
クルマやバイク好きの中には、コレクターと呼ばれる方々も少なくありません。中でも、ヘルメットには独特な魅力があるのか、コレクションしたりレプリカを使ったりと人気が高いようです。それだけに、モータースポーツを象徴するかのような逸品、歴史的な価値があるヘルメットというのは驚くような高値で流通しています。そんな超コレクターズアイテム級をチョイスしてみました。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotheby’s
アイルトン・セナ 1992年 ショウエイX-4
1992年のベルギーGPでアイルトン・セナがレースで着用した本物。お値段は驚愕の1億4360万円で落札されています。ヘルメット自体はショウエイX-4レーシングながら、市販品に比べ200gほど軽量化されているとのこと。
セナのクラシックなカラーパターンで仕上げられ、シェルのロゴが入ったバイザーはダークブルーで、こちらも正真正銘のセナ使用品。ご覧の通り、Hugo Boss、Marlboro、Shoei、Nacionalのロゴもきれいに保存されており、もちろん専門家による鑑定書付き。また、KTELの軽量インカムのほか、どういうわけかアライのヘルメット袋が付属して販売されました。
アイルトン・セナが1992年のベルギーGPで着用していたヘルメットは、驚きの1億4360万円で落札されています。おそらくヘルメットとしては世界最高額でしょう。
ショウエイX-4レーシングをベースに200gほど軽量化されているF1仕様。なぜか、アライのヘルメット袋まで付属していました。
ナイジェル・マンセル 1992年 アライ
ナイジェル・マンセルの家族が運営している「ナイジェル・マンセル・レガシーコレクション」が出品したレース使用済みヘルメット。由緒あるものだけに、オークションでの落札価格は1240万円! セナのヘルメットとは1桁違うものの、F1パイロットの中でナイジェルは屈指の人気を誇っています。
また、F1ファンならご承知の通り、1992年はナイジェルがドライバーズタイトルを獲得した唯一のシーズン。この年のヘルメットがより高い価値を持つこと、大いに納得です。また、マンセル家から出品されているだけあって、バイザーにも直筆のサイン入り。飛び石などリアルな使用痕は少な目で、セナ同様に通信システムも装備した状態。飾っておくのはもちろん、値段を気にしなければサーキット走行に用いることも十分可能でしょう。
ナイジェル・マンセルが最初で最後のドライバーズチャンピオンに輝いた1992年の実使用ヘルメット。落札価格は驚愕の1240万円!
マンセル家が運営しているグッズコレクションから売りに出されただけあって、バイザーへのサインもどことなく丁寧な筆跡に見えます(笑)。
ミハエル・シューマッハ 2001年 シューベルト
シューマッハのヘルメットはじつに多くが出回っていますが、こちらは2001年、すなわち4度目のドライバーズタイトル獲得の際に使っていたもの。落札価格、2200万円がついたというのも当然でしょう。
シューベルトは日本では馴染みが薄いかもしれませんが、スクーデリア・フェラーリと契約していたほか、ラルフ・シューマッハ、ニック・ハイドフェルドといったドイツ系ドライバー、現在では角田裕毅やニコ・ヒュルケンベルクらも使用実績がある一流メーカー。
なお、こちらのヘルメットは直筆サインが加えられたほか、2001年のハンガリーGP予選&本戦での使用を証明するドキュメントも付属しています。ちなみに、予選と本戦ともに1位ですから、その価値もひとしおに違いありません。
シューマッハはとりわけスクーデリア・フェラーリ時代のヘルメットが人気で、チャンピオンを獲得した2001年のものは2200万円で売れました。
シューベルトはドイツ人ドライバーが数多く使用しており、スクーデリア・フェラーリとも一時期は通年契約をしていた実績があります。
フェルナンド・アロンソ 2004年 アライ
セナやシューマッハに次いで、アロンソのヘルメットも非常に高い人気を誇っています。タイトル奪取はもちろん、激しい上位争いといった活躍の印象深さが理由でしょうか。
こちらは2004年に使用されたヘルメットで、この年のアロンソはドライバーズランキング4位に終わっているものの、落札価格は堂々の860万円。闘志あふれる走りの人気が伺えるというもの。
現品は激しいレースでの使用を裏付けるようなコンディションながら、リヤスポイラーやHANS用の金具など現代F1を象徴するような装備もあり、また、本人によるサインも描かれています。そして、付属品としてアライのヘルメットケースだけでなく、シューベルトのケースまで付いてくるというお買い得(笑)アロンソのファンならずとも食指が動きそうな逸品です。
闘志あふれる走りで人気のアロンソも多数のコレクターがいる模様で、4位に終わった2004年でさえ860万円の価格で買い取られています。
アロンソがこのヘルメットにサインをしている様子。もちろん、商品には専門家による鑑定証明書が付属しています。
ヴァレンティーノ・ロッシ 2002年 AGV(Sparco)
今でこそWECのトップドライバーとして活躍するロッシですが、プロライダー時代の1997年から年に1度、シーズンオフになるとラリーに出場していました。同じくプロライダーだった父親のグラツィアーノもまたWRCまで出場しており、2002年にロッシもついにWRC、ラリーGBに出場したのでした。
その際、レーシングギヤのトップブランド「スパルコ」からヘルメットをはじめとしたギヤ一式が提供されたのですが、スポンサー契約の都合上AGVのロゴがペイントされたという実にレアなヘルメットとなった次第。落札価格92万円というのも、そんな希少性が反映されたといえるかもしれません。
驚くべきは、このヘルメットは個人が手に入れた後にサインをゲットし、その後20年ほど手元に置いていたということ。どういうルート、手段を使ったのか、マニアとしてはぜひとも知りたいところです。
バイクレースで数多くの勝利を収めてきたロッシですが、実はWRCにも参戦しており、その際のヘルメットが売り出されました。
スパルコ製ながら、AGVのマークがペイントされた珍品。ロッシの直筆サイン入りで、落札価格は92万円になりました。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(レース | ヘルメット)
マルケス兄弟はこれまで10個のタイトルを獲得、11個目もSHOEIと目指す! SHOEIは、ロードレース世界選手権MotoGPクラスに参戦するマルク・マルケス選手およびアレックス・マルケス選手と、20[…]
伝説のライダーが初着用。以来マン島に欠かせない存在に 1984年、アライとしての初参戦時に同社のヘルメットを被ったのはジョイ・ダンロップとブライアン・リードの2名。誰もが知るTTライダーが選んで以来、[…]
MotoGPがいよいよ開幕! プレシーズンテストや体制発表会の情報が続々と舞い込み、中にはSNSで2024年仕様のヘルメットを公開するライダーもちらほら現れていたので、レースファンの筆者としては、胸の[…]
レプリカヘルメットを購入するともれなくサイン&選手と一緒に撮影できる 2024年1月20日(土)と21日(日)、バイク用品店各所においてMoto2参戦ライダー・小椋藍選手のサイン会&トークショーが開催[…]
MotoGPなど国際格式レースのヘルメット規格が2026年から改められるのに際して、アライヘルメットが海外で販売している国際格式レース対応レーシングモデル「RX-7V FIMレーシング#2」が、FIM[…]
最新の関連記事(ヘルメット)
カブトの技術を結集した150個限定仕様 「F-17R Mips」の最大の特徴は、その帽体構造にある。最新のハイパーガラス繊維と高強度有機繊維素材、そしてカーボンを組み合わせた「A.C.T.-2+C(精[…]
CFD解析で最適化された圧倒的な「抜け」の良さ KAMUI-5の最大の特徴は、CFD(数値流体解析)を用いて配置と形状が再設計されたベンチレーションシステムにある。走行風を効率よく取り込み、ヘルメット[…]
WSBKを連覇したトプラック選手のレプリカモデルがいよいよ登場! トプラック・ラズガットリオグル選手はトルコ出身のレーシングライダーだ。2015年にスーパーストック600欧州選手権で優勝すると、201[…]
マルク選手7度目の王者を記念した最新レプリカモデルが登場! マルク・マルケス選手は、2025年のMotoGPシーズンチャンピオンを決め、通算7度目、6年ぶりのワールドチャンピオンを達成した。SHOEI[…]
プライベーター時代のシンプルで貴重なグラフィックの第2弾登場 オーストラリア出身で、1983年から国際レースで活躍して世界的に有名となったレーシングライダー、ワイン・ガードナー氏は、全日本ロードレース[…]
人気記事ランキング(全体)
2026年2月発売! 注目のカワサキ製新型ネイキッド3モデルに早速触れてみる 10月30日から11月9日までの期間に開催されたジャパンモビリティショーで初披露となったカワサキの人気モデルZ900RSの[…]
3Mシンサレート採用の4層構造で冬走行の冷えを軽減する 本商品は、防風ポリエステル生地/3Mシンサレート中綿/裏起毛の4層構造で手全体を効率よく保温する設計。一般的なポリエステル綿と比べて中綿が軽く、[…]
CFD解析で最適化された圧倒的な「抜け」の良さ KAMUI-5の最大の特徴は、CFD(数値流体解析)を用いて配置と形状が再設計されたベンチレーションシステムにある。走行風を効率よく取り込み、ヘルメット[…]
折りたたみ機構と視界性能を両立した実用設計 本商品は、ミラーマウントに装着する汎用タイプで、8mmと10mmに対応する左右セットモデルである。最大の特徴は、ミラーを内側に折りたためる構造で、保管時やバ[…]
得意の125ccクラスで意地を見せた走りのパフォーマンス! スズキは’60年代、ホンダに続きヤマハが挑戦を開始した世界GPチャレンジに追随、50ccと125ccの小排気量クラスを主軸に世界タイトルを獲[…]
最新の投稿記事(全体)
手軽さを極めた、ポケットに入れて留めるだけの新発想ホルスターバッグ ハーフデイツーリングホルスターはポケットに差し込むだけで装着完了。ベルト調整やストラップ固定といった面倒な作業は不要で、所要時間はわ[…]
1. 【背景】50ccガソリン原付は排ガス規制をクリアできず 50ccガソリン原付はなぜ生産終了となるのか。それは地球環境保護という理念のなか世界的に年々厳しくなる排ガス規制値をクリアできないとわかっ[…]
バイク整備は、だいたい汚れとの戦いから始まる バイク整備をしていて、より深く分解していくと避けて通れないのがグリスやオイルの汚れです。今回の場合は古いモンキーのフロントフォーク。オイルは入っていない代[…]
欲しいバイクは早い者勝ち! 全店500台の特選車大放出! お年玉や福袋や初売りといえば、年齢にかかわらず誰もがワクワクする年始の風物詩だ。そしてライダーにとって胸躍るのが「バイク王の初売り」である。 […]
排気量に見合った絶妙なシャーシがオフロードで効く!! オフロードバイクのYZF-R1の触れ込みで登場したWR250R、そして長年オフロードバイクのエントリーモデルとして愛されてきたセロー250…がカタ[…]
- 1
- 2
















































