●文:ウィズハーレー編集部 ●取材協力:HSC静岡/HSC沼津
静岡県内に2店舗のチューニング拠点を持つHSCは、常にハーレーの様々なチューニングの可能性を追求しているショップ。進歩を続ける新型モデルをより魅力的なハーレーとすべく努力を惜しまないHSCでは、ミルウォーキーエイト以降のエンジンについてカムシャフトの交換を強く勧めている。
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カムシャフトの選択で特性が変化する
ハーレーのビッグツインエンジンは、昔のナックル時代から今日まで、ツインカム時代を除いてすべて1本のカムシャフトでバルブを駆動している。つまり1本のカム形状で、エンジンの特性が決まっていくと言っても良いだろう。
エンジンの特性を左右する重要なパーツがカムシャフト。この1本でエンジンのバルブすべてを駆動する、重要なパーツだ。写真のカムは、HRDパフォーマンスが販売しているTman製の001カム。中速域の高トルク型だ。
「単純な話、ツインカム時代は効率の良さを狙って、馬力を追求するのは簡単でした。でもハーレーらしさを追求するとやはりカムシャフトは1本ということなんでしょうね。しかし、ノーマルのカムは、徹底的に低速の特性を快適にすることを意識した形状なので、現代のハーレー乗りにはやや不満があると思うわけです。逆に最新のエンジンは、カムさえ交換すれば馬力アップするかというと、それも違います。カムの変更は、エンジン回転数のどの部分を得意にするかということを決定するパーツということですね」(HSC佐々木社長、以下同)
わかりやすく言うと、カムは低速型から高速型までチョイスできるパーツというわけである。ノーマルが採用しているカムが最も低速型であり、ゼロからのスタートはハーレーらしいトルクを生むが、追い越し加速等での力不足を感じるのはそのためなのだ。
「チューニングとは、選んだパーツを用いてそのバランスを仕上げていく作業なので、まずどのようなイメージのエンジンに仕上げたいのかという部分が重要です。そこから給排気のシステムを選び、カムも選択するということです」
たとえば、限りなく馬力を追求するなら高速型のカムを採用するが、ストックのエンジンではその効力を発揮できないから、エンジンのボアアップやスロットルボディの大型化も必要になろう。その結果、一般道での乗りにくさが際立ってしまう場合もあるという。
「一度、オーバー100馬力エンジンを製作して、その後少し低速型のカムに変更してから再チューニングするというお客様もいらっしゃいますね」
最も問題なのは、パーツ交換だけをしてバランスが崩れているエンジン。たとえば、ルックス重視で選んだマフラーの排気効率と、選んだカムがバランスしていない場合など。あまりにちぐはぐな状態だと、燃費の悪化やエンジン不調にも陥ってしまうのだ。
単純な話、新型エンジンはカムシャフトが1本に戻ったので、作業コストはツインカム時代よりリーズナブルになった。つまり、チューニングの幅も広がったということでもあるのだろう。自分にとってどんなハーレーが心地良いのか、極めることが楽しい時代になったのである。
佐々木社長の前に並んだカムシャフトは、右からM8の114エンジンのノーマル・S&S465・Tman200・Tman001・Tman216という順番で、左に行くほど高速型となる。
完璧な空調の保たれたチューニングルームでセッティングを実施する佐々木社長。数多くのハーレーチューングからノウハウを蓄積したベテランチューナーである。
カムシャフトの変更と同時に、FEULING製カムサポートプレートと大容量オイルポンプの交換も勧めている。高性能化に見合ったパーツチョイスをするべきだろう。
車両スペックは、2017FLHXSがベースで1966ccにボアアップされたもの。カムは高速型のTman216で、マフラーはD&Dの2イン1である。ハイパワーだが、乗りやすい仕様だ。
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