
コーナリングは、バイクに乗る楽しみがふんだんに詰まった醍醐味のひとつであると同時に、操作法に正解のない永遠の命題とも言える。ヒザ出し、腰ずらし、ヒザ擦り、足出し、ヒジ擦り……各時代のトレンドはあれど、ライダー&マシンの進化スピードは目覚ましく、あっという間に次のトレンドへ刷新されてきた。そこでGPシーンの50年を振り返り、曲がり方の変遷を分析してみた。サーキット走行に限らず、街乗り派のキミにも何かヒントになるものがあるはずだ!
●文:伊藤康司 ●協力:青木宣篤
新たなトレンド“ 足出し”とマシンに合わせた固執しないフォーム
ロードレースが大転換を迎えた2000年代。頂点クラスは長く続いた2スト500㏄から4スト990 ㏄ のMotoGPに変わった。初年の2002年は2スト4スト混走で、シーズン前は“2スト有利”と予想されたが、フタを開けたらMotoGPマシンの速さが際立った。ともあれ、そんな大変革の2000年代に大活躍したのがバレンティーノ・ロッシ。
アプリリアで125/250チャンピオンを獲得した後、2000年にホンダに移籍し500にステップアップ、翌2001年にNSR500でチャンピオン獲得。MotoGP元年の2002年にRC211Vでチャンピオンとなり03年も連覇。そして04年にヤマハに移籍し、YZR-M1で4度もチャンピオン(990㏄とレギュレーション変更した800㏄の両方!)を獲得する無双ぶりだ。
“ザ・ドクター”の愛称を持つバレンティーノ・ロッシ。ホンダGP500&MotoGP、ヤマハに移籍しても即勝利の対応力が凄い!
“ロッシ以前”と“ロッシ以後”
そんなロッシが編み出した有名なテクニックが、コーナー進入時のイン側の「足出し」。理由は諸説あるが、後輪のグリップ力をコントロールして強力なブレーキングでのスライドを制御したり、その後の鋭い向き変えに繋げるためのテクニックと推察でき、現在では多くのライダーが踏襲している。
そして従来のライダーのような「〇〇スタイル」という決まったフォームが無いのもロッシの大きな特徴。NSR500とRC211Vはもちろん、ヤマハ時代のYZR-M1も初期は後輪荷重重視で、2010年頃からのマシンでは上体と頭をグッとイン側前方に入れ込み、あきらかにフォームが変化している。自分のスタイルに固執せず、マシンに合わせてフォームを変えられるのがロッシの速さの秘密だろう。
進入で足を出す!
コーナー進入でイン側の足をステップから外して後輪のグリップを減らし、後輪を意図的にアウト側に流すことで車体をイン側に向けると同時に素早く寝かし込み、効率的にマシンを向き変え。
[青木宣篤’s Voice]足を出すとグリップが下がる!?
2000年代はバレンティーノ・ロッシが大活躍!そして彼が始めたコーナー進入時の“足出し”も大流行(笑)。ぼくは足を“出さない派”だったけど、マネして出してみたらなるほど~って。
タイヤ開発を経験した身から出た答えは「足を出すとグリップは下がるけれど、接地感は上がる」というコト。普通はグリップと接地感の良し悪しって同じじゃね?って思うよね。
でも“路面を掴んでいる感じはあるけれどグリップしないタイヤ”とか、その逆のパターンもある。いや、もちろんグリップは大切なんだけれど、ライダーにとって一番大事なのはグリップそのものよりも「接地感」、滑っても安心できるからね。そしてイン側の足を出すことで、その状態を作り出せる。
プラスアルファで、グリップが下がるからリヤが外に出やすくなって、バイクをインに向けられる。四輪のラリーカーのように軽くリヤを滑らせて向きを変えられるし、タイヤを滑らせる抵抗で速度も落とせクイックに曲がれる。
そんな効果を求めて、足を出すライダーが増えたんだろうな~。僕は足は出さないけれど、コーナーに入る時に内側の足のステップ荷重を抜いたり、踏み替えたりしている。バイクをスッと寝かせるために、無意識にやってます!
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