ビモータの復活がEICMA2019で発表され、その際にお披露目された「TESI H2(テージ エイチツー)」はフレームを持たない最新世代ハブステア機構でファンを驚かせた。しかし今回入手したカワサキの特許図の出願日は2018年夏。ビモータ設計が固まる前に、カワサキによる設計もあり得たのか。または違った狙いがある……?
【読み飛ばしOK】テージH2のハブステア機構と特許図は、似ているようでかなり違う
ハブステアの特許には注目したい記述があったのでピックアップしてみよう。
まずひとつめは、「本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、その構成を変更、追加、又は削除できる。操舵輪は、前輪に限定されない。また鞍乗車両は、三輪自動車又は四輪自動車でもよい。駆動源は、エンジンのほか、走行用の電動モータでもよいし、走行用のエンジンと走行用の電動モータとの両方を備えるものでもよい。」という部分。
つまり、これが3輪または4輪の可能性もあるということだ。フロントのアームは左右両側に配置もOKとの記述もあり、また操舵輪は前輪に限定されないとのことで、4WSのような機構も想定しているのだろう。また、動力源はエンジンだけでなく電動モーターおよびハイブリッドの可能性もある。
もうひとつは「また、ハンドルは回動せず、例えば、ハンドルのグリップに設けられたスイッチにより操舵輪を操舵させてもよい。また操舵機構の操舵経路は、適宜設定可能である。また、第1実施形態では、操舵機構22はステアリング部材40、リンクユニット41、及びステアリングステム42により前輪3を操舵する例を示したが、操舵機構はアクチュエータにより前輪を操舵する構成を有していてもよい。また一対の支持用リンク部材14,15は必須ではなく、省略してもよい。」というもの。
ハンドル操作と操舵が直結している必要はなく、電子制御や別のリンク機構なども想定している。これらが意味するところとは……。
ようするにコレだろうか。
……と、思ったところで、2019年12月19日公開の特許図の存在が浮かび上がってきた。こちらのテーマは「リーン及び旋回を簡素な構造で実現できる鞍乗り型車両を提供する。」となっており、ざっくり言えばヤマハにおけるLMWのような前2輪のバイクの車両について特許が出願されているのだ(構造は独自のもの)。
そしてこれをよく見てみると、記事前半で紹介したフロントのアームと、リンクの構造などがそっくりなのである。ヤマハ以外のメーカーも「傾いて走る3輪または4輪」を研究していることは過去のスクープ記事などで明らかになっているが、カワサキもついにその研究車両の姿が見えてきたといっていいかもしれない。
これはあくまでもフロントまわりの特許なので、4輪の「J」のような車両が世に出る可能性ももちろんある。そう遠くない未来に期待してますよ、カワサキさん!
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