
全日本ロードレース選手権J-GP3クラスで活躍する岡崎静夏さん。2025年は自己最高のシリーズランキング3位を獲得した。そんな彼女に、レーシングライダーになるにはどうすればよいのか聞いてみた。プロの定義やその難しさについても持論を話してくれたぞ。
●文:宮田健一(ヤングマシン編集部)
まずはレーシングスクールから!
そもそもプロレーサーって、レースだけで収入の全てを賄っている人というのが一般的なイメージなんでしょうけど、残念ながらそういった人は全日本でもほんの一握り。では、プロレーサーって何でしょう?
それは金銭面はもちろん、パーツ1つでもカンパではなくちゃんとスポンサーと契約を交わしてその期待に応える責任が発生したときにプロになったのだと思います。
単に好きだからだけでは許されず、常に自分の価値を高めていく必要があります。その最たるものはレースでの成績ですが、最近ではスポンサーの宣伝に貢献するためSNSをはじめとする発信力も重要視されてきた感じです。
さて、プロを目指すにはいろんな道筋があって、まだ子供なら私のようにポケバイ・ミニバイク・MFJのロードレースアカデミーといったようにステップアップしていくのが王道パターン。
既に大人になっているなら、MFJのフレッシュマンライセンスで地方戦から始めるのが一般的でしょうか。フレッシュマンから次の国内ライセンスへは公認サーキットで3時間走行すればいいだけなので割と簡単です。
でも、そこから先の国際ライセンスはきちんとレースで成績を残していく必要があり、ここからが本番。クラスも限定されていて、ST1000、ST600、J-GP3、JP250のいずれかでないと国際には上がれないので注意してください。
実は地方戦の600が国際に上がりやすい穴場と言われているんですが、いざ国際に昇格して全日本に出てみるとあまりのレベルの高さについていけないという話もよく聞くので、結局は実力がないとダメですね。
私としては、まず何より一番最初にサーキットで開催しているレーシングスクールで学ぶことをお勧めします。プロライダーの講師に基礎から学べ、正しい走り方を身につけられるので、得るものがとても大きいと思いますよ。
ミニバイクも普段の練習に効果あり!
普段の練習も欠かせない!
プロになるには普段からの練習も欠かせません。参戦用マシンでの練習以外に私は今でもミニバイクを使った8の字練習をよく行っています。
ミニと言えどフルブレーキ&ヒジスリ鬼バンクでの8の字は極限時に起きる挙動やとっさの対処法を身につけるのにいいんですよ。
フィジカルトレーニングも大事です。「バイクを操るのに力は必要ない」と言う人もいますが、これを間に受けちゃいけません。
言ってる本人はしっかり身体が出来上がっているので気付いてないだけなんです。体幹を中心にトレーニングをがっちり採り入れたら見る見る成績につながった私が言うので間違いありません!
トラブル時の原因を迅速に見極められるよう、メカ知識も基本メンテが行えるくらいは欲しいかな。これはレーシングチームやバイクショップに所属して学ぶといいでしょう。レースと街乗りではイジる内容が異なってくるので、ショップの場合はレースに詳しいところにしてくださいね。
いずれにせよ、プロを目指すなら「今できることはすべてやる」ということを念頭にしておいてください。「必要になったからやる」ではダメです。
それに時間もお金も有限。フリー走行を使い独学で腕を磨く方が1回の金銭面では助かるかもしれないけれど、レーシングスクールで同じ時間と同じお金をかけた場合、何倍も効果は違うと思うんです。常に最短で最大限の効果につながる道筋を探すようにしましょう。
あと最後に、私は家族の協力がなかったらプロレーサーになれなかったと思います。友達も含めてもし協力してくれる味方がいるなら、ぜひ大切にしてくださいね。
常に全力投球、時間は有限です!
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(岡崎静夏[ヤングマシン])
電子制御CVTがもたらすワンランク上の加速性能 ヤマハ軽二輪スクーターのNMAX155は、ʼ25年型で大幅進化。パワーユニットの熟成、リヤのストローク5mm延長を含む前後サスペンションのセッティング最[…]
トータルバランスに優れた走れるオールラウンダー ライダーの年齢やスキルを問わず多様な道でライディングを楽しめる「新時代のスズキスポーツバイク」として、ʼ24年型でデビューしたのがGSX-8R。遅ればせ[…]
幅広いライダーを満足させる扱いやすさと優れた旋回性 日本では2025年4月に発売となった’25年型のヤマハYZF-R25は、デザイン刷新と機能充実化を中心とした変更を受けています。 外観上の大きな特徴[…]
フロントまわりの軽さも操縦しやすさに大きく貢献 猛暑が続いていても、やっぱりバイクに乗りたい…というわけで、今月はCB750 HORNETでプチツーリングしてきました! このバイクは、アドベンチャー系[…]
地面を感じる直進安定性で日常の移動を安心快適に 決勝レース1で自己最高となる2位を獲得した第3戦を終え、全日本ロードレース選手権は8月下旬まで約2ヵ月間の夏休み。その間もいろいろと忙しいのですが、やっ[…]
最新の関連記事(ヤングマシン電子版)
新CB伝説が始まった!:CB1000F鉄馬レーサー #24 やったぜ! CB1000F コンセプトのレースデビューウィン! 私が参戦したのはアイアンスポーツクラス。空冷・水冷・油冷を問わない排気量60[…]
ヤングマシン電子版2026年1月号[Vol.638] 【特集】◆電動セロー!?で旅に出よう 漫画/アニメ『終末ツーリング』 ◆岡崎静夏のいつもバイクで! Honda CUV e:◆Honda CB10[…]
スペンサーの世界GPでの大活躍がAMAレースの注目度を高めた 旧くからのバイクファンなら、だれもが“ファスト・フレディ”の愛称を知っているだろう。1983年に世界GP500でチャンピオンに輝き「彗星の[…]
ヤングマシン電子版2025年12月号[Vol.637] 【特集】◆CBでヒーローになれ!・フレディ・スペンサーCB1000F全開走行・“伝説のF” CB750Fデイトナレーサー・GP500&2[…]
アメリカで僕もCB1000Fが欲しいなと思っている ──CB1000Fの印象から教えてもらえますか? 前日はHSR九州のサーキットをかなり本気で走行しましたが、その感想も含めてお願いします。 フレディ[…]
人気記事ランキング(全体)
主流のワンウェイタイプ作業失敗時の課題 結束バンドには、繰り返し使える「リピートタイ」も存在するが、市場では一度締め込むと外すことができない「ワンウェイ(使い捨て)」タイプが主流だ。ワンウェイタイプは[…]
ヤマハの社内2stファンが復活させたかったあの熱きキレの鋭さ! 「ナイフのにおい」R1-Z の広告キャッチは、ヤマハでは例のない危うさを漂わせていた。 しかし、このキャッチこそR1-Zの発想というかコ[…]
伝統の「火の玉/玉虫」系統 Z900RSのアイコンとも言える、Z1/Z2(900 SUPER 4 / 750RS)をオマージュしたキャンディ系カラーリングの系統だ。 キャンディトーンブラウン×キャン[…]
高機能なウィンタージャケットを手に! 今だけ34%OFF コミネの「JK-603」は、どんなバイクにも合わせやすいシンプルなデザインのショート丈ウィンタージャケットである。 見た目の汎用性の高さに加え[…]
電子制御CVTがもたらすワンランク上の加速性能 ヤマハ軽二輪スクーターのNMAX155は、ʼ25年型で大幅進化。パワーユニットの熟成、リヤのストローク5mm延長を含む前後サスペンションのセッティング最[…]
最新の投稿記事(全体)
1948年創業、1958年にスーパーカブが誕生し、その後は誰もが知る世界一のメーカーに 2023年に創業75周年を迎えた本田技研工業は、1949年にフレームからすべて自社製の本格的なオートバイ、ドリー[…]
元々はブレーキ液の飛散を防ぐため フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシ[…]
まずはレーシングスクールから! そもそもプロレーサーって、レースだけで収入の全てを賄っている人というのが一般的なイメージなんでしょうけど、残念ながらそういった人は全日本でもほんの一握り。では、プロレー[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
コンパクトな新エンジンの効用をより強く感じられる新作ストリートファイター ストリートファイターV2シリーズのハイライトは、やはり新設計のV2エンジンにある。旧型比-9.4kgのシェイプアップを行うと共[…]
- 1
- 2








































