チタンコンロッドにFRP外装(塗装済み)まで

もう2度と手に入らないはずだった…! RC30(ホンダ VFR750R)再生産部品が半端ない

ホンダは、1987年に限定販売された当時のレーサーレプリカの最高峰「VFR750R(RC30」を対象に、ベストコンディションに維持するプログラム「リフレッシュプラン」を2020年7月28日より受付スタート。これにともないRC30の部品を新たに再生産し、2020年6月30日より販売を開始する。

ホンダは、以前に発表していたVFR750R(RC30)のリフレッシュプランを正式にスタート。ユーザーの相談および申し込みは「RC30 リフレッシュプラン受付店」にて2020年7月28日より開始する。また、このリフレッシュプランのスタートとともに、RC30の部品を新たに再生産し純正部品として2020年6月30日より順次ホンダ二輪車正規取扱店にて販売する。

リフレッシュプランの実施については、8月上旬にホンダ熊本製作所に開設する「モーターサイクルリフレッシュセンター」で、ユーザーの要望に応じた整備プランを行っていく。

リフレッシュプランの申し込みから納車までの流れは以下のとおり。

1. RC30 リフレッシュプラン受付店に電話連絡ののち車両を持ち込み確認。

2. 車両確認しながら専門スタッフと整備メニューを相談、申込書に記入。

3. リフレッシュセンターにて整備。写真で整備状況を報告。

4. 完成検査、整備明細およびリフレッシュプラン保証書を作成。

5. リフレッシュプラン受付店に車両を戻し、納車。

※リフレッシュプラン受付店は、ホンダドリームの指定店となる。酒田、高崎、王子、足立、杉並、名古屋西、北九州の全7店だ。

【HONDA VFR750R[RC30]1987 model】主要諸元■全長2045 全幅700 全高1100 軸距1410 シート高785(各mm) 乾燥重量180kg/装備重量201kg■水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ 748cc 77ps/9500rpm 7.1kg-m/7000rpm 変速機6段 燃料タンク容量18L■タイヤサイズF=120/70-17 R=170/60R18 ●発売時価格:148万円

VFR750R(RC30)は、国内生産1000台とされた限定販売モデルで、世界耐久選手権シリーズで1985~1986年度の2年連続チャンピオンを獲得したレースマシン「RVF750」の高度な技術をもとに開発。チタン合金などの高価な軽量素材を多用したスーパースポーツバイク。今なお熱烈なファンが多く、海外のオークションでは新車のRC30が1000万円の値を付けたことも。1987年8月31日発売。

VFR750R(RC30)のリフレッシュプランのメニュー

リフレッシュプランでは、車両のコンディションとオーナーの要望をもとに、3段階のメニューを組み合わせることで、1台1台に最適な整備メニューを提案する。

まず「基本メニュー」は、新車から30年以上が経過したRC30に必要な整備メニューで、申し込み全車両に必ず受けていただくものとなっている。そして「プランメニュー」は、エンジン、足まわりなどの機能領域ごとにまとめて実施すべき項目と整備メニューとされる。さらに「オプションメニュー」もあり、これはプランメニューを選択したうえで車両のコンディションとオーナーの要望を踏まえて追加する整備メニューとなっている。

料金は、基本メニューが54万9000円(以下すべて税別)、プランメニューはキャブレター:19万5000~、シリンダーヘッドバルブ(キャブレタープラン含):94万8000円~、クラッチ:15万7000円~、エンジンオーバーホール:179万5000円~、サスペンション:11万9000円~、フェアリング:190万7000円~、電装:8万5000円~ となっている。オプションメニューについては、車両のコンディションやプランメニューとの組み合わせで異なるとのこと。

リフレッシュの想定台数は年間10台としており、1台を仕上げるのに1年程度を想定。ひとりの熟練メカニックが全てを手掛けるというからすごい。

さらに、「モーターサイクルリフレッシュセンター」という名の通り、RC30以外の車種も想定しているとのこと。車種の年代としては、1980~2000年代の車両が中心になりそうだ。

リフレッシュプラン「基本メニュー」の概要。

「リフレッシュプラン」よりも注目したいのは計150点の純正パーツ復刻だ!

リフレッシュプランの価格は現実的に難しい……。そう考えるRC30オーナーも多いことだろう。じっさい、オプションメニューまで全部やったらいくらになるのか、計算するのも怖いくらいの数字(税込だと600万円レベル)が並んでいるのだから。

だが、じつはリフレッシュプランの最大のポイントは、再生産される部品の充実しすぎている内容と言っていい。燃料タンクを除く外装は熊本製作所でRC213V-Sを手掛けた職人が塗装を施すFRP製。エンジン部品もピストン、バルブ、クランクシャフトやチタンコンロッドに至るまで再生産予定とされるなど、今までに再生産されたNSR250RやCB750Fとは気合の入り方が違うのだ。ここにRC30こそが「熱きホンダスピリットの塊」であるというメッセージを感じずにはいられない。

今回の150点の再生産により、従来は全パーツの52%(約650点)だった純正パーツラインナップが、同65%(約800点)に拡充されることになる。RC30のような名車に乗り続けることは、言ってみれば文化財を保存、継承していくようなもの。ここに車両メーカーの強力なサポートが得られることの価値は計り知れない。

RC30(VFR750R)純正部品は全国約5000店舗のホンダ二輪車正規取扱店で購入可能。再販売情報の詳細に関しては、下記リンクを参照していただきたい。

FRPだから再生産できたという外装一式は、RC213V-Sを手掛けた職人が塗装するという。

RC30はチタン合金製を市販車として初採用。それまでのの浸炭処理した鉄系コンロッドから15%の軽量化を達成した。

クラッチもアッセンブリーで再生産。VFR800の量産工程を活用し、クラッチディスクは同サイズの量産品でRC30用に組み合わせを設定するという。

熊本製作所に8月上旬に解説されるモーターサイクルリフレッシュセンターの外観イメージ。

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