公表されている’20年3月以降の販売台数や出荷台数、販売店主の声などによると、やはり新型コロナ禍でバイクの需要が高まっている。特に都市部に流入する通勤・通学利用者のバイクが増えているようだ。前稿では、そうしたバイク利用者を受け入れる側として、行政の対応、駐車場整備における課題認識の転換について提案したが、本稿では民間の駐車場事業者に話を聞いた。
バイクの通勤/通学利用は全体で1.6倍に増加
四輪用駐車場の一角から個人宅の軒下まで、デッドスペースを利用した時間貸し駐車場を運営するakippa(アキッパ)株式会社広報グループの森村優香氏に利用状況について尋ねた。
Q:都市部におけるバイク用駐車スペースの利用状況について教えてください。
森村氏:新型コロナウィルス流行前の2月初旬と5月下旬を比べると、バイクでの通勤・通学目的の利用者は全体で約1.6倍に増加しています。大都市部である東京都全体、大阪府全体では約1.5倍に増加し、特に東京都心の3区では、千代田区で約1.8倍、新宿区で約2.7倍、港区では約2.0倍に増加するなど顕著でしたね。
Q:地方部でもそうした傾向はあるのでしょうか。
森村氏:akippaでは移動せざるを得ない状況におかれている方々の不安を少しでも解消すべく「通勤・通学でのakippa利用エリア別調査」を実施しました。車も含めた通勤・通学での駐車場利用者は、東北地方の仙台市若林区で3倍、東海地方の名古屋市東区で2倍など全国的に増加傾向にあります。
Q:都市の中心部ではなく郊外ではどういう状況でしょうか。
森村氏:akippaでは、空いている個人宅の遊休スペースを一車室単位で貸し出せるため、コインパーキングが少ない住宅街でも登録駐車場が多数あります。2月初旬と4月中旬の比較では、東京都世田谷区では9.3倍、大阪府豊中市でも2.2倍と利用が増加していました。
Q:コロナ禍における御社の今後の取り組みについて教えてください。
森村氏:今後は「Withコロナ」の時代になると言われていますが、エリアによっては駐車場が足りていない状況です。「困りごと解決企業」であるakippaでは今後も駐車場の貸し出しを進めていきたいと考えていますので、もし「使っていないスペースがある」という方がいらっしゃいましたら、初期費用等は一切かかりませんので駐車場の貸し出しを検討いただけましたらと思います。
Withコロナでは、パーソナルモビリティの重要性がこれまで以上に増してくる。通勤・通学といった需要がすでに高まっているなか、駐車環境の整備に向けた議論や活動が多方面で求められている。
●文:田中淳磨(輪) ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
東京都の関連団体である東京都道路整備保全公社は、バイク駐車場の整備拡充に取り組んでおり、現在では収容台数約1200台をキープしているが、民間の駐車場事業者と同じく、利用台数については微減となっている。[…]
2019年4月、バイク駐車場の整備・運営等を事業としている東京都道路整備保全公社が、駐車場を経営する事業者らを対象とした自動二輪専用駐車場整備に関する助成条件を緩和した。簡単に言うと、以前はバイク駐車[…]
近年、ラストワンマイルの移動や高齢者の免許返納後のモビリティとして、電動キックボードや電動車イスのような"多様なモビリティ"をどう活用していくか、という議論が活発に行われている。2019年に経産省が主[…]
今、東京都は電動バイクの普及促進事業を行っている。国(経済産業省)による購入補助金に加え、地方自治体としての購入助成制度を運用し、電動バイクの普及を目指しているのだ。これは、東京都が制定した環境基本都[…]
事業者も利用者もうれしい。社会課題の改善にも寄与 平成18年(2006年)の道路法改正後に路上(歩道)への設置も増えた時間貸し駐車場が、今では利用が減り赤字になる場所もある(詳細は前稿)。旧来の駐車シ[…]
最新の記事
- 1
- 2