
スズキのミドルクラスを長きにわたり支えてきた傑作ネイキッド、『SV650』およびカフェレーサースタイルの『SV650X』が、ついにその生産の歴史に終止符を打った。最初期モデルの登場から四半世紀以上、多くのファンに愛されてきたスズキの名機を振り返りつつ、EICMA2025で公開された最新のミドルVツインについて触れていく。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:スズキ
ひっそりと終了したスズキの名Vツイン
スズキのミドルクラスを長きにわたり支えてきた傑作ネイキッド、『SV650』およびカフェレーサースタイルの『SV650X』が、ついにその生産の歴史に終止符を打った。
この情報はスズキから正式なアナウンスがあったわけではなく、公式サイトの情報更新によって判明。同系エンジンを積む『Vストローム650』シリーズに続き、SV650/Xも生産終了が確認された形だ。生産終了の背景には、近年の環境規制強化、具体的には排ガス規制EURO5+への対応が深く関わっていると見られる。
これにより、最初期モデルの登場から四半世紀以上、多くのファンに愛されてきたスズキの「隠れ名機650cc Vツインエンジン」の歴史も、一度は幕を閉じるかと思われた。
四半世紀ファンを獲得し続けてきたSV650/Xの魅力
ここでSV650がなぜ多くのライダーに支持されてきたのかを振り返ってみよう。それは、国産メーカー製では貴重なV型2気筒エンジン(645cc)を核とした、その優れたパッケージングと走りの資質に尽きる。
SV650は、トラスフレームを採用することでスポーティーさを強調しつつ、スリムなスタイリングを実現したネイキッドモデルだった。エンジンは適度に元気がありながらもとても扱いやすく、ハンドリングは「バイクらしい」ニュートラルでコントローラブルな特性を持つ。
その乗りやすさと高いコストパフォーマンスも相まって、SV650は大型バイクのエントリーモデルとして、多くのライダーにその門戸を開いてくれたモデルたりえたのだ。登場から四半世紀が経っても色褪せないデザインもまた魅力といえた。
【2025 SUZUKI SV650 ABS[2025 model]】◼︎水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 645cc 72ps/8500rpm 6.4kg-m/6800rpm ◼︎199kg シート高785mm 14L ◼︎タイヤF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●色:パールビガーブルー×マットブラックメタリックNo.2/パールマットシャドーグリーン×マットブラックメタリックNo.2/マットブラックメタリックNo.2 ●価格:83万6000円 ●発売日:2025年1月24日 ※写真色はパールマットシャドーグリーン×マットブラックメタリックNo.2
一方、カフェレーサースタイルの『SV650X』は、そのルックスと走りのバランスで、とくにこだわり派のライダーをドハマりさせてきた。2018年にネオクラシック熱の高まる欧州で登場したSV650Xは、オールドな社名エンブレムやタックロールシートといった独自の雰囲気を纏い、ベースのSV650同様に元気があり扱いやすいエンジン特性を継承していた。
【SUZUKI SV650X ABS[2025 model]】◼︎水冷4ストV型2気筒DOHC4バルブ 645cc 72ps/8500rpm 6.4kg-m/6800rpm ◼︎199kg シート高790mm 14L ◼︎タイヤF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ●色:パールテックホワイト ●価格:88万円 ●発売日:2025年1月24日
しかしそんな名機たちも、残念ながら現在ではすでに新規受注は締め切られてしまった。今や新車で手に入れるには、市場に残された在庫を探すしか道はないのだ。
EICMAで登場したミドルVツインの後継機
しかし国内でも希少なミドルVツインの血脈は、決して失われたわけではない。先ごろ開催されたEICMA2025で新型クロスオーバーモデル『SV-7GX』として見事に次世代に生き残ることが明かされたのだ。
【SUZUKI SV-7GX[2026 EU model]】主要諸元■全長2160 全幅910 全高1295 軸距1445 最低地上高135 シート高795(各mm) 車重211kg(装備)■水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 645cc 73ps/8500rpm 6.53kg-m/6800rpm 変速機6段 燃料タンク容量17.4L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=160/60ZR17 ※諸元は欧州仕様
新型SV-7GXでVツイン645ccエンジンを受け継ぎつつも、電子制御スロットルを軸とした最新電子制御デバイスを装備して進化。開発コンセプトは「With every beat, the experience expands(鼓動のひとつひとつで、体験はひろがっていく)」であり、Vツインの鼓動感が強調されているという。
さらにGSX-S1000GXに続く前後17インチホイールを採用したクロスオーバーモデルとなっており、SV650のスポーツ性とVストローム650の汎用性を「いいとこ取り」したパッケージだ。
SV650のスチール製トレリスフレームをベースに改良を加え、ハンドル位置が高く、リラックスしたアップライトなライディングポジション(シート高795mm)を実現しており、長距離ツーリングの快適性と街乗りの扱いやすさを両立させていることもポイントだ。
SV650/XならびにVストローム650は引退したが、その熱いVツインの鼓動は、最新の電子制御を身にまとったSV-7GXとして、これからも多くのライダーを楽しませてくれるに違いない。長きにわたりミドルクラスを支えた名車たちに感謝を。そして、Vツインの未来に大いに期待だ!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード | スズキ [SUZUKI])
10/1発売:カワサキ「Ninja ZX-25R SE/RR」 250ccクラスで孤高の存在感を放つ4気筒モデル、「Ninja ZX-25R」の2026年モデルが早くも登場する。今回のモデルチェンジで[…]
400ccのDR-Zが帰ってきた! モトクロス競技の主導権を4ストロークが握り始めて間もない2000年、公道市販車として産声を上げたのは水冷398cc単気筒を搭載するハイスペックなデュアルパーパスモデ[…]
9/10発売:スズキ アドレス125 まずはスズキから、原付二種スクーターの定番「アドレス125」がフルモデルチェンジして登場だ。フレームを新設計して剛性を高めつつ軽量化を実現し、エンジンもカムシャフ[…]
日本でも正式発表が待たれる400ccオフロード/スーパーモト スズキは、昨秋のEICMA(ミラノショー)にて、新型400ccデュアルパーパスモデル「DR-Z4S」およびスーパーモトモデル「DR-Z4S[…]
正式発表が待たれる400ccオフロード/スーパーモト スズキは、昨秋のEICMA(ミラノショー)にて、新型400ccデュアルパーパスモデル「DR-Z4S」およびスーパーモトモデル「DR-Z4SM」を発[…]
最新の関連記事(新型ネイキッド | スズキ [SUZUKI])
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
11/1発売:カワサキ W800 カワサキが50年以上にわたり培ってきた「W」ブランドの最新進化系「W800」の2026年モデルが11月1日に発売される。この国産クラシック系の旗艦モデルは、美しいベベ[…]
11/1発売:カワサキ Z250 カワサキ「Z250」はニンジャ250と骨格を共有するこの軽二輪スーパーネイキッドは、アグレッシブな「Sugomi」デザインを継承。軽さと力強さを併せ持つ本格的スーパー[…]
ブラックは継続し、北米発表済みのレッドとブルーを新設定 スズキが「GSX-S1000」のニューカラーを発表した。昨年にはメーター変更のマイナーチェンジを受け、それまでの反転表示LCDから5インチカラー[…]
前年モデルでTFTディスプレイを獲得した無印 北米スズキは、2005年型GSX-R1000(通称K5)由来の痛快な並列4気筒エンジンを搭載するスポーツネイキッド「GSX-S1000」およびスポーツツア[…]
人気記事ランキング(全体)
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
主流のワンウェイタイプ作業失敗時の課題 結束バンドには、繰り返し使える「リピートタイ」も存在するが、市場では一度締め込むと外すことができない「ワンウェイ(使い捨て)」タイプが主流だ。ワンウェイタイプは[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
400で初のV4でもホンダ・ファンは躊躇なく殺到! 1982年12月にリリースされたVF400Fは、このクラスでは12,500rpmの未経験な超高回転域と0-400mを13.1secという俊足ぶりもさ[…]
最新の投稿記事(全体)
低中回転域とリヤブレーキがスムーズな走りにつながる 新生BSAのゴールドスターは、ビッグシングルエンジンを搭載した新型ネオクラシックモデル。レースではこれまで単気筒エンジンばかり操縦してきたので、そも[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
ひっそりと終了したスズキの名Vツイン スズキのミドルクラスを長きにわたり支えてきた傑作ネイキッド、『SV650』およびカフェレーサースタイルの『SV650X』が、ついにその生産の歴史に終止符を打った。[…]
125ユーザーにもナナハンキラーRZ250の醍醐味を届けたい! 1980年にデビューしたRZ250は、世界チャンピオンを狙える市販レーサーTZ250の水冷メカニズムからモノクロス・サスペンションまで、[…]
ライディング後の“湿気/臭い”を手軽にケア バイクの走行後、ヘルメット内に残る汗や湿気、そして“帰宅後もほんのり気になる臭い”──そうした日常的な悩みに着目したのが、デイトナの「RE:MET(リメット[…]
- 1
- 2



![SUZUKI SV-7GX[2026 EU model]|【悲報&朗報】スズキ『SV650/X』が生産終了! それでもミドルVツインの系譜は続く【SV-7GX】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2025/11/SV-7GX_2026_BQJ_BLU-ZANTE_diagonal-768x512.jpg?v=1762250541)

































