
世に出ることなく開発途中で消えて行ってしまったマシンは数あれど、それが表に出てくることは滅多にない。ここではそんな幻の名車を取り上げてみたい。今回はホンダの縦置V型2気筒200㏄車両を紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部
これが後のGL500につながったかは不明
これはいろいろなエンジン型式の可能性を探るために開発された1台で、クランク軸縦置きの200㏄空冷Vツインを搭載したもの。製造コストが高く、商品化できなかったという。ちなみにクランク軸縦置きのVツインエンジンは’78年に発売されたGL500で水冷80度OHV・Vツインとして量産化されている。
ヤングマシン2000年12月号より
このモデルの詳細はこれ以上ないが、1960年代に直列エンジンで一時代を築き、1969年のCB750フォアで当時一度締めくくった感のあるホンダが、水平対向4気筒のGL1000など新たな方向性に取り組んだ中での一環で、当時あらゆるエンジン型式を試していたという話も残されている。後に1977年12月に発売されたウイングGL500は「未来を指向した製品」として紹介されており、ホンダは新しい分野を切り開くことに勢力を費やしていた。クランク軸が縦に配置されたVツインエンジンによりマスが集中するメリットや倒しこみが軽快になるなど、従来のエンジン型式にはない特性が期待できると考えられていた。
【HONDA 車名不明モデル 1974年】当時はまだシャフトドライブの経験がないため、2次駆動はチェーンドライブだ。
高精度のタコメーターと油圧計を備えたフロントまわり。スピードメーターはマイル表示だ。
【ホンダ ベンリイCB125 1972年8月】縦置きVツインエンジンを搭載した開発車両のベース車は、タンクの形などからCB125だと思われる。撮影現場では「横V125?」とパネルで紹介されていたが、125はCBからきた表現となる。
【ホンダ ウイングGL500 1977年12月】水冷縦置きV2を搭載した市販車で、ツーリングとスポーティ走行の2つの性格を併せ持つモデルとして開発された。唯一のネックであるシリンダーヘッドのヒザへの当たりを抑えるためVバンク角を90度ではなく80度に狭め、さらにシリンダーヘッドを22度捩じることで対応している。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事([特集] 幻の名車)
石油危機で消えたポストZ1候補2台目はロータリーエンジン 1970年代初頭、ロータリーエンジンは一般的なレシプロエンジンよりも低振動でよりフラットなトルクカーブとスムーズなパワーデリバリーが実現できる[…]
イタリアンイメージをネーミングやデザインに注入 これらデザインスケッチ等は、1989年8月にウェルカムプラザ青山で実施された「MOVE」展で公開されたもの。これは本田技術研究所 朝霞研究所が企画して実[…]
2ストローク90ccの「CO-29」は、キーレスにポップアップスクリーン採用 1988年に劇場版「AKIRA」が公開された翌年、1989年8月にウェルカムプラザ青山で「MOVE HONDA MOTOR[…]
1984年にツインチューブフレームを採用していた これはホンダウェルカムプラザ青山で1989年8月に開催されたイベント「MOVE」に出品されたプロトタイプのCR-1。モトクロッサー、CR500Rのエン[…]
GLの元となった水平6気筒試作車 CB750フォアの発売後、モーターサイクルキングとは何かを探るために試作された1台。ロータリーエンジンのような滑らかさを求めて水平6気筒としたが、ミッションを後ろにつ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA] | 名車/旧車/絶版車)
シート&タンクが単色化。フレーム色も独自設定 発売は2024年7月25日。主要諸元に変更はなかったものの、カラーリングが変化。2023年モデルよりも、初期のモンキー125に近い、シンプルなカラーリング[…]
ホンダCBR250RR(2021) 試乗レビュー 全方位にスペックアップした2021年モデル 2020年モデルからの変更箇所は多岐に渡る。 ピストン、ピストンリング、コンロッド、バランサーシャフト、バ[…]
2003年モデル概要:MotoGP直系の先進技術を取り入れたSSとして登場 2003年当時、最先端のMotoGPマシンだった「RC211V」で培った先進技術とスタイリングを随所に取り入れ開発された。初[…]
レジャーバイク人気の主役となった初代ダックスホンダ(1969年~) 国産レジャーバイクの元祖と言えば、ホンダが多摩テックで子供向け遊技用に用意したモンキーバイクZ100、それに続く市販車のモンキーZ5[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかって[…]
空冷Zと日産のL型エンジンに特化したパムス カワサキのZ1やZ2など空冷Zのオーナー、あるいはファンの方にとってパムスは有名すぎるほどのファクトリーに違いありません。 レース畑だった私(今井伸一朗)で[…]
2023年モデル概要:400クラス唯一のクルーザーとして登場 カワサキ「エリミネーター/SE」の初公開は、2023年3月17日に開催された大阪モーターサイクルショーでのこと。発売はその約1ヶ月後となる[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
※価格や発売時期は独自の情報に基づく本紙予想です。販売店へのお問い合わせはご遠慮ください。 ターゲットはZ900RS。プライスも真っ向勝負?! 5年前に「CB-Fコンセプト」を目にした時の歓喜は忘れら[…]
最新の投稿記事(全体)
最新ペルチェ素子搭載の冷暖両用ベスト ライダーの体温管理に革命をもたらすかもしれない画期的な新商品が、おたふく手袋が手がけるBODY TOUGHNESSブランドから登場。それが、「BT アビリティ ペ[…]
カワサキW800(2020) 試乗レビュー [○]フロント19インチの味わい。これぞスタンダード ’19年、3年ぶりにカワサキのネオクラシックモデル・W800シリーズがラインナップに復活した。アップハ[…]
バイクは性能だけじゃない。大胆に温故知新を貫いた 1馬力でも高く、0.1秒でも速く…。1980年代後半、そんな熱狂にライダーは身を焦がしていた。レースでの勝利を至上命題にしたレーサーレプリカが世に溢れ[…]
バイクライフを変えるスマートナビ「AIO-6シリーズ」 「AIO-6シリーズ」は、従来のバイク用ナビゲーションシステムが「道案内」や「車載モニター」に限定されていたのに対し、4G通信技術を搭載している[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむホンダのモンキー&ゴリラ シフトアップ製88ccキットを組み込み、ノーマルキャブのままでセッティング変更せずに普通に走ることができた、6ボルト仕様の初期型黄色ゴリ[…]
- 1
- 2