今年こそ林道を走ってみたい! もう一度オフロードライダーに復活したい! そう思っているオフロードビギナーからリターンライダー、さらには買い替えや増車を考えている人へ! 『オフロードマシン ゴー・ライド』より、カワサキKLX230、ホンダCRF250L、ヤマハセロー250ファイナルエディションという国産メーカーのトレールマシンを徹底チェックで紹介。本記事では高速巡航性能と市街地での快適性能について比較する。
CHECK3:林道までの高速巡航性能
オフロードマシンとはいえ、ダートまでの道のりで高速道路も多用するのが現代の林道ツーリング。しかも最近は、最高速120km/h区間も登場したりして、ますます高速性能は重要なのだ。高速道路でとっかえひっかえ100kmほど走って対談。その印象はどうだろう?
小泉:結論からいってしまうと、1番はCRF! 2番はKLX。最後がセロー。
小川:俺もまったく同じだな。
谷田貝:そうだよね(笑)。いきなり満場一致で結論が出ちゃいましたけど、“なぜか?”詳しく聞いてみましょう。
小泉:まずセローは高速走行が苦手なんだなって思った。
谷田貝:あっ、言っちゃった(汗)。でも、セローは225から250に排気量アップした時に、高速道路はずいぶん走りやすくなったんだよ。
小川:(ウンウンと頷く)
小泉:そのせいか、”頑張っている感”をものすごく感じたんです。高速道路を走っていると、車体がちょっと心もとない……。
谷田貝:ぐむむ…。タイヤもそうだけど、車体が柔らかいほうが難路面で踏ん張れる。その分、高速道路などで負荷がかかった時に弱さが出ちゃう。
小川:こればっかりはしょうがない。
谷田貝:逆に、CRFはなんで高速道路で走りやすいと感じた?
小泉:変な話ですけど、CRFで高速道路を走った時は”オフ車感”がなかった。姿勢はオフロードマシンなんですけど、ロードモデルみたいに安定している。
谷田貝:もう、ホンダの開発の人たちが泣いて喜ぶ発言だね、これは(笑)。CRFの開発スタンスって、ロードセクションの性能にすごく重きを置いている。ダートも行くけどその割合は10%未満。だったら舗装路をきっちり走れるオフロードマシンを作ろうってところからスタートしてる。
小泉:まんまと開発者の思惑に乗せられたってワケですね(笑)。
谷田貝:いや、技術説明で知っているけど、そんなことを知らなくても、乗ればちゃんと分かるのが大事。
谷田貝:では、2番手のKLXはどうだった?
小泉:CRFもKLXも高速は走りやすかったけど、楽しさやラクさのポイントが違うって印象ですな。
谷田貝:編集長、沈黙を守ってますが?
小川:いいこというなぁって(笑)。
谷田貝:僕が驚いたのは、KLXの高速性能。街中で走るとすごいコンパクトに感じるのに、高速道路もビシッと決まって不安じゃない。レブリミッターの設定が低めだけど、それ以外はすごく安定している。
小川:そう、意外に走りやすい。変な振動もないんだよね。
谷田貝:なんでだろう? あれがどこから来るのか不思議なんだよなぁ。
小川:フレームかな。エンジンの振動も伝わってこないし、エンジンハンガーなどを含めた作り込みだろうね。
谷田貝:高速道路を走れるように作り込まれている感じはしますよね。高速走行の感想としては、CRFが1番、KLXが意外に高評価ってことで。
CHECK4:市街地での快適性能
小川:KLXは、街乗りではもうちょっと極低速時のトルクがあってもいいかも。アクセル開け始めにもう少しパンチが欲しい気がした。
谷田貝:スタート時の押し出し感?
小川:セローはそのあたりの味付けがうまくて、アクセルを開けるとバッ! と車体が前に行くパワフル感がある。
谷田貝:この3台で、フロントアップみたいな瞬発力が欲しい場面なら、力を出せるのはやっぱりセローですもんね。
小川:足着き性もいいし、安心感があるなぁ。
谷田貝:全車トレールなんで扱いやすいけれど、あえて1台ヒールを選べといわれたら、その差は微々たるものだけど僕もKLXかな。足着き性もちょっと悪いし、編集長と同じ意見で低速トルクがもう少し欲しい。
小泉:私は街中でも、やっぱりセローがいちばん苦手かもしれない……。
小川&谷田貝:えっ??
小川:セローは取りまわしやすく、Uターンしやすくてラクだよ。
谷田貝:CRFはサイドスタンドから起こす時にちょっと重さを感じない?
小泉:確かにそうなんですけど……。
谷田貝:セローなら軽いよね、って説得してどうする(笑)。そのセロー街乗り特性否定説。詳しく聞こう!
小泉:なんだかセローって、”こうしたい”って思ってアクションした時に、アクセル操作とかの反応が遅れてくる印象。とくにおっかなびっくり走っている時に、その差をものすごく感じる。慣れてきてアクセルをガッと開けてる時は感じないし、KLXでも感じないんですけどね。
谷田貝:アクセルを大きく開け続けた時に感じないってことは、フライホイールが重めに感じるってことか? それともサスの沈み込みか? 確かにセローのサスペンションはこの3台の中でも柔らか目で、アクセルの開けはじめでサスが沈み込んでタメた分、あとから伸びが上乗せされるようなイメージがあるよね。
小川:そこへいくとCRFはそつなくこなす。エンジンの伸びもいい。
谷田貝:交差点でのコーナリング特性もCRFはいいですよね。ロードマシンぽいっていうか、オフロードマシン特有のフラフラ感がない。
小川:CRFならロードマシンからの乗り換えでも違和感なく乗れるよね。とくに17年のモデルチェンジでオフ寄りのサスセッティングになったけど、そこは変わらないね。
小泉:確かに。もともとロードマシン乗りなのでCRFがやっぱり好み。
【評価方法】増車ではなく、新車導入や乗り換えという観点から、3人のテストライダーが市街地、高速道路、林道、ダートを走行。そのインプレッションを基に、各項目を5点満点で評価(一部、3人の総合評価項目もあり)。オガPはオンロードとオフロードでの快適性を含めた林道ツーリングマシンとして、やたぐわぁはオンロード性能も考慮しつつ、林道から深く分け入ったオフロード走破性も評価、コイはオンロード性能を重視しつつ、林道まで行く気になるかという初心者目線で評価している。

(左)【オガPこと小川浩康】元ガルル編集長で現ゴー・ライド編集長。エンデューロ、トライアル、モトクロスの経験はあるが、一向に上達しない五十路のオフロードライダー。愛車は15年目のXR250。身長172.5cm体重63kg。(中)【やたぐわぁこと谷田貝洋暁】元初心者向けバイク誌編集長で現在は売れっ子フリーライター。オンロードマシンでもダート走行するほどのオフロード好きとして名を馳せる。愛車はWR250RとFREERIDE250R。身長172cm体重75㎏。(右)【副編コイこと小泉裕子】元ガルル編集部員で現ゴー・ライド副編集長。旅先でリコーダーを吹くのが好きな林道ツーリングライダー。オフロード歴2年の初心者代表。愛車はハスクバーナFE250とロードマシン多数。身長156cm。
●写真:関野温 ●文/谷田貝洋暁、ゴー・ライド編集部
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