
ニッポンがもっとも熱かった“昭和”という時代。奇跡の復興を遂げつつある国で陣頭指揮を取っていたのは「命がけ」という言葉の意味をリアルに知る男たちだった。彼らの新たな戦いはやがて、日本を世界一の産業国へと導いていく。その熱き魂が生み出した名機たちに、いま一度触れてみよう。この記事ではホンダCBX400Fの概要について解説する。
●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:山内潤也/YM ARCHIVES ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU
過渡期に生まれながらもマシン全体の完成度は抜群
’59年にCB92を発売して以来、各時代の旗艦を含めたロードスポーツの多くに、ホンダはCBという車名を使用してきた。そして昨今では、ネイキッド:CB、カウル付き:CBRという分類が定番になっているものの、’70年代末~’80年代前半の同社は、既存CBの系譜を受け継ぐ新世代ロードスポーツを「CBX」と命名。125cc~1000ccまで、あらゆる排気量帯に同名のモデルを投入していた。
連続感を意識した外装部品は、前任に当たるCB400N/DホークIIIや同時代のCB-Fシリーズに通じる構成だが、それらと比較するとCBX400Fのデザインは格段に洗練されていた。
そんなCBXシリーズを語るうえで、もっとも重要な車両と言ったら、海外では’79年に登場した1000cc並列6気筒車が筆頭に挙がるはずだ。しかし、日本人の多くがCBXという車名から思い浮かべるのは、’81年秋の東京モーターショーで公開され、直後に発売が始まった400cc並列4気筒車だろう。現役時代に爆発的な人気を獲得し、約3年間で6万台以上が生産されたCBX400Fは、生産終了から30年以上が経過した近年でもプレミア価格で取引されるほど、多くのライダーから愛されているのだから。
ちなみに、昨今とは比較にならないほど熾烈な性能競争が行われていた’80年代の400ccクラスで、CBX400Fが圧倒的な強さを発揮していた期間は1年にも満たなかった。
ただし、同時代に販売されたライバル勢の大半が、後継車の登場と同時に存在意義を失っていったのに対して、’83年末に後継車のCBR400Fにバトンを渡した後もCBX400Fの人気は一向に衰えず、’84年秋になると当時としては異例の再生産が決定。
しかも、約1年間に及んだ再生産終了後も、市場での評価が大きく下がることはなく、’80年代後半以降になると、新車価格を上回る中古車が登場することとなったのである。 CBX400Fがここまでの人気を獲得できた理由には、ビッグバイクとの比較で見劣りしなかったから、日本人の体格と日本の道路事情にマッチしていたから、などが考えられる。
しかしそれ以上に重要な要素は、昔ながらのバイクらしいスタイルと’80年代初頭の革新的技術が、絶妙のバランスで融合していたことかもしれない。 もっとも、そういった資質はCBX400Fだけの特徴とは言い切れないけれど、革新的技術を導入した結果、さまざまな面で消化不良を感じることがあった同時代のライバル勢とは異なり、CBX400Fは生まれながらにして抜群の完成度も備えていたのだ。
HONDA CBX400F(1981) OUTLINE & EXTERIOR
’80年代前半に販売されたミドルCBXには、大別すると4種のモデルが存在する。そのうち日本で販売されたのは、大本命の400ccネイキッド仕様と、ハーフカウル仕様の400/550cc(インテグラ)の3機種で、550ccのネイキッド仕様は海外市場専用だった。
中央に燃料計を配した3連メーターは、CBX(1000)とよく似た構成。ハンドルグリップは当時の基準ではかなり低め。
スイッチボックスの基本構成は同時代のCB-FシリーズやCBX(1000)と共通。右側に備わる回転式のキルスイッチや、左側に見えるパッシングボタンは、今となっては懐かしい装備かもしれない。 2種の排気量と2種のスタイル 既存のCB系とは異なる新しいデザイン メーターの基本は当時の旗艦を踏襲。
発電機が収まるクランクケース左側が出っ張っているものの、CBX400Fの車体は、当時としては相当にスリムだった。
HONDA CBX400F(1981)主要諸元
| 項目 | 諸元 |
|---|---|
| 全長(㎜) | 2060 |
| 全幅(㎜) | 720 |
| 全高(㎜) | 1080 |
| 軸間距離(㎜) | 1380 |
| シート高(㎜) | 775 |
| 車両重量(㎏) | 189 |
| 燃料タンク容量(L) | 17 |
| エンジン種類 | 空冷4サイクル並列4気筒 DOHC 4バルブ |
| 内径×行程(㎜) | 55 × 42 |
| 圧縮費 | 9.8 |
| 総排気量(cc) | 399 |
| 最高出力 | 48ps / 11000rpm |
| 最大トルク | 3.4kg-m / 9000rpm |
| 変速機形式 | 6段リターン |
| キャスター/トレール | 26°/ 97㎜ |
| ブレーキ前/後 | ディスク(インボード)/ディスク(インボード) |
| タイヤサイズ前/後 | 3.60-H18/4.10-H18 |
| 発売当時価格 | 47万円(ソリッド)/ 48万5000円(ツートーン) |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
免許制度変更→ビッグバイクのハードルが大幅に下がった ’90年代末にさしかかると、ゼファー以降に登場したCBやXJRもビッグチェンジを果たした。とくにCBはバルブ休止機構のハイパーVTECを導入し、新[…]
ヤマハ AG200(1985年2月発売)「AGはAGRICULTURE=農業の略」 直訳すると車名は「農業200」だが、いわゆる農耕地での移動や運搬に使われるバイクのこと。ホンダのCTシリーズと成り立[…]
不朽の名車KATANAのレプリカで、尖ってないスポーツモデルをリリース! スズキといえばKATANA……国産4メーカーが揃ってビッグバイクへチャレンジして肩を並べた1970年代を過ぎて、スズキはスペッ[…]
極太のフレームに仰天 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ750やFZ250フェーザーと同様、[…]
’80年代の国内市場は短命モデルの宝庫でもあった 若年人口の増加も手伝い、国内でのモーターサイクル販売需要も多かった’80年代。エンジンは空冷から水冷化が進み、サスペンションもフレームも日々進化が見ら[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
ストリートの定番「NEW ERA」とコラボした万能プルオーバーフーディー アメリカで100年以上の歴史を持ち、メジャーリーグの公式キャップなどでも世界的な知名度を誇る「NEW ERA(ニューエラ)」。[…]
免許制度変更→ビッグバイクのハードルが大幅に下がった ’90年代末にさしかかると、ゼファー以降に登場したCBやXJRもビッグチェンジを果たした。とくにCBはバルブ休止機構のハイパーVTECを導入し、新[…]
新型『CB1000F』のイメージってどんなもの? 長年、Honda『CB』を象徴してきた「CB1300」シリーズが30年以上の歴史に終止符を打ち、その後を継ぐかのように登場した新型『CB1000F』と[…]
【Honda × Kuromi】ZIPフーディ:春先ツーリングの重ね着にも重宝するZIPパーカー 背中に大きくプリントされたHondaカラーのクロミと、伝統のウィングマークが目を惹くZIPフーディ。生[…]
CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept 「やっぱりスーフォアこそが原点」 東京ビッグサイトのホンダブースでは、開場直後から復活した「CB400スーパーフォア」に触れたいとい[…]
人気記事ランキング(全体)
1.「裏ペタ」という不思議なカスタム SS系やストリートファイター系のカスタムバイクで、時折見かけることがある「裏ペタ」。要はナンバープレートを、リヤフェンダーの内側に貼り付けるカスタム(!?)のこと[…]
世界初!カーボンフォーク&カーボンセラミックブレーキの衝撃 今回の目玉は、何といっても足まわりだ。驚くなかれ、フロントフォークのアウターチューブにはカーボンファイバーを採用(オーリンズ製NPX 25/[…]
’80年代の国内市場は短命モデルの宝庫でもあった 若年人口の増加も手伝い、国内でのモーターサイクル販売需要も多かった’80年代。エンジンは空冷から水冷化が進み、サスペンションもフレームも日々進化が見ら[…]
ネオクラの極み!“静謐なエレガンス”を纏った都会派スクランブラー ナイトシフトといえば、カフェレーサー的なフラットシートやバーエンドミラー、そしてスポークホイールが生み出す「夜のストリート」感が持ち味[…]
極太のフレームに仰天 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ750やFZ250フェーザーと同様、[…]
最新の投稿記事(全体)
ストリートの定番「NEW ERA」とコラボした万能プルオーバーフーディー アメリカで100年以上の歴史を持ち、メジャーリーグの公式キャップなどでも世界的な知名度を誇る「NEW ERA(ニューエラ)」。[…]
免許制度変更→ビッグバイクのハードルが大幅に下がった ’90年代末にさしかかると、ゼファー以降に登場したCBやXJRもビッグチェンジを果たした。とくにCBはバルブ休止機構のハイパーVTECを導入し、新[…]
過酷なレース現場を支えた本物のスペックを日常へ ライディングシューズには、乗車時の操作性や安全性だけでなく、バイクを降りた後の「歩きやすさ」も欲しいところ。観光地での散策やツーリング先での休憩時、足元[…]
1位:Insta360 X5のBMW Motorrad 版がヤバすぎる! 大人気の360度カメラ「Insta360 X5」にBMW限定版が登場し堂々の1位を獲得した。最大の特徴は、ハンドルから手を離さ[…]
新型『CB1000F』のイメージってどんなもの? 長年、Honda『CB』を象徴してきた「CB1300」シリーズが30年以上の歴史に終止符を打ち、その後を継ぐかのように登場した新型『CB1000F』と[…]
- 1
- 2










































