前車との距離に応じて車間を自動調整するアダプティプクルーズコントロール等を可能にする、先進のレーダーシステムを搭載した’21モデルが続々登場している。本記事ではドゥカティ新型ムルティストラーダV4Sに搭載されたボッシュ製アドバンストライダーアシスタンスシステム(ARAS)を中心に、各社の動向を紹介する。
●文:谷田貝洋暁 ●写真:真弓悟史 ●取材協力:ドゥカティジャパン
ドゥカティ ムルティストラーダV4S:2輪車初・ボッシュ製ARAS搭載
モノコックアルミフレーム、逆回転クランクのV4エンジンの採用などなど、非常に話題性の高いムルティストラーダV4シリーズだが、電子制御の目玉は「ARAS(アドバンスド ライダー アシスタンス システム)」。2輪車としては世界初搭載となる、ボッシュ製システムを搭載したことだろう。クルーズコントロールシステムを搭載したモデルは近年増えてきたが、ムルティストラーダはさらに先を行き、“追走機能”や“死角検知機能”といった先進技術をいち早く手に入れたのだ。
追従走行機能
いわゆるアダプディブクルーズコントロール(ACC)。一定の速度でしか巡航走行できない一般的なクルーズコントロールに対し、前方の車両を検知して減速/加速を行い、車間を保持して追従する機能を持っている。前走車との車間距離は4段階で設定が可能だが、秒で管理しており速度域が上がるとその分だけ車間も広がる。ただし、クルマのようにステアリングには介入しない。
死角検知機能
ムルティストラーダV4Sは、後部にももうひとつ中距離レーダーセンサーを搭載しており、後方からの車両の接近も検知する。ミラーの死角に入る場合には、ミラーに取り付けられたLEDランプが点灯して、ライダーに車両の接近を知らせる。また、その状況でライダーがウインカーを出すと、ミラー上部のLEDが高速点滅して警告してくれる。
コーナリング減速機能
IMUが車両の傾きなどを検知し、コーナリングしていると判断すると、ACCによる巡航速度から若干速度を落とすようになっている。減速具合は速度や傾き具合に合わせて変動するとのことだが、介入の仕方が自然で実用的な装備だ。
ARAS搭載車試乗インプレ:コーナリング減速機能はかなり実用的だ
筆者は普段からACC付きのクルマ(ホンダNバン)に乗っており、それもあってかごく自然に使いこなすことができた。追走時の減速/加速も自然でクルマのACCとなんら遜色なく、運転が非常に楽になる。一番驚いたのはコーナリングでの減速機能だ。一般的なクルーズコントロールは、直線だろうとコーナーだろうと100km/hに設定すればその速度を保持しようとする。このため旋回運動による速度損失が起こると、アクセルを開けるような動きを旋回中にすることがあるのだが、これがちょっと焦るのだ。一方でムルティストラーダV4Sの場合は、この旋回運動による速度損失に合わせたような速度調整をしてくれるため、ものすごく動きが自然。このシステムかなり実用的だ。
ACC元年! 各メーカーから搭載モデルが続々登場
以下に紹介する3社のうち、BMWとKTMにはすでにボッシュ製のシステムを搭載したACC対応モデルを発表している。ただ、両社ともミリ波レーダーセンサーの搭載は前方だけで、使用できる機能はACCのみとなることがボッシュによって発表されている。つまり、後部レーダーによる死角検知機能を搭載するのは、現状ではドゥカティのムルティストラーダV4のみだ。
’21 BMW R1250RT
’21 KTM 1290スーパーアドベンチャーS
’22 カワサキ ニンジャH2 SX?
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