【昭和名車】ホンダ(HONDA)CBX400F【1981~1984】:第二世代の400ccフォアで激戦区の王座を奪還

【昭和名車】ホンダ(HONDA)CBX400F【1981~1984】:第二世代の400ccフォアで激戦区の王座を奪還

ニッポンがもっとも熱かった“昭和”という時代。奇跡の復興を遂げつつある国で陣頭指揮を取っていたのは「命がけ」という言葉の意味をリアルに知る男たちだった。彼らの新たな戦いはやがて、日本を世界一の産業国へと導いていく。その熱き魂が生み出した名機たちに、いま一度触れてみよう。この記事ではホンダCBX400Fの概要について解説する。


●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:山内潤也/YM ARCHIVES ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU

過渡期に生まれながらもマシン全体の完成度は抜群

’59年にCB92を発売して以来、各時代の旗艦を含めたロードスポーツの多くに、ホンダはCBという車名を使用してきた。そして昨今では、ネイキッド:CB、カウル付き:CBRという分類が定番になっているものの、’70年代末~’80年代前半の同社は、既存CBの系譜を受け継ぐ新世代ロードスポーツを「CBX」と命名。125cc~1000ccまで、あらゆる排気量帯に同名のモデルを投入していた。

連続感を意識した外装部品は、前任に当たるCB400N/DホークIIIや同時代のCB-Fシリーズに通じる構成だが、それらと比較するとCBX400Fのデザインは格段に洗練されていた。

そんなCBXシリーズを語るうえで、もっとも重要な車両と言ったら、海外では’79年に登場した1000cc並列6気筒車が筆頭に挙がるはずだ。しかし、日本人の多くがCBXという車名から思い浮かべるのは、’81年秋の東京モーターショーで公開され、直後に発売が始まった400cc並列4気筒車だろう。現役時代に爆発的な人気を獲得し、約3年間で6万台以上が生産されたCBX400Fは、生産終了から30年以上が経過した近年でもプレミア価格で取引されるほど、多くのライダーから愛されているのだから。

ちなみに、昨今とは比較にならないほど熾烈な性能競争が行われていた’80年代の400ccクラスで、CBX400Fが圧倒的な強さを発揮していた期間は1年にも満たなかった。

ただし、同時代に販売されたライバル勢の大半が、後継車の登場と同時に存在意義を失っていったのに対して、’83年末に後継車のCBR400Fにバトンを渡した後もCBX400Fの人気は一向に衰えず、’84年秋になると当時としては異例の再生産が決定。

しかも、約1年間に及んだ再生産終了後も、市場での評価が大きく下がることはなく、’80年代後半以降になると、新車価格を上回る中古車が登場することとなったのである。 CBX400Fがここまでの人気を獲得できた理由には、ビッグバイクとの比較で見劣りしなかったから、日本人の体格と日本の道路事情にマッチしていたから、などが考えられる。

しかしそれ以上に重要な要素は、昔ながらのバイクらしいスタイルと’80年代初頭の革新的技術が、絶妙のバランスで融合していたことかもしれない。 もっとも、そういった資質はCBX400Fだけの特徴とは言い切れないけれど、革新的技術を導入した結果、さまざまな面で消化不良を感じることがあった同時代のライバル勢とは異なり、CBX400Fは生まれながらにして抜群の完成度も備えていたのだ。

HONDA CBX400F(1981) OUTLINE & EXTERIOR

’80年代前半に販売されたミドルCBXには、大別すると4種のモデルが存在する。そのうち日本で販売されたのは、大本命の400ccネイキッド仕様と、ハーフカウル仕様の400/550cc(インテグラ)の3機種で、550ccのネイキッド仕様は海外市場専用だった。

テールライトはリヤウインカーを一体型としたコンビネーションタイプ。リヤショックが車体中央に収まっていることもあって、後方からの眺めはとてもスッキリした印象だ。

セパレートハンドルとフロントウインカーは、スリム化を念頭に置いて形状を決定。タイヤサイズは、同時代の400cc以上の定番だった19/18インチではなく前後18インチ。

中央に燃料計を配した3連メーターは、CBX(1000)とよく似た構成。ハンドルグリップは当時の基準ではかなり低め。

ガソリンタンクは既存のCB系各車とはまったく異なるデザイン。前後長の短縮とニーグリップのしやすさを意識しつつ、17Lの容量を確保している。

座面がほぼフラットだった既存CBに対して、CBX400Fのシートは前後に明確な段差を設定。

スイッチボックスの基本構成は同時代のCB-FシリーズやCBX(1000)と共通。右側に備わる回転式のキルスイッチや、左側に見えるパッシングボタンは、今となっては懐かしい装備かもしれない。 2種の排気量と2種のスタイル 既存のCB系とは異なる新しいデザイン メーターの基本は当時の旗艦を踏襲。

発電機が収まるクランクケース左側が出っ張っているものの、CBX400Fの車体は、当時としては相当にスリムだった。

HONDA CBX400F(1981)主要諸元

項目諸元
全長(㎜)2060
全幅(㎜)720
全高(㎜)1080
軸間距離(㎜)1380
シート高(㎜)775
車両重量(㎏)189
燃料タンク容量(L)17
エンジン種類空冷4サイクル並列4気筒 DOHC 4バルブ
内径×行程(㎜)55 × 42
圧縮費9.8
総排気量(cc)399
最高出力48ps / 11000rpm
最大トルク3.4kg-m / 9000rpm
変速機形式6段リターン
キャスター/トレール26°/ 97㎜
ブレーキ前/後ディスク(インボード)/ディスク(インボード)
タイヤサイズ前/後3.60-H18/4.10-H18
発売当時価格47万円(ソリッド)/ 48万5000円(ツートーン)

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