
いよいよ夏休み! ツーリングシーズンにはちょっと暑すぎるが、涼むには標高の高いところに行くのもひとつの手段。ナントカとライダーは高い所に登るのだ、とばかりに目指したくなるのは富士山だが、この時期にバイクで登るとしたらどこまでいけるの?
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:Google
4つの登山口で夏季のマイカー規制がないのは御殿場ルート
その昔、富士山に登るためのルールがあまり整備されていなかったというかグレーゾーンが今よりずっと広かった頃は、頂上までバイクで登っていった猛者もいるとか。雑誌の企画でモンキー(50cc)を最後はかついで登ったなどの伝説も数あるが、じっさいに登るとなるとビッグシングル(600ccなど)を搭載したオフロード車が一番だったという。
かの時代は冒険家が真冬に富士山で直滑降を試みるなど、何かにチャレンジせずにはいられないエネルギーにあふれた人物が多かったようだ。
のっけから余談で申し訳ない。
いずれにしろ、小排気量車は標高が高くなるとパワー不足が激しくなっていき、ちょい古のキャブレター車に乗っているライダーなら激しいパワーダウンを実感することだろう。後半のつづら折れの急坂は、ただ登っていくだけでもけっこうアドベンチャー感があるものだ。
さて、話は現代。バイクで合法的に富士山に登ろうと思ったら、この時期まず立ちはだかるのはマイカー規制である。クルマだけでなくバイクもきっちり対象になっている。詳細は下記のとおり。
富士スバルライン(吉田ルート):7月14日18時~9月10日18時
ふじあざみライン(須走ルート):7月14日正午~8月27日正午/9月 1日正午~9月3日正午/9月8日正午~9月10日正午
県道富士公園太郎坊線(御殿場ルート):なし
富士山スカイライン(富士宮ルート):7月10日9時~9月10日18時
そう、今はマイカー規制の真っただ中。ただし、4つある登山口の中で御殿場ルートのみ規制の対象になっていない。
これには理由があって、御殿場口の新5合目駐車場は標高1450mと他に比べて低く、登山口としては頂上までの距離が最も長いため。そのぶん、他の3つに比べるとアクセス道路は距離が短く傾斜も緩やかなので、新5合目までなら気軽にアクセスできるようになっている。その先は脚に自信がある方向けだ。今の時期にバイクで富士山(の5合目)に登りたいなら、御殿場ルート一択となる。
標高1450mの御殿場口新5合目より。じゅうぶん高い所に来た感はある。(©Google)
御殿場口でも十分に涼しさは感じられ、夏富士の姿が楽しめる。また、夜になれば星景も美しいようだ(バイクの場合は動物の飛び出しの可能性が高くなるため、夜間の走行を避けること)。
その他の3つのルートは、マイカー規制が終わって冬季閉鎖が始まるまでの期間で楽しみたい。辿り着ける標高は低い順に、須走口2000m、吉田口(ここのみ山梨側)2300m、そして富士宮口2400mとなっている。バイクで合法的に一番高いところまで行けるのは富士宮口となり、御殿場口とは950mもの差があるのだ。
標高2400mの富士宮口5合目より。(©Google)
マイカー規制がある時期に行くのなら、各登山口のふもとにある乗り換え駐車場までバイクで行き、有料駐車場に停めて有料シャトルバスまたは有料シャトルタクシーを利用する。または、それぞれふもとの主要駅から登山バス(路線バス)を利用することになる。こちらはツーリングの途中走り抜けるというよりも、ツーリングの目的として設定するアトラクション的な位置づけになるだろうか。
4つの5合目の標高にこれほど差があるのは、所定の道のりを10分割してその半分がたまたまその高さになったからと言われるが、諸説ある模様だ。
暑さを避けて、安全にツーリングを楽しんでね!
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