
なつかしのスクーターをまとめてみた。単なるモデル紹介ではなく、当時のライダーにとってそれぞれがどんな存在だったのか、文化や時代性を含めて振り返ろう。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:編集部/YM Archives
国産スクーターの復権
スーパーカブのようなビジネスバイクが主流であった50ccクラスに、ホンダが送り出したロードパルは「女性でも手軽に乗れるお買い物バイク」として新たな市場を開拓。これに対抗し、ヤマハがスカートでも乗りやすいアンダーボーンフレームのステップスルースタイルを採用したパッソルを投入。この2台の登場を機に、ホンダとヤマハが“HY戦争”と呼ばれる熾烈な販売競争に突入することは余りにも有名な話だ。しかしこの HY戦争、もう一つの歴史的な役割を生むことになる。ホンダがパッソルに対抗して送り出したタクトの発表、すなわち国産スクーターの復活である。
1980 HONDA TACT DX:軽量ボディに本格的な足回り
ホンダがファミリーバイク戦線における切り札として投入したのが、久しぶりのスクーターとなったタクト。実用性だけでなく乗り心地や扱い安さへにも配慮し、1万円高のセル付もあった。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 3.2ps/6000rpm 0.44kg-m/4500rpm 車重49kg(乾) ■タイヤF=2.75-10 R=2.75-10 10万8000円 1980年
1980 HONDA TACT DX
1976 YAMAHA PASSOL S50:手軽で便利なお買い物バイク
「ラッタッタ」の愛称は同系バイクの代名詞にもなったベストセラー。家族用のロードパルが初バイク、というライダーも多い。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 2.2ps/5500 rpm 0.37kg-m/3500rpm 車重44kg(乾) 1976年
1976 YAMAHA PASSOL S50
1977 HONDA ROADPAL:ステップスルーでスカートでも楽々
跨る際にスカートが気にならないフロアボード形状で、一躍ファミリーバイクのトップセラーに。スクーターに近いスタイルと言える。
主要諸元■空冷2スト単気筒49cc 2.3ps/5500rpm 0.37kg-m/3500rpm 車重45kg(乾) 1977年
1977 HONDA ROADPAL
長きに渡るHY戦争突入!
タクトは当時としては珍しい樹製カウルにボトムリンク式サスやオイルダンパーの足回りを組み合わせ、非力な50ccながらも軽快な走りを実現。後々に連なる原付スクーターの形を確立する。さらに’85年にヤマハがボクスンで試みたシート下の収納スペースをブラッシュアップし“メットイン”と命名。こうして今も50ccクラスのメインストリームとして活躍する、メットインスペースを備えた原付スクーターが完成した。
今では過剰な販売競争によるデメリットが語られることの多い HY戦争だが、商品力の高い製品を作ろうとしたことで、50ccクラスの進化を早めたと言うこともできるだろう。
1981 HONDA TACT FULLMARK:利便性増の上級仕様
テール部分にサイドトランクを備えたタクトの上級仕様。さらに収納性が上がり利便性を増していった。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 3.6ps/6000rpm −kg-m/−−rpm 車重54kg(乾) 1981年
1981 HONDA TACT FULLMARK
1982 HONDA SKY:お手頃&お手軽!
乾燥重量39 kgという軽さで女性でも手軽に扱えることをアピール。低価格設定で当時の普及モデルでもあった。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 3.6ps/6000rpm 0.46kg-m/5000rpm 車重39kg(乾) 1982年
1982 HONDA SKY
1982 HONDA LEAD50:破格の馬力が自慢
新設計の5ポートシリンダーを採用して当時のスクーターとしては破格の5馬力を発揮。高性能スクーターの走り。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 5.0ps/7000rpm 車重64kg(乾) ■タイヤF・R=3.00-10 1982年
1982 HONDA LEAD50
1978 YAMAHA PASSOLA:パッソルの進化版
パッソルのデザインを引き継ぎながら、一回り大きな車体に0.5馬力アップしたエンジンでゆとりのある走りを実現。
主要諸元■空冷2スト単気筒49cc 2.8ps/6000rpm 0.39kg-m/4000rpm 車重51kg(乾) 1978年
1978 YAMAHA PASSOLA
1981 YAMAHA BELUGA:無骨なルックス
女性に人気のパッソルに対し、大柄な車体にスクエアなデザインで男性ライダーを意識。80ccも販売されていた。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 3.8ps/6000rpm 0.57kg-m/4500rpm 車重75kg(乾) 1981年
1981 YAMAHA BELUGA
1982 YAMAHA SALIENT:みんなの“ちょうどいい”
軽量&コンパクトな車体に3.6psエンジンを搭載、女性でも扱いやすく走りも楽しめるジャストサイズ感が魅力。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 3.6ps/6000rpm 0.54kg-m/4500rpm 車重56kg(乾) 1982年
1982 YAMAHA SALIENT
スクーターは完成形に…
1987 HONDA TACT FULLMARK:“メットイン”の名付け親
1987年のフルモデルチェンジで、シート下にフルフェイスが入る「メットイン」機構を搭載。抜群の収納力を備えながらも、シャープなデザインと力強い走りを実現し一躍人気モデルとなった。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 5.8ps/6500rpm 0.66kg-m/6000rpm 車重60kg(乾) ■タイヤF=3.00-10 R=3.00-10 13万9000円 1987年
1987 HONDA TACT FULLMARK
1985 YAMAHA BOX’N:“メットイン”の元祖
タクトフルマークより先にシート下に収納スペースを備えていたが、当時の流行から大柄な車体が支持を得られずフェードアウト。
主要諸元■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ49cc 5.8ps/7000rpm 0.61kg-m/ 6000rpm 車重55kg(乾) 1985年
数多のスターがイメージキャラクターとして登場
1984 HONDA LEAD SS:新御三家の一角
当時のトップアイドルである西城秀樹をイメージキャラクターに採用。テレビCMにも起用され若者には強烈なアピールとなった。
1984 HONDA LEAD SS
1982 SUZUKI LOVE:キング・オブ・ポップが降臨!
スズキの主力スクーターとして登場したラブは、この年『スリラー』を発表するマイケル・ジャクソンを起用! 当時の力の入れ様をうかがうことができる。
1982 SUZUKI LOVE
1986 SUZUKI Hi:関西お笑い界のアイドル
『ひょうきん族』を始め全国区の人気を確立した明石家さんまはスズキのハイで起用。CMでの「ハイのハイのハイ」というキャッチフレーズが有名だった。
1986 SUZUKI Hi
1983 HONDA SQUASH:お昼の顔の異色タレント時代
当時はお昼の顔というよりもまだ深夜を中心に活動する異色タレントのイメージが強かったタモリ。そんな個性がスカッシュのイメージに合致?
1983 HONDA SQUASH
国民的女優から個性派女優まで
1983 HONDA EVE:女性がターゲットのイブは「女性が憧れる女性」として映画スタアの大原麗子を起用。
1983 HONDA EVE
1979 YAMAHA CARROT:キャロットは個性派女優として強い存在感を放っていた桃井かおりでアピール。
1979 YAMAHA CARROT
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