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’69ヤマハ トレール250 DT-1をフルレストア〈フレーム&インナーチューブ編〉

  • 2020/8/1
'69ヤマハ トレール250 DT-1フルレストア挑戦〈フレーム&インナーチューブ編〉

’69年型のヤマハ トレール250 DT-1のフルレストアに取り組む『モトメカニック』編集部。せっかくフルレストアするのなら、仕上げ作業を行う前にメインフレームや足まわりの問題点を修正。まずはフレームの”整体”を「シャシテック」に、バラしたフレームや関連部品のコーティングを「パウダーコーティング・カトー」に、サビサビのインナーチューブは再ハードクロームメッキ処理に強い「東洋硬化」に依頼した。

まずはフレームの歪みを診断&修正

フルレストア完成後に「なんだか安定性がなくて…」といった話を聞くことがある。組み立て上の問題ならともかく、最悪でメインフレームのステアリングネックが”歪んでいました”なんてことも…。

そんなことが起こらないためにも、まずは作業開始前のローリングシャシーを静岡県掛川市の「シャシテック」へ持ち込み、フレームの曲がりや歪み診断と同時に、必要に応じて修正してもらった。現場で立ち会い、”お墨付き”を得られたことで、気持ち良く本格的なフルレストアに取りかかることができようものだ。

国内モデルの「認定コーション」をスクレパーできれいにそぎ落とす

ペイント依頼の前に、サイドフレーム三角形部分に添付されている国内モデル認定コーションをスクレパーできれいにそぎ落とした。フルレストアが完成したら再度しっかり接着したい。

パウダーコーティングで基本骨格から美しく

続いて、メインフレームを始め周辺部品の”黒物”はすべて、愛知県豊田市の「パウダーコーティング・カトー」へ持ち込んだ。同社代表の加藤金親氏は、DT-1に限らず当時のトレールモデルに詳しく、自らオーナーでもある。よって、フレーム骨格を見れば一目瞭然。「このDT-1は’69年モデルの初期だね。サビが少なくて、程度もいいじゃない」 そんな言葉を聞くことができて、ひと安心だ。

なお、依頼前にすべての部品を取り外したつもりだったが、スイングアームピボットとリアブレーキペダルのピボットのブッシュを抜き取り忘れたままだった。これらは作業前にしっかり抜き取り、仕上がった部品と一緒に返送してもらった。

粉体塗料のクオリティと手慣れた作業で、素晴らしいとしか言いようのない仕上がりになった各パーツ。トレールモデルは部品点数が少ないからフルレストアも早い!? ちなみに塗料がポッテリ載りすぎると、打刻が見えにくくなり気分が良くないが、そのあたりも心得ているの加藤氏。打刻エッジがしっかり出ていて、大満足。

楕円摩耗してしまうことが多いがこのフレームは大丈夫だった

サイドスタンドのピボット部分がグリス切れにより楕円摩耗してしまうことが多いDT-1 だが(他の旧車も同じく)、ペイント依頼前の点検では、フレーム側もサイドスタンド側もGOODだった。レースユースでサイドスタンド利用が少なかったためか。

サイドスタンドの足首部分には特有のプレスウェイブがある

サイドスタンドの足首部分には特有のプレスウェイブがある。しかしヒールは完全にサビ落ちていたので、花咲かGラストリムーバーでサビ処理してからヒール板を溶接し、その後にパウダーコーティングで仕上げた。底板ヒールは厚手の鉄板で強度対策を施してある。

パウダーコーティング・カトー代表の加藤さん(右)と精鋭スタッフ

「トレールクラブ」を主宰するパウダーコーティング・カトー代表の加藤金親氏(右)と精鋭スタッフ。お世話になりました。

絶版インナーチューブには硬質再ハードクローム仕上げを施す

さて、フロントフォークの方は重要なインナーチューブがサビサビの状態。前オーナーからは新品純正インナーチューブを受け取っていたのだが、確認すると年式違いの別部品ということで、残念。

シャシテックでインナーチューブも曲がりがないことを確認していたので、迷うことなく福岡県久留米市の「東洋硬化」に再ハードクロームメッキ処理を依頼。ご覧の通り素晴らしい出来映えで大満足だ。

ちなみに、チューブボトムの構造がオリジナルのそれとは異なっており、DT-1用のインナーチューブは三つ叉クランプのアッパーとロアで太さが異なる段付き仕様。依頼時には仕上げ仕様を明確に伝えよう。

サビサビのインナーチューブ

純正のインナーチューブはサビサビ状態。これを再ハードクロームメッキ処理で仕上げてもらう。

依頼するときにはリクエストを明確に

納期は状況にもよるがおよそ20日前後。DT-1 のような段付きフォークをすべてハードクロームすると、1本あたり2万4000円(税抜)。ストレート部分(純正同様の仕上げ)だけなら、1 本あたり1万9000円(税抜)。依頼する際にはリクエストを明確に。

フレーム&足まわりパーツの組み立て開始

フレーム&足まわりパーツのペイントが仕上がってきたので、さっそく組み立て開始。ステアリングまわりの重要な部品が販売中止になってしまったら困るが、今回は運良くすべて新品部品が納品された。機種統合部品になるのは大歓迎だ。

そして現在。夜な夜な組み立て作業を行い、シャシーはほぼ完成目前という状況である。

新品ベアリングレースを圧入してグリス塗布

念のためにすべてのネジ部分にはタップを通してエアーブロー。まずはステアリングヘッドパイプに新品ベアリングレースを圧入してグリスを塗布。

使いやすいアジャスタブルフックレンチ

アジャスタブルフックレンチは大変使い勝手が良く、超オススメの特殊工具。先端が薄いからなおさら使いやすい。この段階ではトルクを掛け過ぎずに組み立て、試走直前にじっくり調整するのが良いだろう。

●文:たぐちかつみ ●写真:モトメカニック編集部 ●取材協力:シャシテック パウダーコーティング・カトー 東洋硬化

※この記事はバイクいじりの専門誌『モトメカニック』に掲載したものを加筆修正したものです。最新の雑誌は書店もしくは下記サイトにてお買い求めください。

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