
レースで活躍するカワサキの技術を市販車にフィードバックすべく誕生したZ-GPシリーズ。Z1000J(1981年)のエンジンをボアアップ、角形ライトを装備し同81年にZ1100GPとしてデビュー。翌年にはビキニカウルとFIを搭載するB2も登場した。その開発経緯とは? ※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
GP技術をフィードバック【カワサキZ1100GP】
当時はH1、H2RやZのレースでの実績に加えて、カワサキは世界GP250ccクラスの1978〜1981年連続チャンピオンを獲得。
こうしたレースで活躍するカワサキの技術力を市販車にもフィードバックするという意味からGPシリーズが生み出された。
H1以来、世界最高、最強マシンを開発するというカワサキイズムは、1980年代を迎えてメカトロニクスと称されるコンピュータを搭載したZ1100GPを生む。
ただし、技術革新に傾倒しすぎず、吸入ポートを手加工するなど、人間の感覚も大切にしていた。
GPの名称をZに融合し、超軽量+超スピード+超スムーズさを同時に満たそうと総力を結集したマシンがZ-GPシリーズだ。
排気量は550と1100の2種類で、550はビキニカウルを装着。1100はメーターパネルがカウルの役目を兼ねた。鮮やかなファイヤークラッカーレッドとブラッキーテールなど、“赤と黒”のコントラストが強烈。ここにも世界最速の意志が込められている。
1983年にはGPz1100にバトンを引き継ぎ、空冷Zの歴史はフィナーレを迎えるのである。
【1981 KAWASAKI Z1100GP[Z1100-B1]】■空冷4スト並列4気筒 DOHC2バルブ 1089cc 108ps/8500rpm 9.8kg-m/7000rpm ■237.5kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.25-18 ※輸出モデル
速度計は240km/hスケールだが、北米仕様は規制上80マイルまでの表示。8500rpmがレッドゾーンの回転計や燃料計、電圧計を組み合わせるハンドル部分には独立した積算距離計を配置。
カワサキZ1100GPの系譜
【1982 KAWASAKI Z1100GP[Z1100-B2]】
B2ではビキニカウルが加わり、赤いキャストホイールに赤いリヤショックスプリングを合わせてカラフルに。吸入方式はデジタルフューエルインジェクション採用で最高出力を1psアップ、最大トルクは0.1kg-m減った。カウルに合わせた新型メーターはインジケーターに液晶を採用。回転計は電圧表示(スイッチで切替)を兼ねるなど、実用的アイデアが盛り込まれている。
カワサキZ1100GPの兄弟モデル
【1982 KAWASAKI Z750GP】
国内仕様初の燃料噴射を備えたモデル。外装やヘッドライトは角型基調として輸出向け上位モデルと印象を共通化。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
スズキGSX-R250:過激さ控えめ“アールニーゴー” 1983年のGS250FWでクラス初の水冷DOHC4気筒を開発したスズキ。 しかし、4バルブエンジンの投入は遅れを取り、1987年のGSX-R2[…]
スズキGSX-R400R:ダブルクレードルにフルモデルチェンジ GSX-Rは、1990年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。 フ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
小排気量にフレームからリヤフェンダーが別体化してスーパースポーツだけの前後18インチ! 1964年、ホンダは最もポピュラーだった90ccクラスに画期的なバイクをリリースした。 その名もCS90。当時は[…]
サイドバルブ方式を採用した”フラットヘッド” WシリーズはショベルヘッドやエボといったOHVエンジンよりはるか昔、1937年に3世代目、739ccのサイドバルブ(フラットヘッド)エンジンとして登場。 […]
自主規制と免許の足枷が日本独自の高性能を生み出す GPz900R登場時の1984年も、国内では排気量上限の自主規制が続いていた。そこで国内モデルにGPz750Rを投入。 性能優先でコストをかけてボア×[…]
4気筒エンジン独得のフィーリングを250ccユーザーにも届けたい! 1976年にDOHC2気筒のGS400、DOHC4気筒GS750で4ストローク化に追随したスズキは、1980年に気筒あたり4バルブ化[…]
人気記事ランキング(全体)
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
新設計の502cc・4気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ ホンダは、中国で開催された重慶モーターサイクルショーにて4気筒エンジン搭載の新型モデル「CBR500Rフォア(CBR500R FOUR)[…]
250ccクラスは16歳から取得可能な“普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は全部で7種類ある。原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制[…]
裏地には90周年モデル限定カラー 1935年の創業から、絶えず革ジャンを作り続けてきた株式会社カドヤが、90周年という節目を迎える今秋、ブランドの歴史を象徴しつつ現代のライディングシーンに応える、特別[…]
BOAフィットとfuzeGELで安定&衝撃吸収 「ウィンジョブ CP306 BOA」はダイヤル操作で締め具合を調整するBOAフィットシステムを採用し、甲まわりをムラなくホールドできます。衝撃緩衝材とし[…]
最新の投稿記事(全体)
“水冷”と、その存在感から「ウォーターバッファロー」の愛称も 1971年の東京モーターショーにGT750が出品された当時、観客はラジエーターの大きさや、フィンの見えないシリンダーブロックに目を丸くした[…]
125ccのMTバイクは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)[…]
デカいバイクに挑むロマンがここにはある これまで何度か噂には上っていたが、遂にそのときがやってきてしまった。’92年の初代BIG-1ことCB1000SFから30年以上の長きに渡り、ビッグネイキッドのみ[…]
ヤマハが6年ぶりにファクトリー復帰! ホンダHRCが迎え撃ち、スズキCNチャレンジが挑む! 2025年8月1日~3日に開催された「”コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第46回大会」では、4連[…]
東京ビッグサイトのような会場が熱気に包まれる 日本のお隣であり、スクーターが一大人気を誇ることでも知られる台湾にて例年開催されている「台湾モーターサイクルショー」を取材してきたのでレポートをお届けした[…]
- 1
- 2