
初心者ともなると、自分が求めているパーツや取り付け部分の名称に「?」がつきがち。バイク屋さんにオーダーするにしても、最低限の知識はないと自分の要望を正確に伝えるのは難しいものだ。そこでこの記事では、バイクビギナーと同じ目線を持つ筆者がハンドル周りの基本用語をベテラン編集者から聞く形で、わかりやすくお伝えする。
●文: 名城政也(ヤングマシン編集部)
ハンドルまわりだけでも用語はたくさん
「いつかは旧車に乗り、自分専用のカスタムをしたい」と、憧れを抱いている筆者。その夢を叶えるためには、ひとつの大きなハードルがあったりする。そもそも、各部の名称や役割についてよくわかっていないのだ。そこで調べてみたものの、パーツごとに細かく分けていくと、かなりの数あってわけワカメ。
さすがに全部を自分だけで理解するのは、初心者どころか免許もない自分には困難…。でも、今の浅い知識のままでは、「いつまで経っても成長しないじゃないか!」と一念発起して、まずは基本のハンドルまわりに絞って理解することに。各部の名称や役割について、先輩編集者に聞きつつ、まとめてみた。
バイクのハンドルまわりパーツ用語集
ハンドル:ライディングポジションとスタイルを決める
「ハンドル」は、ライディングポジション(バイクの乗車姿勢)を快適にするための重要パーツ。ハンドルの位置や高さによって、「ハンドル操作のしやすさ/体への風の当たりやすさ」など、バイクの操作性やライダーの快適性に、大きく左右するのだ。
ハンドルと一重にいってもさまざまな種類があるものの、大別すると下記の2つに絞れたりする。
- セパレートハンドル(セパハン)…左右が分離した形状のハンドル
- バーハンドル(バーハン)…1本の棒からできているハンドル
このうちバーハンドルは、さらにいろんな種類に分かれている。代表的なのは下記の5つだ。
- コンチネンタルハンドル…ネイキッドなどの純正ハンドルに多く採用されている、スタンダードな形状。ステップが比較的後ろにある場合でも、フィットさせやすい。
- コンドルハンドル…一体型ながら、セパレートハンドルを模した形状。前傾姿勢がしっくりくる人におすすめ。
- スワローハンドル…コンドル同様、セパレートハンドルを模しているが、よりなだらかな形状。セパハンほどじゃないけどハンドル位置を低くしたい…というような場合におすすめ。
- アップハンドル…コンチネンタルをゆるやかに上方に曲げ、ハンドルを握る位置を高くした形状。背筋が伸びて負担が減るので、長距離ライダーにおすすめ。
- ストレートハンドル…曲がりのない真っすぐな形状。軽量で操作しやすい。
「ライディングポジションと見た目を両立させるとなると、ハンドルをどう変えるかはけっこう悩ましかったりする」とは、先輩編集者の談。それだけ、純正のポジションはよく考えられているんだね。
ミラー:視認性とフロントの見た目を左右する
その名の通り、後方確認するための鏡のこと。メーカー純正でも、さまざまな形状があるけれど、プラスチック製なことが多い。いずれにしても純正だけあって、振動によるブレもおさえられているし、広角で、視認性がしっかり確保されているという点は共通している。カスタムする際は、下記のような選択肢がある。
- クラシックミラー…クロームメッキが施されており、高級感がウリ。クラシカルなバイクでは純正採用されていることも。丸形やラウンド(ひし形)形など、いくつかバリエーションがある
- ビレットミラー…アルミ削り出しで素材感が良く、カスタム感を出しやすい。形状もさまざま。値段が高めなのが、玉に瑕
- カウル一体型ミラー…スーパースポーツ等では純正採用されている。カウルありきの設計なので、車種別で用意されていることがほとんど
- トライアルミラー…ハンドル端に、ジョイントで取り付けられるミラー。転倒しても、力がかかって折れることがないため、オフロードバイクに向いている
- バーエンドミラー…トライアルミラー同様にハンドル端に取り付けるが、あちらよりもミラーの根本からの位置が長め。クラシカルさとスポーティさを演出できる
ミラーが変わるだけでもバイク全体の印象が変わるため、こだわりたいライダーにとってはミラーひとつも重要なパーツなのだ。
グリップ:求める操作性に応じて選びたい
「ハンドル」と呼ばれるケースも多いが、正確にいえば、ハンドルはグリップも含めた操舵用のバー全体のこと。一方で、グリップは、あくまで握るゴム部分を示している。なお、右側のグリップはスロットル(エンジンの出力を制御する装置)と直結しているため、「スロットルグリップ」と呼ばれたりする。
また、車体の振動や衝撃を吸収する役割も担っている。なので、操作性を重視したい場合には、薄く硬めのグリップを、反対に乗り心地を重視したい場合には、厚く柔らかい衝撃性の高いグリップを選ぼう。
このグリップも、大きく分けると、「貫通型」と「非貫通型」の2種類に分けることができる。これはハンドルの端についている突起、バーエンド(グリップエンド)の有無でだいたい判別がつく。カスタムを楽しみたいなら貫通型がおすすめ。バーエンドの変更が容易なので、ちょっとしたおしゃれが楽しめるのだ。
ブレーキレバー:握りやすさや操作性も重要ポイント
前輪のブレーキを操作する、バイクのハンドル右側についているレバー。後輪のブレーキをかける際は、右ステップ近くのフットブレーキで操作する。もっとも、電動バイクやスクーターといったAT限定で乗れるバイクの場合は、後輪ブレーキは左ハンドルで操作するので、要注意!
ブレーキレバーのカスタムは、デザイン性だけでなく、操作性も重視しておきたいところ。そこでブレーキ操作をする際の指の置き方が、ひとつの物差しになる。もし2本指でレバー操作をしているなら、短めの「ショートレバー」を選ぼう。一方で、3~4本指で操作しているのであれば、純正採用されている「ロングレバー」のままの方が良い。
ちなみに、ブレーキレバーを固定している根本の部分のことを、ブレーキマスターシリンダーと呼んだりする。レバーを握る力を制動力に変換している、とっても重要な装置。こちらも、純正部品でいくつか種類がある上に、アフターパーツメーカーがいろいろ出していたりするので、カスタム沼にハマるとなかなか悩ましいとか。
クラッチレバー:クラッチの繋げやすさや操作性を左右する
ギア付きバイクのハンドル左側についている。ギアチェンジの際に、エンジンの力を車輪に伝えたり、切り離したりするためのレバー。
なお、クラッチにはワイヤー式と油圧式の2通りある。
- ワイヤー式…ワイヤーがクラッチレリーズレバーと呼ばれる部分を引っ張り、テコの原理でスプリングを押し縮めてクラッチが切れる
- 油圧式…油圧ピストンがクラッチスプリングを押し縮めてクラッチが切れる
一般的に、油圧式のほうがクラッチを操作する力は少なくて済む。ちなみに、クラッチレバーを固定している部分は、ワイヤー式の場合はクラッチホルダー、油圧式の場合はクラッチマスターシリンダーというので、覚えておきたい。
基本的には、レバーのみを変更するカスタムが主流。だけれど、クラッチホルダーもしくはクラッチマスターシリンダーを変えることで、クラッチレバーの引きやすさや操作性を変えたりもできる。カスタム中級者以上は、変更を検討するパーツのひとつ。
メーター:”数字”が見えることも、見た目も大事
速度/距離/エンジンの回転数/燃料量/電圧/温度など、さまざまな情報を示す役割をもっている。おもに下記のような計器が内蔵されている。
- スピードメーター…バイクの速度を示す
- タコメーター…エンジンの回転数を示す
- オドメーター…バイク製造日からの総走行距離を示す
- トップメーター…任意の時点からの走行距離を示す(リセット可能)
またメーターは、大きく分けると、アナログタイプとデジタルタイプの2つがある。アナログメーターは、メーター針で速度や回転数が表示されるため、天候によらず視認性が良いというのがメリット。でも内部の機構が複雑なことも多いため、衝撃に弱かったりする。クラシカルな見た目で旧車が多く採用しているというのも、ポイント。
一方のデジタルタイプは、速度を正確に測れるという利点がある。でも逆光時や、発光が弱くなると見にくくなりがちというデメリットも。見た目は、ちょっと先進的で、近年のモデルであればほとんどがこちらを採用している。
つまり、メーターは車両本来の雰囲気に合ったものが純正で採用されているというのが実情。交換は車種別のキットでも出ていない限り、けっこう難しいので、どうしても雰囲気を変えたいとき以外は、手を出さないほうが吉だぞ。
スイッチボックス:シンプルなカスタムが多いが…
スイッチボックスとは、バイクのハンドル部分についているスイッチの集合体。「ハンドルスイッチ」とも呼ばれる。現代的な電子制御満載のバイクだと、もっとボタンは多いけれど、マストで覚えておきたいのは、下記の5つぐらい。
おもに右スイッチボックスへ配置
- ライトスイッチ…ヘッドライト・フォグライト・スポットランプなどの電源を操作
- スタータースイッチ…エンジンを始動させる
おもに左スイッチボックスへ配置
- ハイロー切り替えスイッチ…ライトの向きを変更する
- ウインカースイッチ…どちらの方向に曲がるかを知らせるウインカーを点灯させる
- ホーンスイッチ…警告灯を鳴らす
また、キャブレターを採用している旧車ともなると、エンジンの始動性を上げるチョークレバーが、スイッチボックス周辺についていたりする。これも、クラシカルな雰囲気を与えるひとつのパーツかも。
スイッチボックスのカスタムでは、だいたいシンプル化を志すことが多い。そのためか、スリム型の汎用品がアフターパーツメーカーから出ていたりする。中には、汎用品の一般的なトグルスイッチやボタンを加工してつけたりといった創意工夫も見られるので、けっこう奥が深いのだ。
ハンドルまわりだけでも覚えるのは大変だ…
こうしてみると、バイクはハンドルまわりだけでも専門用語がありすぎて、これだけでも覚えるのは大変かも。でも、実際にパーツを選ぶときやバイク屋に相談するときに、恥をかかないため、スムーズにカスタムするために、必要な知識だと思う。バイク屋さんにうまく要望を伝えられない自分が容易に想像できる…。カスタムしながら、ひとつずつ覚えていくのがやっぱり一番の近道かなぁ。
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