EM1 e:との違いと低価格の秘密とは?

補助金なしで22万円! ホンダが『充電インフラなし』でも使える新型EV原付「ICON e:」を発表

補助金なしで22万円! ホンダが『充電インフラなし』でも使える新型EV原付「ICON e:」を発表

ホンダは、原付一種の電動二輪パーソナルコミューター「ICON e:(アイコン イー)」を2026年3月23日に発売すると発表した。専用バッテリーを用い、充電器もセットで価格はエンジン車50cc原付に迫る22万円を実現している。


●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ホンダ

兄弟車の「EM1 e:」よりも約10万円安い!

ホンダは、原付一種の電動二輪パーソナルコミューター「ICON e:」を発表した。発売は2026年3月23日を予定しており、バッテリーと充電器を含めて22万円という手頃な価格を実現しているのが最大のトピックだ。

「ICON e:」は、先行して販売されている「EM1 e:」に続くホンダ原付一種の電動パーソナルコミューターだが、顧客のターゲット層は大きく異なる。一方で、バッテリーやコントロールユニット以外の基本骨格は「EM1 e:」と多くを共通としているのも特徴だ。

EM1 e: ●32万100円

ICON e: ●22万円

インフラ依存からの脱却。「交換式」ではなく「着脱式」

最大の特徴は、動力源となるバッテリーの考え方だ。「EM1 e:」がホンダの共通バッテリー規格「Honda Mobile Power Pack e:(MPP)」を採用し、バッテリー交換ステーション(Gachaco等)での利用も視野に入れているのに対し、「ICON e:」は車両固有のバッテリーを採用している。

左: ホンダモーターサイクルジャパン 商品企画部 鶴田隆時さん
右: 本田技研工業 二輪・パワープロダクツ事業本部 三ツ川 誠さん

開発責任者の三ツ川さんは開発の経緯について、「MPPのインフラがない地域、例えば地方や島嶼部では『インフラ待ち』になってしまう。インフラがなくても自宅充電で完結できる、より安価なモデルが必要だった」と語る。

このバッテリーは車載状態での充電に加え、取り外して室内で充電することも可能だが、MPPのような他機器への転用(農機具や発電機など)は想定されていない。三ツ川さんはこれを「交換式(MPP)」に対して「着脱式」と呼び区別している。

バッテリー単体重量は11.4kgで、価格は11万円となる。また、専用充電器は重量2.3kgで価格は3万8500円。ただしバッテリー、充電器とも単体での販売は想定しておらず、購入する場合は純正パーツとして取り寄せる必要があるとのことだ。

車載した状態でも取り外した状態でもバッテリー充電が可能。交換式バッテリーのMPPに対し、“着脱式”と呼ばれる。

バッテリーは防水対策が施されており、適切に取り付けた状態であればそこそこ深めの水たまりを通過しても大丈夫だという。専用バッテリーの採用によって生まれたシート下ラゲッジスペースは、ICE(Internal Combustion Engine=ガソリン車)と同等に使える容量26Lを確保した。

低価格を実現した秘密とパッケージングの利点

「ICON e:」が「EM1 e:」よりも安価に提供できる理由は、バッテリー単体が廉価だからというわけではない。実際のところMPPよりも数千円安いだけだ。では何をもってコストを抑えているかというと、システム構成の簡素化だ。

MPP搭載車はシステム起動のために別途12Vバッテリーが必要だが、「ICON e:」はそのシステムを廃止し、部品点数を削減。さらに、MPPのマウント部分は頻繁な交換を想定し、複雑な機構を用いて扱いやすく頑丈に作られているが、「ICON e:」の場合は部品点数の大幅削減などシンプル化している。

また、バッテリー形状の変更は収納スペースにも恩恵をもたらした。縦長のMPPを搭載する「EM1 e:」では確保できなかったシート下ラゲッジボックス(容量26L)を、「ICON e:」ではバッテリーをフロアステップ下に配置することで実現している。これにより、ヘルメットの収納も可能となり、通学や買い物といった日常使いでの利便性が向上した。

デザイン面では、灯火器を「EM1 e:」と共通化しながら外装を一新。よりスポーティな印象を与える意匠としたほか、MPP搭載の必要がなくなったことからシート前端をややスリム化するなど、足着き性を向上する変更も施されている。

走行性能と実用性

カタログスペック上の満充電走行距離は81km(30km/h定地走行値)。先行導入されているベトナム市場での実用実績では、おおよそ40km〜50km程度が目安になるという。

モーター出力については、海外モデルと同じハードウェアを使用しつつ、日本独自の法規である定格出力を0.58kWと表記しているが、最高出力は海外モデルと全く同じだという。三川ツ氏によれば、海外製部品を多用しながらも、乗り味は「ホンダらしい」ドライバビリティに調整されており、「EM1 e:」と比較してもほとんど同じ走行フィーリングに仕上がっているという。

どんな人に向いている?

左端の「CUV e:(原付二種)」を除く、原付一種のホンダ製電動バイクのラインナップ。右端は新基準原付のディオ110 Liteだ。

ホンダは今後、原付一種の電動パーソナルコミューターとしては「EM1 e:」と「ICON e:」の2ラインナップで顧客の環境に合わせた選択肢を提供する構え。このほかにディオ110 Liteなどの新基準原付エンジン車、またベンリィe:などのプロユース向け電動モデルもあり、原付一種カテゴリーに一大ラインナップをを形成している。

三ツ川さんは「都市部でGachacoなどのインフラがあるならEM1 e:、インフラがない地域や、より手軽さを求める学生、操作がシンプルな乗り物を求める高齢者にはICON e:が適している」と語る。もちろん自宅での充電のみで運用する環境であれば、インフラがあってもこちらを選ぶ理由は大いにあるだろう。ガソリン車と並べて検討できる価格帯になったことで、ラストワンマイルの移動手段としての普及が期待される。

カラーバリエーションは「パールスノーフレークホワイト」「ポセイドンブラックメタリック」「キャンディラスターレッド」の3色展開。日常の足としての「選べるEV」が、また一つ市場に加わった。

Honda ICON e:[2026 model]

シート下にはヘルメットなどを収納可能な容量26Lのラゲッジボックスを装備。フロントには500mlペットボトルも入るインナーラックと、携帯端末の充電などに便利なUSB Type-Aソケットを備える。ブレーキは前後輪に適切な割合で制動力を配分するホンダ独自のコンビブレーキ(前後連動ブレーキ)を採用している。なお、もともとが廉価なため補助金の対象にはなっていない。

Honda ICON e:[2026 model]パールスノーフレークホワイト

Honda ICON e:[2026 model]パールスノーフレークホワイト

Honda ICON e:[2026 model]ポセイドンブラックメタリック

Honda ICON e:[2026 model]キャンディラスターレッド

通称名ICON e:
車名・型式ホンダ・ZAD-EF23
全長×全幅×全高1795×680×1085mm
軸距1300mm
最低地上高135mm
シート高742mm
装備重量87kg
原動機形式・種類EF21M・交流同期電動機
定格出力0.58kW(道路運送車両法上の第一種原動機付自転車に分類)
最高出力1.8kW(2.4ps)/618rpm
最大トルク85N・m(8.7kgf・m)/110rpm
動力用バッテリーリチウムイオン電池 48V/30.6Ah
1充電走行距離81km(30km/h 定地走行テスト値)
タイヤサイズ前90/90-12
タイヤサイズ後100/90-10
ブレーキ前油圧式シングルディスク
ブレーキ後機械式リーディングトレーリング(ドラム)
乗車定員1名
価格22万円
車体色白、黒、赤
発売日2026年3月23日
 

ICON e: のディテール紹介

灯火器は全てLED。左はロービーム、右はハイビームだ。

バッテリー残量もきっちり表示される、反転表示のLCDメーター。

バッテリーを床下収納にすることで、フロア高はEM1 e:から上昇した。

シート高は742mm。低くし過ぎるとフットフロアとの兼ね合いで膝の曲がりが強くなるということでこの高さに落ち着いたという。

フットフロアを開けるとバッテリーが露出する。

フロントインナーラックにはUSBタイプAソケットを標準装備。メインキーは通常の鍵を使用するタイプだ。

フロントにはディスクブレーキを装備(リヤはドラム)。前後連動ブレーキを備える。

駆動用モーターは「EM1 e:」と異なる専用品だ。最高出力はEM1 e:とほぼ同じ、海外仕様ICON e:と全く同じ。

サイドスタンドとセンタースタンドの両方を標準装備。

リヤブレーキレバーはロック機構も備える。

純正アクセサリー装着車。

車体にバッテリーを搭載したまま充電するためのソケット。とてもわかりやすい位置にある。

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