カワサキは2020年第2四半期の決算を発表するとともに、バイクを生産する部門である「モーターサイクル&エンジンカンパニー」を2021年10月を目途に分社化すると明らかにした。
第2四半期決算では前年同期比で減収
カワサキは第2四半期の決算実績を発表。前年同期比では受注が航空宇宙システム、エネルギー・環境プラントを中心に減少、売上は車両等(新幹線ほか)が増収となる一方で、航空宇宙システム、モーターサイクル&エンジン等が減収となったことにより、全体では減収になった。
営業利益は、車両の改善はあったものの、航空宇宙システムでの悪化等により減益。経常利益は、為替差損益の好転や民間航空エンジンの運行上の問題に係る引当金戻入益の計上はあったものの、営業損益の減益により減益。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、固定資産売却益の特別利益への計上はあったものの、経常利益の減益に加え、減損損失(坂出工場)の特別
損失への計上や繰延税金資産の一部取崩しを行ったことにより減益となった。
モーターサイクル&エンジンカンパニーの前年同期比については、売上は新興国向け二輪車が大きく減少したこと等により減収。営業利益は、減収に加え対米ドルや対新興国通貨等で前年同期に比べ為替レートが円高で推移したこと等により悪化した。2020年度の見通し(8月公表比)では、売上は米国向けオフロード二輪車および四輪車、欧州向け二輪車の増加により見通しを引き上げることに。営業利益も増収により見通しを引き上げとした。
こうした決算を受け、カワサキは「グループビジョン2030」の事業方針を説明。エネルギー・環境プラントカンパニーと船舶海洋カンパニーを2021年4月に統合し、ひとつのカンパニーとして一体経営する。車両カンパニーおよびモーターサイクル&エンジンカンパニーはそれぞれ2021年10月目途で分社化を予定しており、モーターサイクル&エンジンカンパニーは精密機械・ロボットカンパニーと、そして車両カンパニーについては航空宇宙システムカンパニーとの連携を強化していく。
モーターサイクル&エンジンカンパニーの分社については、下記を掲げている。
・自立的事業経営を徹底、B to C事業の特性を活かし、意思決定のスピードを向上
・ポストコロナを見据えた新たなライフスタイルの提案など顧客に密着した製品・サービスの提供により、ブランドを強化
・環境規制対応、電動化や先進安全技術などの進展を見据え、業界内での連携を強化するとともに、市場を活性化
また、モーターサイクル事業と精密機械・ロボット事業の連携については、量産事業における経営資源の融通と、B to B 事業(油圧機器、汎用エンジン)における連携を掲げている。
3つの事業グループとして再構築
陸・空輸送システムの事業領域は航空宇宙システムカンパニーと車両(新会社)からなり、エネルギー&マリンエンジニアリングの事業領域はエネルギー・環境プラントカンパニーと船舶海洋カンパニーを統合。そしてモーションコントロール&モータービークルの事業領域は、精密機械・ロボットカンパニーとモーターサイクル&エンジン(新会社)が連携していく。
さらに、資金改善の徹底とコスト低減、キャッシュフロー改善、総労務費の圧縮などに徹底して取り組むことにより、2021年度黒字化を目指す。
今後の成長については、モーションコントロールとエネルギー が当面の収益を支え、航空宇宙事業が回復して市場が安定的に拡大、そして水素をはじめとする新規事業が収益の柱となり、安定した成長軌道へ、というシナリオだ。
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