
CB750フォアを尖兵に、ホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの日本4大メーカーが世界の頂点に君臨する時代が幕を開ける。大排気量空冷マルチエンジンを搭載した公道の王者たち、その有志をご覧いただこう。本記事では、国産の量産車として初めて水冷エンジンを導入したスズキの”水牛”GT750を取り上げる。
●文:ヤングマシン編集部
- 1 スズキ GT750 概要
- 2 スズキ GT750の系譜
- 3 スズキ GT750 兄弟モデル
- 4 [連載]青春名車オールスターズに関連する記事
- 5 「市販車初の集合マフラー」カフェレーサーの金字塔:1974ホンダCB400フォア【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 6 「そしてZX-10へ」カワサキ流最速&快適マシンの原点:1986カワサキGPZ1000RX【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 7 「油冷による軽量革命」1980年代レプリカブームの決定打:1986スズキGSX-R1100【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 8 「トップガンにも登場」ニンジャの始祖となった長寿バイク:1984カワサキGPz900R【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 9 「ホンダV4こそ最速」公道無敵を誇った水冷モデル:1984 ホンダVF1000R【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 10 「最速バイク戦国時代の幕開け」“R”を冠した市販車レーサー:1983 ホンダCB1100R【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 11 「ヤマハらしい美しさ」量産化は見送られた幻のロータリー搭載車:1972 ヤマハRZ201【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 12 「スズキの本気度が伝わる」約6000台が生産された国産唯一の市販ロータリー:1974 スズキRE-5【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 13 人気記事ランキング(全体)
- 14 最新の記事
スズキ GT750 概要
対CBフォアの愛称”ウォーターバッファロー”
マッハ3に対抗するかのように、並列3気筒を選び、なおかつ750ccの大排気量と水冷を採用したのがスズキのGT750である。しかし、パフォーマンス志向の強いマッハ3とは打って変わり、GT750のキャラクターは“ジェントル”そのもの。開発目標は「最高出力67ps、最高速度180km/hで低速から高速までフラットなトルクを生み出す」ことだった。つまり最高速度よりもツーリングバイクとしての余裕に重きを置いたということだ。
水冷の採用もパワー向上のためというより、ウォータージャケットでピストンまわりを覆うことでメカニカルノイズの低減を実現するためのもの。また、空冷だと中央シリンダーの熱が問題になると予想されたため、冷却の確実性を求めたという側面もある。
水冷は国産の量産車として初の試み。当時は空冷全盛で、水冷の採用には慎重だった時代。その中であえて水冷に挑戦したのは、スズキならではの技術への探究心の表れだ。
初といっても安全性への配慮には怠りはない。例えば転倒時にウォーターポンプが破損して、ライダーが熱湯を浴びることがないように、ポンプをクランクケース中央部に配置してホース類を短くし、車体中央近くに配置させるといった具合だ。
ちなみに、グランツーリスモとして名を馳せた「紳士」だったが、レースでは一転して猛々しさを剥き出しに。’72年デイトナでは暴れ回って、底力を見せ、マニアたちに軽快な重量車=スーパーバイクとしての印象を植えつけることに成功している。
【’71 SUZUKI GT750】■水冷2スト並列3気筒 ピストンバルブ 738cc 67ps/6500rpm 7.7kg-m/5500rpm ■235kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18 ●価格:38万5000円
【上質だった水冷2スト3気筒】重量増を嫌って、他社が消極的だった水冷エンジンを採用。多気筒/大排気量/高出力の先駆けだ。性能よりも上質さを追求してのことだったが、北米では力強い印象の「ウォーターバッファロー(水牛)」という愛称がつけられた。
もっとも目立つメーターの中央上部に水温計を配し、水冷エンジンであることをアピール。キロメーター表示の速度計で80km/hから目盛りが赤いのは国内仕様だけだ。
GTはグランドツーリングの意。性能一辺倒ではない上質な性格を表した車名だ。
スズキ GT750の系譜
【’73 SUZUKI GT750 [K]】初期型のツーリーディング式ドラムブレーキから油圧式のダブルディスクブレーキに変更。
【’77 SUZUKI GT750 [B]】最終型はB。それまでにCVキャブレターの採用やマフラーエンドコーン廃止など小変更が行われた。
スズキ GT750 兄弟モデル
【’72 SUZUKI GT380】兄貴分の750/550と同様の2スト3気筒エンジンを搭載するが、その性格はツアラー的なもので車格もやや大柄。シリンダーヘッドには走行風を積極的に取り入れて冷却するラムエアシステムを備え、3気筒ながら採用された4本出しマフラーも堂々とした印象を与えた。’75年10月に中型限定免許(当時)が施行されると、再び人気が上昇。4スト4気筒の軽快なGR400と並んで、’70年代のスズキを代表する珠玉の中型マシンだ。
【’72 SUZUKI GT550】GTシリーズ最後発のミドルクラスで、初期型からディスクブレーキを採用。GT380と同様の空冷3気筒を搭載。
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[連載]青春名車オールスターズに関連する記事
人気記事ランキング(全体)
もしものクマ襲撃に備える 強力な熊撃退成分を配合した「フロンティアーズマン マックス ベアスプレー」は、高圧ガスで12mの長距離噴射を実現。バイクツーリングはもとより、サイクリング/トレッキング/キャ[…]
高回転まで伸びるエンジン、フレンドリーな乗車姿勢 日本ではまだ馴染みがないかもしれないが、中国のCFMOTOはヨーロッパやアメリカなど先進国を含め、グローバルな展開を行っている二輪メーカーだ(そのほか[…]
遊び心と楽しさをアップデートした初代125 発売は2018年7月12日。開発コンセプトは、楽しさをスケールアップし、遊び心で自分らしさを演出する“アソビの達人”だった。124ccエンジン搭載となったこ[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
4WDマニアたちのコラボから生まれたファンイベント 「LAND CRUISER FES JAPAN 2025」は、四輪駆動専門誌「レッツゴー4WD」と日本を代表するモータースポーツの聖地「富士スピード[…]
最新の記事
- 「ホンダの中でもレア車な2気筒オフローダー」1970年『ドリームSL350』【柏 秀樹の昭和~平成 カタログ蔵出しコラム Vol.15】
- 「市販車初の集合マフラー」カフェレーサーの金字塔:1974ホンダCB400フォア【あの素晴らしい名車をもう一度】
- ホンダ「CBR250RR」歴代モデル図鑑【2025年モデル:エッジ引き立つニューカラー】
- 「そしてZX-10へ」カワサキ流最速&快適マシンの原点:1986カワサキGPZ1000RX【あの素晴らしい名車をもう一度】
- フレンドリーさに満ちた400ccスーパースポーツ:カワサキ「ニンジャ400」歴代モデル図鑑【2018モデル】
- 1
- 2