’69年型のヤマハ トレール250 DT-1のフルレストアに取り組む『モトメカニック』編集部。せっかくフルレストアするのなら、仕上げ作業を行う前にメインフレームや足まわりの問題点を修正。まずはフレームの”整体”を「シャシテック」に、バラしたフレームや関連部品のコーティングを「パウダーコーティング・カトー」に、サビサビのインナーチューブは再ハードクロームメッキ処理に強い「東洋硬化」に依頼した。
まずはフレームの歪みを診断&修正
フルレストア完成後に「なんだか安定性がなくて…」といった話を聞くことがある。組み立て上の問題ならともかく、最悪でメインフレームのステアリングネックが”歪んでいました”なんてことも…。
そんなことが起こらないためにも、まずは作業開始前のローリングシャシーを静岡県掛川市の「シャシテック」へ持ち込み、フレームの曲がりや歪み診断と同時に、必要に応じて修正してもらった。現場で立ち会い、”お墨付き”を得られたことで、気持ち良く本格的なフルレストアに取りかかることができようものだ。
パウダーコーティングで基本骨格から美しく
続いて、メインフレームを始め周辺部品の”黒物”はすべて、愛知県豊田市の「パウダーコーティング・カトー」へ持ち込んだ。同社代表の加藤金親氏は、DT-1に限らず当時のトレールモデルに詳しく、自らオーナーでもある。よって、フレーム骨格を見れば一目瞭然。「このDT-1は’69年モデルの初期だね。サビが少なくて、程度もいいじゃない」 そんな言葉を聞くことができて、ひと安心だ。
なお、依頼前にすべての部品を取り外したつもりだったが、スイングアームピボットとリアブレーキペダルのピボットのブッシュを抜き取り忘れたままだった。これらは作業前にしっかり抜き取り、仕上がった部品と一緒に返送してもらった。

粉体塗料のクオリティと手慣れた作業で、素晴らしいとしか言いようのない仕上がりになった各パーツ。トレールモデルは部品点数が少ないからフルレストアも早い!? ちなみに塗料がポッテリ載りすぎると、打刻が見えにくくなり気分が良くないが、そのあたりも心得ているの加藤氏。打刻エッジがしっかり出ていて、大満足。 [写真タップで拡大]

サイドスタンドのピボット部分がグリス切れにより楕円摩耗してしまうことが多いDT-1 だが(他の旧車も同じく)、ペイント依頼前の点検では、フレーム側もサイドスタンド側もGOODだった。レースユースでサイドスタンド利用が少なかったためか。 [写真タップで拡大]

サイドスタンドの足首部分には特有のプレスウェイブがある。しかしヒールは完全にサビ落ちていたので、花咲かGラストリムーバーでサビ処理してからヒール板を溶接し、その後にパウダーコーティングで仕上げた。底板ヒールは厚手の鉄板で強度対策を施してある。 [写真タップで拡大]
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