じつは上りよりもリスキー!?

ヒルクライム下り坂をスムーズに走る方法【渡辺学のオフロードスキルアップラボ】

オフロード総合誌『オフロードマシン ゴー・ライド』から、世界的ライダー渡辺学選手のオフロードライディング指南をお届けする。前回のヒルクライム上り編に続き、今回はヒルクライムの下りについて解説しよう。ヒルクライムセクションに観客は集まりがちだが、マナブ先生をもってしても「下りの方が難しい」という。チャレンジする前に覚えておきたい項目を解説する。


●写真:長谷川徹 ●まとめ:山田晃生 ●取材協力:ヒーローズ ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

ツイスターレーシング 渡辺学
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【ツイスターレーシング 渡辺学】2020年もJNCCにはライダーとして、並行してツイスターレーシング所属チーム員の監督として全日本モトクロス選手権に参戦。2019年に初参戦となったISDEポルトガル大会に続き、2020年のイタリア大会も視野に入れる。もちろん大好評のマナブ餃子も絶賛販売中。

軽井沢モーターパークの名所「ステップヒル」にてレクチャー
ヒーローズえんでゅーろでは、登りor下りセクションとして使用される通称「ステップヒル」。コンディション次第ではクリアできないライダーも続出する難所になる。この日は水を多く含み難易度は高めだった。

軽井沢モーターパーク】モトクロスとエンデューロレースの両方を開催する避暑地のバイクパーク。草津をはじめ近隣には温泉施設が多数あり。オープンの予定はWEBにてチェック。

まず何よりも、下りセクションでは焦らない。転倒するとケガのリスクが大きいし、万が一リカバリーできたとしてもバイクをボトムまで落としてしまうコトも考えられる。大きなタイムロスは避けられず、エンデューロレースなら成績は一気に下がってしまうだろう。それならユックリでもいいから安全かつスムーズに通過させたほうが無難と言える。

走行するラインのほか、エンジンブレーキを積極的に使用する区間を以下の[A]〜[D]でチェック。

[A] 初見でいきなり突っ込まない! 自分のラインをチェック!!

下り始めの部分で、自分が行きたいライン(走りやすそうなライン)を全体的に見ておくことが大事。なるべくギャップが少なく、ツルツルで滑りやすそうな箇所を避ける。マナブ先生でも初見の場合は一旦停止してでもしっかり観察する。下りは進入したら止まれないし、万が一転倒した際のリスクもかなり大きいからだ。

[B] ラインはなるべく真っ直ぐで

下りではスタンディングポジションをとり、前後のブレーキをバランスよくかけながら下るのがベストだ。ただしリヤブレーキはロックしやすく、ロックすると止まらない。フロントはちょっと強めにかけるのだが、ロックさせるとフロントからスリップダウンしやすくなる。そこでなるべく真っ直ぐなラインで進入することが重要になってくるのだ。

[C] 積極的にエンジンブレーキを使う!

基本的に下り斜面で使用するギヤは2速。排気量が大きいほど1速だとエンブレが効きすぎてリヤロックとなるためNG。だが、4スト100㏄ぐらいでパワーが低めの車両であれば、トルクが少ないので1速でも走れてしまう場合もある。ただしどんな排気量の車両でも、下っている最中にクラッチを切るのは厳禁。一気にエンジンブレーキが抜けて加速してしまうからだ。

[D] ボトム付近では腰を引く

下りから平地に切り替わる瞬間も気を抜けない。フロントが刺さり前転の危険があるからだ。ボトムに近づいてきたら、斜面を下っている最中から、やや腰を後方に引きフロントにかかる荷重を抜いてあげる。こうすることで平地に差しかかった時に、前転を回避できるわけだ。もちろんスピードが速すぎても刺さりやすくなる。進入時に自分が安全に通過できるスピードにコントロールしておくこともポイントだ。

以前に紹介したヒルクライムの場合、失敗しそうになったらバイクを倒せば、ケガのリスクを最小限に抑えることも難しくない。しかし、斜面を下る場合、転倒すれば斜面を転げ落ちることは必至。ライダーが先に落ちると、バイクが降ってくることすら考えられる。ヒルクライムよりもリスキーで、下りでは慎重なライディングが重要になってくるのだ。

「ハードエンデューロの場合だと、バイクから降りて押したほうが安全なシーンもあります。路面がツルツルで乗車したままでは転倒するしかないから、バイクを押しながらジグザグに降りたこともあります。

ただし、今回のセクションのように路面のグリップがよく、急斜面ながら距離が短いのであれば、エンジンブレーキを使いながら降りたほうが妥当でしょう。もちろんクラッチを切ってしまうとエンジンブレーキに頼れなくなりますから厳禁です。

それと、エンジンブレーキがほどよく効くギヤを選ぶこともポイントです。排気量にもよりますが、ほとんどのバイクで2速が対応しやすいでしょう。同時に前後ブレーキも併用するのですが、とくに注意してほしいのはリヤタイヤをロックさせないこと。ロックさせた途端にタイヤはスリップしはじめ、減速ができなくなりマシンコントロールが難しくなる。もしロックしてしまったら、ちょっと怖いかもしれませんが、ブレーキを弱めてタイヤを転がす。そして再度ブレーキをかけなおします。するとタイヤは泥などでブロックの目が詰まってない接地面に動くため、減速しやすい状態になるわけです。ABSのような仕事をリヤブレーキで行なうイメージですね。

また、なるべく直線的なラインを取るようにするのも大事です。下りながらの場合、荷重は前寄りになりがち。そんな状態でハンドルを切ると、すくわれるようにスリップダウンしやすくなります。上級者のテクニックになりますが、下りながらラインを変える際には、アクセルを開けてフロントを軽くすることもあります。でもこれは難易度が高いので無理にトライしないでくださいね。

下りでは、2速のギヤでエンジンブレーキを使う。タイヤをロックさせない。ロックさせてしまったらブレーキを弱めてタイヤを転がす。ギャップやワダチ、滑りやすい路面を避けたライン取り。この4点に注意してチャレンジしてみてください」

ちなみに、今回のセクションは前回のヒルクライムの逆。落差は10m以下。斜度は30度以下くらい。路面コンディションはグリップがよい状態だった。

車輪を転がし続けることも大事! ブレーキをABSのように使う
急な斜面の下りほど、ブレーキがロックしやすい状況でもある。タイヤがロックしてしまうと、シチュエーションによっては枯れ葉や泥などを巻き込みながら引きずり、結局止まれなくなる。ギャップなどでタイヤが浮いてしまった時も同様だ。そんな時はブレーキを一瞬リリースし(ブレーキをゆるめる程度でOK)、タイヤを転がし、さらに再度ブレーキ操作を行なう。ロックしたごとに転がす、いわばABS的な操作方法だ。

急坂を下っている最中にブレーキペダルから足を放すなんて怖い、と思われるかもしれないが、斜度が急になるほど有効になってくる。

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