
歴史を紡いだ名車の数々。でも、古すぎたり年式が多かったりして、仕様の違いや特徴がよく分からないなんてことも。それをなるべく簡単に判別できる方法を紹介していく。1974年に初登場したホンダCB400フォアは、初代とそれ以降でなにが違うのか?
●文:ヤングマシン編集部(ミヤケン) ●写真:YM Archives
実は大型二輪の408cc! 初代はコンチハンのみで37馬力
ご存じ初代モデルは全車408ccのために発売翌年に導入された中型免許では乗車不可。そのため’90年代前半頃まで中古市場で398cc版の方が人気ということも多かった。パワースペックでは1ps&0.1kg-mしか差はなかったし、何より限定解除が難しかったのだ。
【HONDA DREAM CB400FOUR 1974】●当時新車価格:32万7000円 ●色:赤、青
純正に集合マフラーはまだ目新しかったスタイル
当時、集合マフラーはスポーティな要素として大きなセールスポイントとなったひとつ。直4を自己主張するエキパイ取り回しは今見ても「カッチョええ〜」と溜息が出る。
キーワードは“風”でした!
当時のヨンフォアの注目ポイントはコレだ!
- コンチ風ハンドルがついている
- 集合マフラーがついている
- ステップが後退したこと
集合マフラーのほかにもビビッドな原色ソリッドのタンク塗装や、リンク式チェンジペダルを持ちバックぎみのステップが、約40年前の当時としては目新しかった。ひと言で言うと、他車と比べて垢抜けていた。
実は原色ソリッドは斬新だった。
編集部に残されていた当時のイラスト付きメモ(?)。
見た目がおじさんっぽかったCB350FOURが、外装換装でヨンフォアに化ける!?
ヨンフォアには前身となるドリームCB350FOUR(1972年発売)があった。しかし、スタイルも乗り味も地味〜な感じで当時の人気はさっぱり……。しかし、フレームはほぼ共通なので、この車両にヨンフォアの外装を載せ変えた通称“バケヨン”ができると知れるとマニアたちに重宝された。
これが398ccだ! [HONDA DREAM CB400FOUR-I&II]
’75年に改正された免許制度に合わせた398cc版は国内仕様のみで、36ps&3.1kg-mへわずかにパワーダウン。セミフラットハンドル(コンチハン)のIとアップハンのIIの2タイプが併売された。アップハンモデルのIIは国内では398ccのみ。現代のCB1100などで2タイプのハンドル仕様が設定されるのは、もうこの頃から行われてきた由緒あるホンダ伝統のひとつと言える……かもしれない。
【HONDA DREAM CB400FOUR-I 1976】ぱっと見で分かるのはホーンの取り付け向きの変更のほか、サイドカバーの色。408ccはタンク同色だが、398ccではブラックに変更。当時リリースによるとこれで“精悍さを増しました”だそう。
【HONDA DREAM CB400FOUR-II 1976】コンチハンのIは、低く構えたスポーティなライディングフォームを楽しめるのに対し、IIは上半身がスっと伸びた王道スタイルでツーリングがラクなのだ。
マニアなら分かる?“豆知識”
398にはさらにIとIIともに前期・後期版がある。具体的にはフレーム番号1005481以前とそれ以降で分かれ、後期版はトップブリッジのステム取り付け穴が若干厚みを増し、それに伴いステムシャフトも延長されている。
初代と比べて判別するポイントは“タンデムステップ”
国内408ccと398ccではタンデムステップの取り付け方法が違う。398ccは写真右のように一般的なフレームマウントなのに対し、左の国内408ccはスイングアーム上にマウント。ただ輸出用408ccには398ccと同じものもある。
4気筒は高価だが特別感満載だった
当時のヤングマシン本誌によると、ライバルは単気筒のドゥカティ450デスモ、4ストパラツインの400RS、2ストパラ3の400SS。直4のヨンフォアはやっぱり貴重な存在だったのだ。
398ccバージョンは生産わずか1年
“ヨンフォア”の通称で知られるホンダのドリームCB400FOUR。そもそも何故このバイクが伝説化したかと言うと、当時の400クラスに直4が他に無かったうえに’75年の 免許制度改正による中型限定の導入が追い討ちをかけた。当時のナウでヤングなライダーたちの多くが直4に乗るには398cc版のヨンフォアしかなくなってしまった。しかも決定的だったのは、ホンダ自体がコスト高を抑えきれずに398cc版をわずか1年で生産終了し、2気筒のホークIIに移行してしまったのだ。
さて、国内仕様と輸出仕様がある408cc版と国内のみしかない398cc版の見分け方は前述のとおりだが、車体番号が「CB400F-」&エンジン番号「CB400FE-」のものが408cc、車体番号「CB400-」&エンジン番号「CB400E-」のものが398ccとなっている。レストアでパーツがスワップされた個体も多いので、注意深く見ていくと新発見があるかもしれないぞ。
今も人気の懐かしい逸品
「当時モノ」のカスタムパーツが付いた車両のプレミアム性はさらに倍増。ちなみに高くて買えない場合、ハヤシのキャストホイールは復刻版が、ヨシムラは機械曲げではあるもののサイクロンマフラーが現在も新品で購入可能だったりするのだ。
ハヤシレーシングのホイールは復刻盤も発売された。
サイクロンマフラーも機械曲げが新品で購入可能!(2016年当時)
あの頃の中型 青春名車録「元祖中型限定」(昭和51年) CB400FOUR(CB400フォア)は、CB350フォアをベースとしたリニューアルバージョンとして’74年12月(昭和49年)に発売。クラス唯[…]
※当記事はヤングマシン2016年8月号より再編集のうえ掲載したものです。 ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA] | 名車/旧車/絶版車)
RVF400参戦でV4パフォーマンスに優れたハンドリングと闘えるトラクションが加味され最強に! ホンダのV型4気筒戦略がスタートしたのは1982年。 VF750系に続いてVF400系も加わり、当初は高[…]
メーカーメイドのカフェレーサー ’74年末から発売が始まったCB400フォア、通称ヨンフォアは、’60~’70年代に世界中でブームとなった、カフェレーサーを抜きにして語れないモデルである。カフェレーサ[…]
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
「ワインディングの覇者を目指すならCB-1」のキャッチコピーだったら評価は変わった!? カウルを装着したレーサーレプリカが出現する以前、1970年代までのスーパースポーツはカウルのないフォルムが一般的[…]
空冷四発の最終形態……CB-F最後の1年を飾る1100F[1983年] 多くのライダーが憧れる究極のフラッグシップであるCB1100Rの技術をフィードバックした、CB-Fシリーズの最終形態。 エンジン[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車 | 試乗インプレッション/テスト)
ヤマハNMAX155試乗レビュー この記事では、ヤマハの原付二種スクーターから、NMAX ABS(125)の2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年7月公開時の内容に基づく 【NMAX[…]
ホンダPCX/160(2020/2021)比較試乗レビュー この記事では、ユーロ5に対応するため全面的に刷新し、第4世代となった2021年モデルと前年にあたる2020年モデルについて比較して紹介するぞ[…]
ホンダ CB400スーパーフォア(2018) 試乗レビュー この記事では、平成28年度排出ガス規制に法規対応するなどモデルチェンジを実施した2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年6月[…]
当時を思わせながらも高次元のチューニング ◆TESTER/丸山 浩:ご存知ヤングマシンのメインテスター。ヨシムラの技術力がフルに注がれた空冷4発の完成度にホレボレ。「この味、若い子にも経験してほしい![…]
青春名車録「元祖中型限定」(昭和51年) CB400FOUR(CB400フォア)は、CB350フォアをベースとしたリニューアルバージョンとして1974年12月(昭和49年)に発売。クラス唯一のSOHC[…]
人気記事ランキング(全体)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
最新の投稿記事(全体)
2026年以降のFIM安全基準に合致したレーシング仕様フルフェイスヘルメット このたびRX-7Xに追加される『RX-7X FIMレーシング#2』は、2020年よりFIMカテゴリーのレースにおいて義務化[…]
RVF400参戦でV4パフォーマンスに優れたハンドリングと闘えるトラクションが加味され最強に! ホンダのV型4気筒戦略がスタートしたのは1982年。 VF750系に続いてVF400系も加わり、当初は高[…]
初心者からベテランまで、老若男女だれもが一日中楽しめる オフロードバイクさえあれば、初心者だろうとベテランだろうと、老若男女だれもが一日中楽しめるフリーライドイベントとして企画されたのがエンジョイライ[…]
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
「走る」を変える次世代の相棒 一般的なガソリンバイクが燃料を燃焼させてエンジンを駆動するのに対し、電動バイクはバッテリーに充電した電気でモーターを回して走行する。そのため、排気ガスを一切排出しない、環[…]
- 1
- 2