
原付二種スクーター界、出荷台数ならホンダ PCXの独壇場だが、スズキがアドレス125とアヴェニス125を、ヤマハがジョグ125を投入したことで、’23年は勢力図が大きく変化する可能性大! ホンダ リード125とヤマハ アクシスZを加えた5台でガチンコ対決だ! 原付二種スクーターオーナーの青木タカオが、メーターやスイッチなどそれぞれの機能面を比較して紹介する。
【テスター:青木タカオ】愛車は複数台あるが、原二スクーター所有歴は長く、現在は5年前に新車で購入した先代アドレス125に乗る。新型登場で色めき立っていると情報を掴んだので率直な意見を聞いた。
●文:ヤングマシン編集部(青木タカオ) ●写真:真弓悟史 山内潤也
国産125ccスクーター比較対決:優れる燃費&エコ推奨のギミックに各社が工夫凝らす
バイク選びをする際、走りの性能だけでなく、それと同等以上に機能面を重要視するスクーターは少し特殊ともいえる。各車の細かな装備内容が、愛車選びの決定打になることだってあり得る。
メーカーも重々承知で、ライバルと差をつけるため趣向を凝らしてきているが、昨今の新型やモデルチェンジでよく目にするのがエコライドを推奨するギミック。それほどに燃費への関心が高まっている証拠なのだが、アクセル開度が穏やかな時にインジケーターを点灯させるのが一般的。
しかし、新型アドレス125ではスピードメーターを囲むようにして点灯するエコドライブイルミネーションを搭載。通常運転時はブルーだが、ゆったりと走行している時は燃費の良い運転であることをグリーンの点灯でライダーに知らせる。視覚的に大きなインパクトがあり、安全運転啓蒙にも効果があると感じる。
また、アヴェニスでは停車時にリヤブレーキを掛けた状態を維持できるレバーロックシステムが備わり、これは単純な機構ながら坂道での駐車時などで非常に重宝する。兄弟車のアドレスにはなかったことが残念。
装備は5車の中で唯一30万円オーバーのリードは群を抜く。スマートキーやアイドリングストップ、水冷4バルブエンジンもそうだろう。と同時に、シート下のトランクスペースにヘルメット2つが入るのは特筆モノで、その点ではアクシスZも大健闘だ!
メーター機能〈リード125/アヴェニス125/アドレス125/ジョグ125/アクシスZ〉
‘23 スズキ アドレス125 メーター機能/視認性
【エコ度で色が変わる】シンプルな指針式スピードメーターを中央に配置し、下段に燃料計やオイルチェンジインジケーター、オド/トリップ、電圧/時計を表示可能な小型液晶画面を埋め込み、機能は充分。
【’22 SUZUKI ADDRESS 125】■水冷4スト単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.7ps/6750rpm 1.0kg-m/5500rpm ■車重105kg(装備) シート高770mm 5L ■タイヤサイズF=90/90-12 R=90/100-10 ●価格:27万3900円
‘23 スズキ アヴェニス125 メーター機能/視認性
【スポーティなデジタル!】フル液晶の大型ディスプレイでは、中央に速度をデジタル表示。上段にバーグラフ式の燃料計、時計、オイルチェンジインジケーターを配し、下段ではオド/トリップ、燃費/電圧計を切り換え表示する。
【’23 SUZUKI AVENIS 125】■水冷4スト単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.7ps/6750rpm 1.0kg-m/5500rpm ■車重107kg(装備) シート高780mm 5.2L ■タイヤサイズF=90/90-12 R=90/100-10 ●価格:28万4900円
‘23 ヤマハ ジョグ125 メーター機能/視認性
もっともシンプルなメーターユニットで、アナログ式の速度計を左、右に燃料計をレイアウト。オドメーターがスピードメーター内に埋め込まれ、インジケーターも最小限。
【’22 YAMAHA JOG 125】■水冷4スト単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.3ps/7000rpm 1.0kg-m/5000rpm ■車重95kg(装備) シート高735mm 4L ■タイヤサイズF/R=90/90-10 ●価格:25万5200円
‘23 ヤマハ アクシスZ メーター機能/視認性
指針式のアナログスピードメーターだが、目盛りは140km/hまで刻まれ、アグレッシブさを感じてならない。インジケーターにエコ表示灯を加えている。
【’22 YAMAHA AXIS Z】■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 124cc 8.3ps/7000rpm 1.00kg-m/5000rpm ■車重100kg シート高770mm 5.5L ■タイヤサイズF=100/90-10 R=100/90-10 ●価格:27万1700円
‘23 ホンダ リード125 メーター機能/視認性
丸い大径スピードメーターをセンターに置き、ライダー寄りに埋め込んだ液晶画面で、燃料計、オド/トリップ/時計を切り換え表示。オイル交換時期も教えてくれる。
【’22 HONDA LEAD125】■水冷4スト単気筒SOHC4バルブ 124cc 11ps/8750rpm 1.2kg-m/5250rpm ■車重116kg シート高760mm 6L ■タイヤサイズF=90/90-12 R=100/90-10 ●価格:32万4000円/33万円(マットシルバーメタリック)
左右スイッチ比較〈リード125/アヴェニス125/アドレス125/ジョグ125/アクシスZ〉
‘23 ホンダ リード125 左右スイッチ
‘23 スズキ アドレス125 左右スイッチ
‘23 スズキ アヴェニス125 左右スイッチ
‘23 ヤマハ ジョグ125 左右スイッチ
‘23 ヤマハ アクシスZ 左右スイッチ
メインキー比較〈リード125/アヴェニス125/アドレス125/ジョグ125/アクシスZ〉
‘23 ホンダ リード125 メインキー
リードが差を見せつけたのがスマートキーの採用だ。イグニションON/OFFやハンドルロック、シートと給油口の解錠、ウインカー点滅で自車位置を知らせるアンサーバック、イモビライザーも搭載!!
‘23 スズキ アヴェニス125/アドレス125
キーシリンダーはシートオープンと一体になった集中ロック式。ワンプッシュでシャッターを閉め、鍵穴をガードする新機構を採用した。[写真左:アヴェニス125/右:アドレス125]
‘23 ヤマハ ジョグ125/アクシスZ
両車もシートオープナーの機能をシリンダーが担う。シャッターはボタンを押すと閉じ、ぶつけて曲げたり折れたりしないようキーに蝶番が付く。[写真左:ジョグ125/右:アクシスZ]
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
立て続けに新型車登場。125ccスクーターは激熱だ! ‘23 スズキ アヴェニス125 概要 スズキのニューモデル、アヴェニス125とアドレス125は、エンジンとフレームの基本部分を共有している。そう[…]
ライディングポジション比較:どれも不満のないレベル ライディングポジションについては、ジョグだけが極端にコンパクトであり、日本人男性の平均身長(170.8cm)以上のライダーには窮屈に感じる可能性大だ[…]
【テスター:青木タカオ】愛車は複数台あるが、原二スクーター所有歴は長く、現在は5年前に新車で購入した先代アドレス125に乗る。新型登場で色めき立っていると情報を掴んだので率直な意見を聞いた。 ジョグが[…]
最新の関連記事([特集]国産125cc原付二種スクーター比較試乗)
街限定ではもったいない、意外なほどのツアラー性 10月下旬に鈴鹿サーキットで開催された全日本ロードレース選手権の2024年最終戦で、初めて表彰台に立つことができました。トップ争いが最終ラップに混乱して[…]
【テスター:大屋雄一】最初期型リード50からバイク人生がスタートしたモーターサイクルジャーナリスト。本誌テスター歴は四半世紀を超える。原付二種は国内外メーカーの別を問わず試乗経験豊富だ。 【テスター:[…]
シート下スペース比較〈アヴェニス125/アドレス125/ジョグ125/アクシスZ/リード125〉 ‘23 スズキ アヴェニス125 シート下スペース 5.2Lの燃料タンクを車体後部に配置するため、大柄[…]
【テスター:青木タカオ】愛車は複数台あるが、原二スクーター所有歴は長く、現在は5年前に新車で購入した先代アドレス125に乗る。新型登場で色めき立っていると情報を掴んだので率直な意見を聞いた。 ジョグが[…]
ライディングポジション比較:どれも不満のないレベル ライディングポジションについては、ジョグだけが極端にコンパクトであり、日本人男性の平均身長(170.8cm)以上のライダーには窮屈に感じる可能性大だ[…]
最新の関連記事(新型原付二種 [51〜125cc])
ひと目でEVとわかる先進的なスタイリング こちらが今回発表された「CUV e:」! Hondaはこれまで、EVバイクとしてパーソナル向けに原付一種の「EM1 e:」を市販化していますが、CUV e:は[…]
【本田技研工業 電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業開発統括部 CUV e: LPL(開発責任者) 後藤香織さん】2006年入社。以来一貫して2輪車開発に従事し、おもに車体設計としてEV-[…]
2025年秋以降に登場予定の最新ハイブリッドスクーター レトロポップなスタイリングの原付二種スクーターが、市販予定車として大阪モーターサイクルショーに登場した。その名も「Fazzio(ファツィオ)」は[…]
徳島藍染に昭和プリン、千草に霧桜だと?! ヤマハモーター台湾は、レトロポップな125ccスクーター「ビノーラ」をモデルチェンジ。「Newtro Fashion(ニュートロ・ファッション)」のコンセプト[…]
パワフルで坂道も得意、実用的な原付二種EV 2023年のジャパンモビリティショーでコンセプトモデル「SC e: Concept」として参考出品されていたものが車名を「CUV e:」と改め、2025年6[…]
人気記事ランキング(全体)
カワサキ500SSマッハⅢに並ぶほどの動力性能 「ナナハンキラー」なる言葉を耳にしたことがありますか? 若い世代では「なんだそれ?」となるかもしれません。 1980年登場のヤマハRZ250/RZ350[…]
マーヴェリック号の燃料タンク右側ステッカー エンタープライズに配属された部隊 赤いツチブタは、「アードバークス」の異名を誇る米海軍「第114戦闘飛行隊(VF-114)」のパッチ。1980年代には第1作[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
カラーバリエーションがすべて変更 2021年モデルの発売は、2020年10月1日。同年9月にはニンジャZX-25Rが登場しており、250クラスは2気筒のニンジャ250から4気筒へと移り変わりつつあった[…]
公道モデルにも持ち込まれた「ホンダとヤマハの争い」 1980年代中頃、ホンダNS250Rはヒットしたが、ヤマハTZRの人気は爆発的で、SPレースがTZRのワンメイク状態になるほどだった。 しかしホンダ[…]
最新の投稿記事(全体)
カワサキW800(2017) 試乗レビュー この鼓動感は唯一無二。バイクの原点がここに 1999年2月に発売されたW650は2009年モデルを最後に生産を終了。その2年後の2011年、ほぼ姿を変えずに[…]
旧車の開発に使われた”鉱物油”にこだわる 1992年に創業した絶版車ディーラーのパイオニア・ウエマツ。販売だけでなく、整備にも徹底して力を注いできた同社がそのノウハウをフィードバックし、旧車に特化した[…]
インパクト大なシリーズ初カラー 現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロに仕上げられた1台であるXSR900。3種のパワーモ[…]
イベントレース『鉄馬』に併せて開催 ゴールデンウィークの5月4日、火の国熊本のHSR九州サーキットコースに於いて、5度目の開催となる鉄フレームのイベントレース『2025 鉄馬with βTITANIU[…]
ロングツーリングでも聴き疲れしないサウンド 数あるアドベンチャーモデルの中で、草分け的存在といえるのがBMWモトラッドのGSシリーズ。中でもフラッグシップモデルのR1300GSは2024年に国内導入さ[…]
- 1
- 2