MVアグスタジャパンは、798cc水冷並列3気筒エンジンを搭載するスーパースポーツ『F3 RR』の2022年式モデルを、全国のMVアグスタ正規販売店にて12月より販売開始する。車両価格は324万5000円となっている。
●文: ヤングマシン(山下剛) ●外部リンク: MVアグスタ
ミドルクラススーパースポーツの最高峰を目指したMVアグスタの真価
F3RRは798cc水冷並列3気筒エンジンを搭載するスーパースポーツで、MVアグスタがMoto2参戦で培ったアイデアとテクノロジーが凝縮されたマシンだ。2021年9月にF3シリーズのフラッグシップモデルとして登場した。MVアグスタの3気筒シリーズすべてにエンジンの技術的改良が行われたが、F3 RRではエンジン特性、シャシー、フェアリング、電子制御などすべてがアップデートされ、ラップタイムを大幅に短縮するほど飛躍的な走行性能の向上を果たしている。
まずシャシーでは、フレームプレートの再設計によってねじれ剛性と縦剛性が向上し、ライディングの精度とフィーリングを高めた。この進化に合わせてサスペンションも見直され、サーキットとストリートの両面において最高のパフォーマンスを発揮する。また、リアホイールは鍛造方法の刷新によって7%の軽量化を達成し、バネ下重量軽減に貢献している。
エンジンはユーロ5に適合させつつ、800ccクラスながら147psを発生。チタンバルブ、新設計のバルブガイド、DLCコーティングのタペットを採用したことなどでさらなる高回転化が可能となっている。また、新設計のメインベアリングによって慣性モーメントと摩擦を軽減したことによる信頼性も向上している。
さらにECUファームウエアのマネジメントロジック、エンジンコントロールアルゴリズムによって、スロットルワークはより精密となり、新採用のデュアルフローラジエター全面的に刷新された排気システムも相まって、走行性能は全体的に底上げされている。
電子制御技術では、最新IMUを採用することでABSやトラクションコントロールはコーナリング機能に対応。ウイリーを制御するフロントリフトコントロール、ローンチコントロールも備え、第3世代へ進化したクイックシフトはアップ/ダウンに対応し、動作もより精密でスムーズになっている。
5.5インチの液晶画面を持つメーターはスマートフォンと無線接続可能で、スマートフォンを経由してバイクのセッティングを行うことも可能だ。
フェアリング側面に装着されたカーボン製ウイングレットは、240km/hでの走行時に8kgの荷重を発生させ、マシンの走行安定性を高める。さらにラジエターへの空気流量を改善したサイドフェアリング、新設計のマッドガードが持つ空力性能の相乗効果によって、最高速度を損なうことなくコーナリング性能を向上させた。
F3 RRにはレーシングキット(一般公道での使用不可)が付属し、そのポテンシャルをさらに引き出すことができる。キットにはCNC切削加工された燃料キャップ、ブレーキとクラッチのレバー、シングルシートカバー、アクラポビッチ製チタンマフラー、専用ECUが含まれる。これらを装着することで乾燥重量は173kgから165kgに、最高出力は147psから155psとなる。
ストリートでのハイパフォーマンスはもちろんのこと、レーシングキットの装着によりサーキットでのライディングをよりエキサイトなものへ変える。こうした二面性もF3 RRの大きな魅力といえるだろう。
MV AGUSTA F3 RR[2022 model]
主要諸元■全長2030 全幅730 全高― 軸距1380 シート高830(各mm) 車重173kg[165kg](乾燥)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 798cc 149ps/13000rpm[157ps/13250rpm] 8.98kg-m/10100rpm 変速機6段 燃料タンク容量16.5L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ※[ ]内はレーシングキット装着時 ●価格:324万5000円 ●色:白×赤、赤×濃灰 ●発売日:2021年12月
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