東京23区内でバイク駐車場の整備助成条件が緩和
2019年4月、バイク駐車場の整備・運営等を事業としている東京都道路整備保全公社が、駐車場を経営する事業者らを対象とした自動二輪専用駐車場整備に関する助成条件を緩和した。簡単に言うと、以前はバイク駐車場を5台以上整備しないと補助金が受けられなかったが、条件の緩和により2台以上でもOKとなったのだ。公社が駐車場事業者らに対しバイク駐車場を作りやすくした形だ。
これにより、今までクルマ専用だった駐車場がクルマ1台分の駐車枠をバイク2台分のスペースに改造・転用したり、駐車場内のデッドスペースにバイク2台分の駐車スペースを新設したりしやすくなった。都心でも余り気味と言われてきたクルマ用駐車スペースを1台分だけでもバイク用に整備してくれれば、そこにバイクを2台駐車できるようになるのだ。駐車場事業者にとってはトライしやすい環境が整えられたと言える。
実績としては、2019年4月に助成条件が緩和されて以降、4つの駐車場で86台分に適用されている(2020年2月19日時点)。なお、クルマ1台分のスペースをバイク2台分に割り当ててほしいという考え方は、二輪業界団体である日本二輪車普及安全協会も提唱していたものであり、この助成条件の緩和により業界の内外から23区内バイク駐車場の増設が期待されている。
バイク駐車場の整備を進める上での課題
助成条件が緩和されたということを民間の多くの駐車場事業にもっともっと知ってもらう必要がある。また、事業者の視点に立てば、バイク駐車場の料金が安すぎる、採算が悪いという課題もある。特に自転車駐輪対策の延長としてバイク駐車場の整備を進める自治体では、自転車とほとんど変わらないような料金で運営されている駐車場もある。利用者からすれば嬉しいことだが、結果的に駐車場経営を難しくする要因にもなっている。
23区内ではクルマの駐車場は満たされており、むしろ余っているというのが現状だ。そうしたクルマ専用駐車場にバイク駐車スペースへの転用ニーズがどれくらいあるのかというBtoBのマッチングサービス事業が求められていると感じる。公社助成金制度の利用促進や確度向上への貢献、ライダーや利用者への周知促進にも期待できるだろう。また、そうしたサービス事業があれば、とても難しいとされているバイク駐車場の経営を根本的かつ総合的にサポートすることもできるかもしれない。
●文:田中淳磨 (輪)
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東京都内ではないが、JR川口駅にほど近い川口駅西口地下公共駐車場は、地下のクルマ用スペースの中央に白線を引いてバイク2台分に転用している。ただ、ゲートがバイクに対応していないので、出入りの際は管理スタッフを呼ぶ必要がある。東京23区内であれば、こうしたゲートや精算機等の改修にも公社からの助成が下りるのだ。 [写真タップで拡大]
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