブリヂストン『バトラックス レーシングストリート RS11』サイズラインナップ
※本記事はブリヂストンが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。