今年こそ林道を走ってみたい! もう一度オフロードライダーに復活したい! そう思っているオフロードビギナーからリターンライダー、さらには買い替えや増車を考えている人へ! 『オフロードマシン ゴー・ライド』より、カワサキKLX230、ホンダCRF250L、ヤマハセロー250ファイナルエディションという国産メーカーのトレールマシンを徹底チェックで紹介。本記事では林道での走破性とトレッキング性能について比較する。
異なる速度域でオフロード性能をテスト!
高速道路で我慢、”移動区間としての割り切り”を強いられるのはオフロードマシンの宿命。だが、ここからは、いよいよお待ちかねのダートセクション。さぁ、トレールマシンたち、そのオフロード特性を今こそ解き放て!
CHECK9/10:林道での走破性/トレッキング性能
舗装路もダートも、両方走るために生まれたオフロードモデル=トレールマシン。重要なのは、運命の1台に出会うためには、ダート性能と舗装路性能のバランス、その走行性能の振り分けを知ることだ。
谷田貝:こうやって3台を一緒に乗り比べてみると、セローは異質だよね。
小泉:本当にセローってなんだろうって思う。セローはセローって印象がとても強い。
小川:街乗りはセロー抜群にいいけど、高速と林道がちょっと嫌だな。
谷田貝:え? セローは林道もだめ?
小川:林道でペースを上げていくと、サスがちょっと嫌なんだよね……。
谷田貝:僕は高速道路などの移動セクションはともかく、ダートに入るとセローは別格って印象を受けた。乗り味も好きだし。ただし、ぶっ飛ばしはじめると、確かにサスにしろ、フレームにしろ、いろいろ間に合わなくなるのは分かります(笑)。
小川:セローは、丸太とかウッズセクションとか、難所でトコトコ遊ぶのにはものすごくいいんだよね。
谷田貝:そうそう。あのしなやかなフレームのおかげで、ものすごく地面に踏ん張ってくれる。それこそ根っ子が生えてるんじゃないかっていうくらいの接地感で、セローとなら転ける気がしない。どこへ入り込んでも“なんとかなりそう”って気分になってくる。
小泉:あっ、なるほど。ものすごく車体が踏ん張って、粘ってくれてる感覚は分かります! 今、思いましたけど、そのセローの粘る、踏ん張る感じが、逆に私は怖いって思ってしまうのかもしれません。慣れるとすごく安心できるんですけど、車体の“しなり”と“もどり”具合が読めなくて、それが怖いんですね。
谷田貝:おっ、セローが苦手な謎が解けた!? 今回新ためて3台をダートに持ち込んでみて、セローの特殊さを感じたけど、一番特徴的だったのはステップポジションかな。トライアル車両とはいわないまでも、かなりバックステップ。リヤ荷重気味で、スタンディングでちょっとアクセルを開ければ、フロントがすっと持ち上がるようになっている。
小川:スタンディングでゆっくり走るほどセローらしさが出るよね。
小泉:なるほど~。
谷田貝:やっぱり、二輪二足で道なき道を進むマウンテントレールの求めるところは、この特性なんだと思う。ただ、乗り比べると“セローは純粋なトレールマシンじゃないな!”という思いが強くなる。
小泉:それはどういう意味です??
谷田貝:オフロードマシンのキャラクター要素って、いろいろな方向性があると思う。“自分が今まで見たことがない景色を見たい”とか、“どこまでも行けるとこまで進んでみたい”なんていうライダーが乗るなら、セローが最適解だと思う。でも純粋なオフロードマシンというと、多くの人は飛んだり跳ねたりのモトクロス的な派手なシーンを思い浮かべると思うんだよね。そんな派手な走りをしたいとなると、今回の車両ではKLXが一番近道かな。
小川:そうなんだよね。CRFだとちょっと車体が重たく感じるし。
谷田貝:KLXのシートの高さは、コーナリング時の押さえ込みや、テールが流れた時の体重移動でのコントロールしやすさになっている。
小泉:ということは自分が“トコトコ&難所系”か、“ジャンプ&スライド系”のどっちに行きたいかで、選ぶ車両が違うんですね。
谷田貝:そうそう。かっこよくジャンプしたいならKLX。
小川:ゆくゆくはレーサーに乗りたいとか、コースを走ってみたいという初心者には断然KLXがいいよね。
谷田貝:今まで初心者のバイクというと、扱いやすいセローの独壇場だったけれど、KLXが風穴を開けそうな感じ。久々にちゃんと跳べる系のオフロードマシンの、エントリーモデルが登場したなって印象。
小泉:私がKLXに乗っているとワクワクして、もっとアクセルを開けたい、速く走りたいって思えたのは、そういうところだったのかも?
小川:ひと昔前のKLXとか、XRと似ているような気がするね。速くもないし遅くもないけど、ジャンプもできて、林道では気持ちよくアクセルを開けられるという、純然たるトレールマシン。高速道路移動もそれほどきつくないし、WR250Rほどトンガってないけど、セローほどのんびりなキャラじゃない。
谷田貝:扱いきれる正統派トレール?
小川:そう。CRFはロードスポーツ性が高いし、セローはちょっとマウンテントレールっていう我が道を行き過ぎている。かといってWRはとんがり過ぎていたしね。ぽっかり空いていた“ちょうどいい性能”の正統派トレールマシンのゾーンに、KLXがすっと入ってきた印象だね。
谷田貝:確かにKLXのコンパクトな車体は初心者にも扱いやすいし、高めのシートは、シートの上でお尻を動かして荷重をコントロールする、なんてことを習得するには最適だと思う。そう考えてみると、現行ラインナップにはないキャラクターかもしれない。
小泉:初心者にもいいっていうのは、私がワクワクしたんだから間違いないかも。“飛んだり跳ねたりのオフってこういうもんじゃ~!”ということを、初心者にも体感させてくれる感じ。それに最初からこのシート高に慣れておけば、あとはなんでも乗れるんじゃない? って自信になるハズ。
小川&谷田貝:(うんうんと頷く)。
小泉:身長156cmの私が乗っても平気だったし。降りる時だけ腰をずらせば平気ですよ。ゆくゆく跳びたいならデビューはKLXですね。
【今回の評価方法】増車ではなく、新車導入や乗り換えという観点から、3人のテストライダーが市街地、高速道路、林道、ダートを走行。そのインプレッションを基に、各項目を5点満点で評価(一部、3人の総合評価項目もあり)。オガPはオンロードとオフロードでの快適性を含めた林道ツーリングマシンとして、やたぐわぁはオンロード性能も考慮しつつ、林道から深く分け入ったオフロード走破性も評価、コイはオンロード性能を重視しつつ、林道まで行く気になるかという初心者目線で評価している。
●写真:関野温 ●文/谷田貝洋暁、ゴー・ライド編集部 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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