●文/写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:パウダーコーティング・カトー
メーカー純正ペイントのクオリティは概して高いものとは言い切れない。新車購入数年後にはカビ汚れが目立ったり、中には腐食が発生するキャストホイールもあったりするからだ。バイク業界に於けるパウダーコートペイントのパイオニアとして知られ、年間を通じて多数のホイールペイントを実践するパウダーコーティング・カトー(愛知県豊田市)に話を聞いた。
’80年代当時のキャストホイールの品質問題を解決
’80年代当時のキャストホイールはペイント品質にバラツキがあった。新車購入から数年後には汚れが目立ち、その汚れを落とそうと高圧洗浄したら塗膜がパリパリッと落ちてしまった…といった落胆の声も数多く聞かれた。
そんな問題が目立ったキャストホイールのペイントを「高品質に仕上げたい」と考え、パウダーコーティングの強靱さをバイクシーンで展開してきたパイオニア的存在が「パウダーコーティング・カトー」だ。

【パウダーコーティング・カトー:加藤金親代表】自身も大のバイクファンで、ビンテージトレールを愛するVMXファンでもある。「旧型のキャストホイールでしたから、腐食も激しかったです。それでも足まわりがキレイになるとバイクは輝きますので、ぜひ美しく仕上げて楽しんで下さい」と加藤代表。
「足まわり部品ですからハネ石に対する塗膜強度が大切です。そんな面でもホイールやフロントフォークのボトムケースにはパウダーコーティング仕上げが適していると思います。古いホイールだと腐食やキズなど、ダメージを受けていることが多いですが、サンドブラストで古い塗膜をしっかり剥がしながらキズ補修し、脱脂後に空焼きしてからパウダーコーティングで仕上げます。ノーマル風仕上げでも、塗膜の食いつきが良いですからその後も安心です」と加藤代表。
バイクの輝きは、ホイールや足周り部品の輝き方で大きく変化するもの。ハネ石に対して強靱なパウダーコーティングなら、今後の美しさ維持でも安心できるはずだ。腐食や落ちない汚れが気になる時には、ぜひパウダーコーティングで仕上げてみてほしい。
今回取り上げたのは、’70年代に生産されたイタリア・メルバ社製アルミキャストホイール。ハブ部分には純正部品を転用するドゥカティ用で、当時のドゥカティはスポークホイール仕様だった。生産から40年以上も経過すれば、さすがにコンディションも窺い知れる。
スプロケットのカップリングハウジングには、5穴時代になってからのドゥカティ純正部品が使われたようだ。
フレーム関連部品のパウダーペイントが圧倒的に多いPCカトー。キャストホイールのペイントやエンジンペイントを耐熱パウダーで仕上げるオーダーも数多い。頼りになるプロショップだ。
キャストホイール黎明期には数多くのメーカーからオリジナルデザインのアルミホイールが登場した。リムサイドまで伸びているリブが、この時代のデザイン的特徴だった。近似色のゴールドパウダーで仕上げたことで、その美しさは格段に高まり、汚れに対しても強くなっている。
コロナ渦の巣ごもり生活が影響したのか? この春から夏は例年通りに途切れることなくペイント依頼が多かったと加藤社長。今なお研究熱心!! ユーザーニーズに応えている。
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